第43話 行動することから始めよう

 スピリチュアル界隈にかぎらず、どんなことでも同じだと思うんですけど、何かを始めるならまずは行動することです。

 日常のお仕事や趣味などは間違いなく行動から始まると思うんですけど、スピリチュアルとなると、ヴィジュアライゼーションやアファメーションといった、思考だけでの作業もあるので、勘違いしてそればかりしてしまう人がいます。

 しかし、この世が物理のルールで出来ている上に、自分がこの世に存在している以上、それだけどうにかなることはほとんどありません。

 ちなみにヴィジュアライゼーションとは、ありありと希望が叶った状況をイメージすること。アファメーションは「自分は○○である」という自分の希望が叶った状態を宣言することです。

 現代のスピリチュアルは、おまじない的に見える要素が多く、家で儀式的なことをすればどうにかなると思っている人もかなりいるようですが、そういう人たちに欠けている思考が、先ほども出てきましたが、「この世は物理のルールで出来ている」ということです。おまじないが無効かというと、ぼくにはどうか分かりません。

 ぼくの体験したことや実験した結果から考えると、たとえば、車が欲しいと思ったときに、車に乗っているイメージをありありと思い浮かべても、「ぼくはあの車を持っている」と宣言しても、気の流れ的に波紋が生まれないことを知りました。何も考えていなければ何も起こらないのは当たり前ですが、考えたぐらいでも波紋は生まれないことを知ったんです。

 「引き寄せの法則」は自分を中心に希望を発信して、それが波紋となり、宇宙の隅の隅まで届きます。そのあいだに、その車に関するお店や人、時期や場所などの情報が引っ掛かり、宇宙の隅の隅まで行った波紋が、それらの情報を持って戻ってくる、そんな感じです。その中で、今の自分に合ったお店や人が動いてくれるようになりますし、時期や場所も自分に合ったものが、最も良いタイミングで知らされます。

 しかし、そのお店や人に出会っていなければ縁は生まれませんし、時期や場所も、自分が動いていなければ出会うことはありません。頭の中でどれだけスピリチュアル的な作業をしても、この世が物理のルールに支配されている以上、それに従って、最低限の行動をしなければならないのです。

 よく、天使たちが助けてくれるというようなお話もありますが、彼らは基本的に人生不介入です。生命にかかわる危機があるときや、本人が心底助けを求めている場合は動いてくれますが、夢や希望について手助けすることはありません。それは「創造主」のやり方、だからです。創造主も人生不介入です。なぜなら、誰もが創造主であり、創造主ができる手助けなど何も必要がないからです。

 人生は自分で創造するわけです。意図的に良い人生にすることもできれば、無意識の意図であまり良くない人生にすることも、すべて本人の選択によるものです。だから「生きる」を学ぶ必要が出てくるということで、こんなお話を書いています。

 夢や希望に手が届くかどうかは、その人だけの人生であり、生命的な危機でもなければ助けを求めるような案件でもありません。となると、創造主も天使も人生に介入してまで助けてくれることはないということになります。

 そうなると、夢や希望は自分で動いてタイミングを合わせる必要が出てきます。

 クレーンゲームではないですが、「引き寄せの法則」が用意してくれた人やお店、時期や場所というぬいぐるみが透明の壁の向こうに転がっています。それに対して自分はクレーンを操作して、そのぬいぐるみを引き上げなければなりません。そういう実作業も、物理のルールに支配されている「この世」の中では必要になってきます。お金を一切持たずに何かを買うことはできないように、自分も最低限の準備をしておかなければならないということです。

 儀式的なヴィジュアライゼーションやアファメーションなどをすると「切り替えスイッチ」がオンになるという意味では、人によっては必要なことになるかもしれませんが、そんなことをしなくても、自分にとって当たり前の感覚、たとえば「歩ける」ぐらいの感覚で「私は○○を持っている」と希望を持てるのであれば、それで「引き寄せの法則」は完結しています。世界的に見ても、夢をかなえた人たちの多くは、スピリチュアルなど知らなくても、根拠のない自信があったり、自分が夢をかなえて当たり前の感覚を持っています。

 儀式や文言を繰り返すより、夢が叶った自分ならこうするという行動をするほうが話は早いということです。そういう行動をしていると、自分が夢をかなえて当たり前という感覚が早く身につきます。

