第77話 モノやコトより気分優先

 「類は友を呼ぶの法則」と「引き寄せの法則」があります。

 この二つの法則を考えるとき、自分の望んだモノやコトが手に入るものだと思っている方がいらっしゃいます。実際に「引き寄せの法則」を利用されてる方でも、そう考えている場合もあるようです。

 あらためてこの二つの法則の特徴を書かせていただきます。

 「類は友を呼ぶの法則」は、日常的な思考に沿ったものが集まってくる法則です。普段、考えていること、信じていること、当たり前だと思っていることが集まってくるのがこの法則です。

 そして「引き寄せの法則」は、意図を使って、望んでいるモノやコトを引き寄せる法則です。

 「類は友を呼ぶの法則」は、放っておいても誰もが法則の上で生きています。自分の好きなものに囲まれて生きている人ってけっこういますから、何も特別な法則ではありません。趣味などがない人は、ネガティブな思考があるとネガティブな体験が集まってくるので気をつけなければなりませんが、そうでなければ趣味や好きなものが集まってきます。あとは幸せとか楽しいこととかが集まるぐらいです。

 いっぽう「引き寄せの法則」は、思考と心の波長を合わせて意図をします。心はいつもポジティブですからそのままで問題なく、問題は思考です。

 思考はポジティブもネガティブもはらんでいて、「今・ここ」に置ける状況や状態によって風向きが変わります。その中で欲求が出てくると、人は「無いから欲しい」という思考になってしまいます。

 ここからは例を元に話を進めます。

 あなたはある特定のロードバイクが欲しくなったとします。ちゃんとしたロードバイクですから安い買い物ではありません。そこで「引き寄せの法則」を利用しようとします。

 ロードバイクを引き寄せようとすると、「ロードバイクが欲しい」という思考になりますが、そこが間違いです。

 「欲しい」という思考は、その根本に「持っていないから」という前置きがついています。「持っていないから、欲しい」となってしまうと、あなたが今信じているのは「持っていない」ということです。欲しいはただの欲求であり、当たり前に考えていること、信じていることは「持っていない」ということになります。

 「引き寄せの法則」は、欲求が通るというものではなく、本当に信じていること、当たり前に考えていること、普通だと思っていることが引き寄せられます。なので今回の例で言えば、「欲しい」は欲求でしかなく、「持っていないから」が引き寄せの宣言になってしまうんです。

 ではどうするかというと、「すでに持っている気分」でいる、ということです。

 ロードバイクを持っている気分を用意して、「この自転車に乗れて楽しい」とか、「乗り心地、サイコー」という気分を作ります。これが引き寄せの法則で通じる宣言ということになります。

 どんなモノでもコトでも同じですが、直接「それが欲しい」は、前置きに「持っていないから」がついてしまうので通用しません。

 「ありありとイメージする」というのもあります。写真などを飾って毎日眺めるというのもあります。アファメーションするというのもあります。これらの方法も効果はあると思いますが、結局自分の思考が「持っていないから」とか「そうではないから」という前置きを用意してしまえば、すべて水の泡です。

 まず最初にすべきことは、「持っていないから」という思考を手放すことです。


 すこし話が逸れるかもしれませんが、「引き寄せの法則」をスピリチュアル的な視点で見てみます。

 「あの世」では範囲の定義が狭くなってしまうので、「霊的な世界」とさせていただきますが、「霊的な世界」というのは極端に言えば、考えたことがすぐ起こる世界です。

 「霊的な世界」には天使などの存在も含みますが、こちらが「助けて」とお願いしてから、三日後に天使が来てもまったく間に合っていません。たいていはすぐ来てくれるものです。お盆にご先祖さんが帰ってくると言っても、片道二四時間もかかりません。そんな遠くに「霊的な世界」があるわけではありません。霊的な存在はいつもそばにいるようなものですし、声をかける前、そう考えた瞬間にはそばにいます。

 ここからは話を分かりやすくするために、イメージでお話を続けます。

 「この世」は「霊的な世界」と同じ座標、別次元に存在しています。「この世界」の中に「霊的な世界」があり、さらにその中に「この世」があります。

 なので、霊的な存在はつねに生きている人のそばにいて、気づく人だけが気づいているという状況です。「お墓に私はいません」という歌がありましたが、正解だと思います。お墓や仏壇は「霊的な世界」と「この世」を繋いでくれる、中継基地、あるいは待ち合わせ場所のようなものだと、ぼくは思っています。

