第75話 笑いがすべてを解決する

 これを読んでくださっている方々にとって、幸せってどんなものでしょうか。

 人によっていろいろあるのは分かっていますが、それ以上にいろいろあるんだろうと思っています。

 でも究極的に幸せな状態というのは、笑っているときではないでしょうか。

 もちろんニヒルな笑いや苦笑いではなく、いわゆる「腹の底から笑う」という状態が、生きていて一番幸せな状態なのではないかと思います。

 人によって笑いのツボというのは違いますから、どんなことで笑うのかは別にしても、おそらくほぼすべての人が、笑ったことがあると思います。

 「笑う」という行為は、基本的に人間だけのものと言われています。昔テレビでチンパンジーが笑っているのを見たことがありますが、近いと言えば近いけど、人間が笑うのとは何か違う感じがしました。似て非なるもの、って感じですね。

 人間に与えられた「笑う」という行為。今では免疫が上がるとか、ストレスの軽減につながるなど、医療の世界でも一目置かれています。

 ぼくの個人的な考えですけど、病気になるいちばんの原因はストレスだと考えています。学校や会社などで思うようにならない社会的なストレス、気を遣い過ぎたりする対人関係のストレス、未熟さや嫌悪感などの自分に対するストレスなど、この世にはストレスのかかることばかりに見えます。

 ただこのストレス、すべて「自分だけのモノサシ」を振りかざした結果なんです。

 社会的なストレスは、「こうあるべき」というモノサシが強すぎるのではないかと思います。学校にしろ会社にしろ、多くの人が集まる場所ですから、自分だけの正しさなど通用しません。中には法に触れるようなことをする人も出てくるでしょうし、法には触れなくても一般常識からかけ離れたことをする人も出てくることもあるでしょう。もちろんそんな人がいないことが当たり前ですが、現実的には出てくることもあります。自分の理想は自分だけのもので、他人には通用しないことをまず認めましょう。それができれば、学校や会社に期待しないという選択も出てくるはずです。

 他人や状況に気を遣い過ぎるストレスや、自分に対するストレスも同じです。

 その多くは、「期待」という儚いものに基づいています。希望は大切ですが、期待は無意味です。他人や状況に、自分の理想を預けたところで、他人にはその人の理想がありますし、状況は聞く耳すら持っていません。

 「期待」は時期を待つと書きますが、ただ待っているだけでは何も起きませんし、待つこと自体がストレスになります。

 人生という土俵の上では行動がすべてです。行動しなければ自分の望むような変化は何ひとつありません。行動のためにしっかりした思考が必要になりますから、日常的に自分の思考をチェックしておくこと、あるいは、自分の理想とする状態をポジティブに思考していなければなりません。

 しかしこれらのストレス軽減策は、とても大変です。いろいろ思考を変えたり、行動を起こしたりしなければなりませんが、それができないという状況もあります。

 そんなときにこそ、笑っておくことです。

 できればいつも口角を上げておくぐらいの意識があってもいいかもしれません。

 ウソでも笑顔でいると、脳が「いま楽しいんだ」と錯覚してしまうらしいです。人間というのは脳が認識したことがすべてですから、脳が楽しいんだと認識してくれれば、本当に楽しくなります。

 脳が楽しいと認識したことで、思考もそれに沿ったものになります。とくに何があるわけではなくても楽しい気分、という状態です。これが維持されれば「類は友を呼ぶの法則」が起動して、あとは勝手に楽しいことが集まってきます。

 今度は集まってきたそれらを心から楽しんで、笑っていることができます。

 楽しいことが集まるということは、楽しくないことは集まってこないということですから、ストレスの元になるようなことは何も起こりませんし、寄ってこれなくなります。人が体験できるのは「今・ここ」にひとつですから、楽しいのであれば、楽しくないことは起こりません。縄跳びをしていれば車を運転できないのと同じです。


 「笑う」という行為中は、他のことが考えられません。

 思いっきり笑っているとき、人は無に近い状態です。感情が笑うこと一択になりますから、余計なことを考える隙や余裕がありません。思考は面白いということだけでいっぱいになります。