 ただし、ここに一片の曇りも有ってはいけません。疑ったり不安になったりなど、疑心暗鬼は自分の足を引っ張るだけです。とはいえ、多くの人が疑心暗鬼になる瞬間があるだろうことは予想ができます。なので、結果的に成功した人や夢をかなえた人たちは、選ばれた人のように見えるんです。


 叶えたい夢や希望があるのなら、まず自分の身の丈にあった範囲で、しかも楽しいと思える範囲で、一歩踏み出してみてください。無理をすれば不安が生まれます。楽しいと思って、笑っていられる範囲ならまだ余裕があるため、不安になることはありません。

 あなたが一歩踏み出すことで、目に見えない世界に「私はこの方向に進む」というアファメーションをしているのと同じ条件になります。アファメーションの役割は、目に見えない世界に明らかな宣言をすることにあります。頭の中でちょこちょこっと考えたぐらいの宣言よりも、すこしでも行動を起こしているほうが、意識の強い宣言になります。口だけの人より行動をする人のほうが、その意志が強そうに見えますよね。それと同じです。行動することはぶれない意志の表明でもあります。

 すこしずつでも途切れることなく、身の丈にあった範囲、楽しくできる範囲で行動していると、だんだんその希望に向かって進んでいることが分かるときが来ます。周囲からその希望にまつわる情報が入ってきたり、それがモノであったりすれば、自分の手で触れることができたりなど、あなたに近づいてくるのが分かります。

 これは「類は友を呼ぶの法則」によるもので、日常的なポジティブ思考が、「友」を呼び始めている証拠です。スピリチュアル界隈では「兆し」と呼びます。兆しはいろんな形で五感を刺激してくれます。たとえばあなたの希望が田舎暮らしだとしましょう。そうすると、テレビから良さげな田舎情報が流れてきたり、電車の中吊り広告などから情報を目にしたり、本屋さんに行くと、棚の中にその情報が載ってそうな雑誌の大見出しを見つけたりなど、さまざまな形で兆しが現れます。これはあなたが確実に希望に向けて進んでいる証拠です。

 こういうことを繰り返しているうちに、勢いが生まれてきます。まるで背後からぐいぐいと背中を押されているような感覚になるんですが、これをぼく個人の呼びかたですが「天使の追い風」と呼んでいます。

 先ほども書きましたが、天使は夢や希望については導くようなことはしません。しかし、自らの足で夢や希望に向かって歩みを進めていると、何がきっかけなのかは分かりませんが、急にとんとん拍子で物事が動き始めます。きちんと目的地が定まっていて、その方向への歩みが確実ならば、目に見えない世界からの援助を受けられるのではないかと考えています。それぐらい、信じられない勢いで物事が進み始めるということでもあります。天使の存在についてはまた別の機会に。

 そして、気がつけば夢や希望が目の前に現れます。

 このあいだはけっして目的から目をそらしてはいけません。他に興味を持ってしまったら、すべての流れが新しく興味を持ったものに移動してしまいます。それまで興味を持っていたものに関して、振り出しに戻るということはありませんが、それまでの盛り上がりが落ちていくので、溜まったポイントが減るようなことにはなります。

 立体迷路の地図を渡されても、自らの足で歩かなければ迷路から出ることはありません。完璧に地図を丸暗記しても、その場に行かなければ分からないこともありますし、行ってから何かが起こることもあります。

 人生も同じで、頭でどれだけ分かった気になっていても、体験に勝るものはありません。体験は自らの足で進み始めなければ、何も得ることはできません。それはスピリチュアルでも同じです。

 スピリチュアルというジャンルは、あくまでも人生の補助的役割であり、導いてくれるものではありません。失敗も含めて人生です。間違えたり失敗したりしながら、自分の望む場所を目指して進むからこそ、価値があるんです。

 もし今、夢や希望があるなら、身の丈にあったできる範囲で、楽しいと思える範囲で、一歩踏み出してみてください。けっしてあせってはいけません。この世は物理のルールで出来ています。いくらかでも時間はかかるものです。

 「自分の希望はすでに予約済みなので、あとは届くのを待つばかり」と、どっしり構えていてください。

 すでに、あなたの希望したものは出荷されているはずです。

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