第48話 律して変化を起こす

 人生で起こることはすべて自分の責任です。

 横から困った状況がやってきても、他人が引っ掻き回しても、すべて自分の責任ということになります。

 自分の人生は、すべて自分が創造しています。意識的であれ無意識であれ、いつかのあなたの意図が種となり、「今・ここ」になって現実という実がなって、体験するという収穫をしているだけです。それ以外のことは何も起こっていません。

 「あの人が引っ掻き回してきたからこんなことになった」と考える人もいるかもしれません。でも「あの人」を自分の人生に引き寄せたのは自分です。また「あんなことがなければ上手くいったはずなのに」ということも、「あんなこと」を引き寄せたのは自分です。おそらく無意識の意図です。「あんなこと」も意図してしまえば、いつかは現実となり、自分が体験することになります。

 誰かや何かのせいにするのは簡単です。自分に責任がないと考えるほうが楽に決まっています。しかしそれをしてしまうと、より良い人生を生きようとする自分の思考とは裏腹に、もう何も進展しなくなります。

 自分に都合のよくないことが起こるとき、それは自分にそういう意図を作る下地となる否定的な思考があることを教えてくれているのです。都合の悪いことがあれば、自分にはまだネガティブな思考があると理解するタイミングだと考えてください。

 ネガティブな思考がなくなることはないかもしれません。それでも極力減らしておくことで、何か都合のよくないことが起こったとき、すこしでもマイナスに行く分を抑えることができます。

 くどいようですが、あなたの人生で起こることは、良いことも良くないことも、すべてあなたが意図をして引き寄せたものだけで構成されています。それ以外は、自然災害を別にして一切関係ありません。人も出来事も状況も状態も、すべてあなただけが作り上げたものです。

 ではどうすれば、自分の人生から、自分にとって不都合なものや不必要なものを取り除けるか、ということです。

 どうしたって、他人や出来事や、状況を変えることはできません。出来事や状況に至っては、あなたが認識したときにはすでに起こったあとです。起こってしまったことをなかったことにはできません。

 となると、「他人」が残りますが、もちろん他人の思考や行動を変えることもできません。その人にはその人の「正しい」があり、その人のルール、その人の主観で生きています。

 そうして残るのはあなたです。変えることができるのは、あなた自身しかないということになります。あなたの思考や行動が変われば、周囲の人間や起こる出来事、状況や状態も変わっていきます。「類は友を呼ぶの法則」です。

 たいていの場合、人生にネガティブな体験を引き寄せるのは、無意識の意図です。

 無意識の意図は、文字どおり無意識にできてしまう意図なので、意識して止めることも難しいですし、瞬間的で強力ですから、気がついたときには意図してしまったあと、ということが多いです。もちろんすべてが意図になるわけではありませんが、いつまでもそのことを考えていると、意図になりやすいようです。

 だからこそ、日常的に自分の思考を律するということが必要になってきます。

 自分の思考を、自分の望む方向で律していれば、無意識の意図もネガティブにはなりません。むしろ、自分の望むことが人生で起こるようになります。

 自分を律するというのは、簡単に言えば、自分で自分に課すルールのようなものです。基本的にはこの人生のすべてにわたって守るべきルールですが、気が変われば途中で変えても問題ありません。ただし、ネガティブなルールだけは論外ですから避けてください。

 自分を律すると決めたならば、例外なく守るようにしなければ意味がありません。

 たとえば「幸せに生きる」というルールを決めたのなら、どんなことがあっても何があっても、自分の内側は幸せに満たされているという状態にしなければ、ルールの意味はありません。「楽しい人生を生きる」と決めたのなら、何が何でも楽しむようにしなければなりません。

 社会生活の中では当然TPOというものがありますから、いつでも自分の外側に表現できるわけではありません。しかし言霊等の力もありますから、できるときはなるべく行動や行為、言葉で自分の外側に表現するようにしてください。

 こんなことを続けるのは大変に思われるかもしれませんが、人間って慣れるものです。いつの間にか自分という存在の標準装備として、自分が決めたことが身についています。

 ぼくの場合のルールは「人生は楽しい」というものですが、元々短気でイライラしやすかったので、最初のうちは大変でした。どうしてもイライラすることに目や意識が向いてしまって、なかなか止めることができませんでしたが、強烈に意識して、このルールを守ろうと踏ん張っていると、やがてその考えにも慣れてきて、今ではそれが普通になっています。もちろん、イライラすることもまったくないとは言えませんが、ほぼありません。その分、楽しいことに目や意識が向くようになって、それからは毎日ずっと幸せに生きてます。

 律することは大変かもしれませんが、慣れてしまえば、それが自然です。

 これが「類は友を呼ぶの法則」を作る基礎になっています。

 人間はやはり、自分の考えてることを実現しようと動くようで、「楽しい」ということに意識を向け続けると、自ら楽しいほうに向かうようになります。わざわざ探したりするわけではないですが、目も耳も意識も、五感のすべてが自然に楽しいポイント見つけるようになります。あとは気分がいいもの、幸せを感じるものを選択していくだけで、人生は楽しいこと三昧になります。

 すべてが大きなイベントのように楽しいことばかりではありませんが、ささいなことでも笑えるようになったり、さほど面白くなくても楽しめるようになりました。


 社会の中で生きていると、自分が何を思考して生きているか分からなくなるかもしれません。

 つねに時代の流れは早いですし、いつも責任の所在を確認しておかなければなりません。自分が正しいと思っていることも言いだせず、まわりの視線を気にしてばかりで、思考も気持ちも肩身の狭い思いをしながら生きていれば、自分の思考も、自分が何者かも、分からなくなってくると思います。

 だからこそ、自分を律しておくべきだと、ぼくは思います。

 難しいことや出来なさそうなことではなく、いま置かれている状況や状態の中でもできることでいいんです。「一日一回は笑う」とか「帰り道に一瞬だけスキップしてみる」とかでいいんです。あなたの思考がすこしでも明るくなったり、ほっとしたりできる瞬間を用意してみてください。その代わりきっちり守ることは大切です。どうしても出来ないときは、「今日は出来ない」ということをしっかり認識すればいいんです。

 そういった、今までのあなたとは違う思考や行動が、すこしずつ大きくなっていきます。サイズ感が増すほどに、周囲の状況や環境が変わっていきます。変化中は気づきにくいかもしれませんが、しばらくして振り返ってみると、「あれ、最近穏やかに生きてる」とか「ここのところイライラしないな」という感じで気づくことができます。

 変化が目に見えてきたら、意図的にもうすこしルールの質を高めたり、サイズ感を上げていけるようになっています。こうやってどんどん自らを楽しく幸せに律して、すぐ目の前の人生を変化させていきます。おそらくルールの質を高めたりするころには、「類は友を呼ぶの法則」が元気に仕事をしてくれているはずです。

 人生の転換期というのは、たった一瞬です。ケガをする直前とその直後ぐらい一瞬です。変化していることに気づくことはないと思いますが、自分の知らないうちに目に見えない世界が段取りをしてくれて、気がついたときにはそこそこ大きく変化したあとです。

 まわりがどんな環境や状況であっても、あなたの思考はあなたのものです。

 あなたが幸せに生きると決めた瞬間から、人生は変化を開始しています。

 その変化を維持するために、まずは自分を律して、出来る範囲で幸せを見つけてみてください。

 気づいたときには、確実に、思っているより幸せの真っただ中にいるはずです。

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