 面白いというポジティブな感情と思考、それ以外には考えることができない状況、これらは「類は友を呼ぶの法則」や「引き寄せの法則」を、良い方向で起動させる素晴らしい条件になります。つまり、あれこれ考えるような面倒なことをしなくても、それだけで引き寄せ状態になっている、ということです。

 これまでは思考をポジティブな状態に整えて、心と同期させてやっと「類は友を呼ぶの法則」が起動するとお伝えしていますし、そこに、自分の望みをすでに手にしている気分を加えることで「引き寄せの法則」が起動するとお伝えしています。

 そんな面倒が省けるのが「笑う」ことです。

 日常生活のすべてを笑顔で過ごすことで、法則たちは良い方向で起動しますし、声を出して笑っている時間を増やせば、もっと確実に起動させること、つまり素早く現実化させることができます。

 それぐらい「笑う」という行為は、強力なツールなんです。

 人はなかなか「無」にはなれませんし、社会の中で生きていて思考を整えることもままならないかと思います。それが笑顔で過ごすことや笑うことだけで、あなたにとって良い変化を導くことができるんです。

 そもそもいつも笑顔でいる人というのは、近寄りやすい気がします。人好きがしますし、周囲の空気も柔らかくしてくれます。笑顔の人のまわりには笑顔の人が寄ってくるでしょうし、周囲の人を幸せな気分にすることもあるかもしれません。

 他人にしたことは自分に返ってきます。気分を良くしてあげた人から直接返ってくるかどうかは分かりませんが、ほとんどの場合、ちゃんと返ってきます。もちろん、幸せなことや嬉しいこともありますが、わざとイヤな気分にさせたりつらい思いをさせれば、それもきれいに返ってくるものです。

 笑顔でいるだけで周囲を幸せな気分にすることができたなら、周囲の人の数だけ返ってくることになります。五人いれば、すくなくとも五回は笑顔になるようなことが返ってくるということになります。返ってきたものを体験すれば、また笑顔になり、周囲を幸せにします。こうして幸せのループが始まります。

 笑顔を絶やさないかぎり、幸せのループは続きます。どこかの過去で生みだしたネガティブな意図によって、ネガティブな体験をすることがあるかもしれません。それでも笑っていれば、被害は最小限に抑えられるはずです。ネガティブなことよりも、笑うことから生まれたポジティブな体験のほうが優先されるからです。

 これまでにも何度も書いていますが、「この世界」は「創造主」そのものです。創造主はポジティブしか知りません。ポジティブであれば、いそいそと手を貸してくれますから、ネガティブな体験など、あっさり打ち消してくれます。

 実際のところは「創造主」ではなく、あなたの持つ「創造主」の部分ですが。

 理由や仕組みは知らなくても問題ありません。ただ、ポジティブは「創造主」が味方をしてくれる、ということだけ覚えておいてください。

 「笑う」という行為がいかに大切で、便利なツールで、万能であるかということが分かってもらえたらいいな、と思います。


 単純な話ですが、幸せなときや楽しいとき、嬉しいときや喜んでいるとき、おいしいものを食べたときや美しいものを見たときなど、人はいつも笑顔なんです。声に出して笑うかどうかは場面によりますが、顔はいろんな形の笑顔です。

 ポジティブな気分のときというのは、いつも笑顔なんです。すくなくとも口角は上がっています。

 それは、そのときあなたが「創造主」と同化しているということです。

 同化と言っても、元々「創造主」ですから、厳密には言葉が違いますが、分かりやすくすると、同化ということになります。

 「創造主」と同化しているあなたは、ネガティブな思考や体験に遭遇することはありません。わざわざそういうことを目指せば体験できますが、一般的には目指しませんからあり得ません。だとしたら、すくなくともプラスマイナスゼロか、ポジティブに沿った気分や体験に包まれます。

 笑っていられる環境ということは、ネガティブな体験を何もしていないということでもあります。つまり問題は何も起こっていないか、何か起こっていたとしても、すこしばかり面倒な処理をするぐらいのことだけです。それぐらいのことを不幸とか問題とは言いませんよね。

 笑いがすべてを解決していると言っても、過言ではないように思います。

 人生をより良くするのに、お金も教義も、修行も道具も必要ありません。笑顔でいるだけであなたの人生は、ゆっくりかもしれませんが幸せに向かって歩み始めます。

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