 さて、霊的な世界には生きている人の魂もあります。霊的な世界から操り糸が伸びてきて、肉体を操って動かしている感じです。つまり、人は生きていてもその霊魂はいつも「霊的な世界」に存在している、ということです。そして「霊的な世界」にある魂こそが人間の本質、本体です。あなたは「霊的な世界」に存在しているあなたの本質である魂に操られて「この世」で生きて行動している、ということになります。

 そこで、先ほど書かせていただいた文章が戻ってきます。

 「霊的な世界」というのは極端に言えば、考えたことがすぐ起こる世界です。

 亡くなった人に思いをはせたとき、相手は瞬間的にあなたのそばにいます。相手がそばにいるから思い出すということもありますが。緊急事態に陥り天使に助けを求めた瞬間、天使はすでに策を講じています。すべて瞬間です。肉体がないので、物理のルールは通用しません。時間も空間も存在しない世界なので、準備も段取りも必要ありません。

 このことは「霊的な世界」では考えたことがすぐ起こる、ということを意味しています。

 そして「引き寄せの法則」です。

 あなたが「ロードバイクが欲しい」と考えたとき、「霊的な世界」に在るあなたの魂は、その瞬間に欲しいと思っているロードバイクを手にしています。物質の世界ではないので想像上の、ということになりますが、すでにロードバイクを乗りまわしています。

 今度はそれを物質世界である「この世」で現実化します。

 「霊的な世界」ではすでに手にしているので、モノは手にしたも同じです。それを「この世」で物質化するために、「霊的な世界」に在るあなたの魂と、「この世」に在るあなたの思考を一致させる必要があります。このときに必要なのが「すでに手に入れている気分」です。

 「霊的な世界」ですでに自転車を手にしている魂と、「自転車に乗って楽しい」という「この世」での思考が一致したとき、「この世」での物質化、あるいは現実化が始まります。

 あとは待つだけです。例えるなら、ネット通販で購入して、支払いも済んでいる状態です。あとは届くのを待つだけですよね。届くかどうかを疑う人はあまりいないと思います。そのときと同じ感覚の「待ち」です。ここで疑ったりすると、また遠ざかってしまったり、無かったことになったりします。

 この場面で待てない人というのは結構いらっしゃるのではないでしょうか。そこはあせらず我慢です。現実のネット通販の届き待ちのように、購入先や宅配業者など、会ったこともない人を信頼して待つことができますよね。「引き寄せの法則」の取引相手は自分の本質です。どっしりした気分で待っていてください。

 しっかり「待ち」ができていれば、かならず手に入ります。それは手に入りにくいものが手に入るとか、想像していたよりお得に手に入ったとか、どんな形で手に入るかは元の条件を決めていないので分かりませんが、あなたが嬉しくて幸せを感じられる形で手に入るはずです。

 そして「霊的な世界」でイメージしていたとおり、楽しく自転車に乗って、幸せな気分を満喫することになります。

 「引き寄せの法則」で手に入れるものは、この場合で言うと「楽しく」と「幸せな気分」ということになります。


 今回は「引き寄せの法則」に関連したお話でしたが、これらのことから分かるように、スピリチュアルに関わることはすべてが、目に見えない存在や世界のお話です。物質的なモノやコトではありません。

 今回の例で言うと、ロードバイクを引き寄せたのではなく、ロードバイクによって得られる気分、楽しさや喜び、幸せなどを引き寄せています。

 このロードバイクに乗って得られる楽しさや幸せなどは、このロードバイク無しでは手に入りませんから、結果的にモノが引き寄せられているだけです。付録みたいなものですね。他のもので代用が可能なら、何が来るかは分かりませんが、ポジティブな気分は同じものが手に入ります。

 ロードバイクなら似たような他のものでもいいような気がしますが、あなたが惚れたロードバイクとそれ以外では、喜びや幸せは変わってきます。なので、あなたが惚れた特定の自転車が引き寄せられた、ということです。

 本来はすべてが気分最優先です。

 「この世」で固定した気になっているだけの物質と物理のルールの世界は、「この世界」の中でも極端に可能性の狭い世界です。「この世界」はもっと自由であり、可能性はいつも無限大です。

 「引き寄せの法則」を利用するのなら、モノやコトより気分優先が基本です。

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