第24話 出来事の意味は自分次第

 日々、生きているといろいろな出来事が起こり、体験していきます。自分にとって幸せなことや嬉しいこともあれば、そうではないことも。またどちらにも割り切れない何でもないことがつねに起こっています。

 この次から次へと起こる出来事は、過去の自分が意図した結果であり、「引き寄せの法則」によって引き寄せられた体験です。出来事自体を引き寄せたわけではなく、その気分を引き寄せていますから、過去とまったく同じ体験ということは存在しません。でもそのときに味わう気分は同じかそれ以上になります。

 幸せなことや嬉しいことであれば、どれだけ体験しても苦にはなりませんし、むしろもっと来てほしいぐらいでしょう。過去に意図したときの自分は、きっと幸せであったり嬉しい気分だったのです。そのときの気分や思考が意図となり、「今・ここ」というタイミングで引き寄せられたわけです。

 でもその逆の場合、幸せを感じられるものではなかったり不愉快であったりするような、否定的な気分が引き寄せられてしまうこともあります。

 「引き寄せの法則」や「類は友を呼ぶの法則」など意識せずに生きている人は、このようなとき「人生山あり谷あり」とか「いいことばかりは続かない」という考えになって、否定的な気分を受け入れてしまい、またこれが意図となってしまっていることに気づいていません。

 意図をするということは、自ら選択して決定している場合と、無意識のうちに意図してしまっている場合の二種類あります。

 自ら選択して決定している場合は、きちんと自分の意思で選択をしているわけですから、自分の希望することが含まれているか、あるいは希望そのものを選択して決定しているので、あとは「今・ここ」において、心と思考がポジティブな状態で維持されていれば、ほぼ間違いなく、未来のいつかの「今・ここ」で、希望する気分になるような体験をすることになります。

 無意識の意図の場合、自分でも気づかないうちに意図してしまっているので、未来の自分にどんな気分の体験が引き寄せられて体験するのか、まったく分かりません。しかし人生の中で体験することは、この無意識の意図によるものがほとんどです。

 一日に意識が覚醒している時間、目が覚めている時間ということですが、夜に六時間眠るとして、一八時間は覚醒しています。一八時間ものあいだ意図し続けることは、まず不可能です。生活のすべてを意識して行うこと自体、無理があります。

 だからこそ、思考をつねにポジティブにしておくことが大切になります。

 「心=魂」はいつでもポジティブです。心はイコール創造主でもありますから、ネガティブが存在しません。なので、誰の心であっても、いつでもどんな場面でもポジティブであることは揺らぐことはありません。

 それに比べて「思考」は良い悪いがある上に、波が大きいのです。良いときの波が大きいときはありがたいことなのですが、悪いときの波が大きいときに意図になってしまったら、なかなか大変な気分を味わうことになります。意図してしまった内容にもよりますが、否定的な気分になる体験は避けられません。

 メーターで言えばゼロからプラス、ポジティブの方向で思考を安定させておくことができれば、未来にネガティブな体験をせずにすみます。意図してしまったところで、最悪でもゼロですから、可もなく不可もなくという気分になる体験をするだけです。それ以外はすべてポジティブ領域の意図になっているので、「なんとなく」や「ほどほど」から「最高」までの気分を味わう体験になるわけです。

 この思考をポジティブ領域で安定させることで、無意識の意図ですらポジティブな引き寄せになってしまうことを「類は友を呼ぶの法則」と、ここでは呼んでいます。


 「今・ここ」、つまりこの瞬間、この場から、自分の思考をポジティブ領域で安定させるようにしたとしても、過去に成立させてしまった無意識の意図に関しては、その時その場で、考えをすぐポジティブに切り替えれば変更は可能でしたが、時間が経ってしまうと、どんな出来事を体験して不都合な意図をしてしまったかが分からなくなってしまいます。思い出せたとしても、細部までというのは難しいはずです。その瞬間、その場で気分を変えなければ、後々の変更は難しいのです。

 そうなると、どうしても過去に成立させてしまった無意識の意図は、すでに体験したものを含めても、「引き寄せの法則」に則って、これから先に起こる体験を引き寄せてしまいます。その体験でまた無意識の意図が成立すれば、さらに先の体験を引き寄せることになります。そうやって人生は積み重なっていきます。

 どうすればそのループから抜け出せるのか、ということになります。

 先ほども書いたように、自分の思考をポジティブの範囲内で安定させておくことが最優先です。つねに思考が肯定的であれば、無意識の意図をしてもポジティブですから、ポジティブ思考が完全に自分の身についた瞬間から、引き寄せてるものはポジティブな事柄ばかりになります。

 そして日常的に起こる出来事に対しても、思考がポジティブ領域を維持していれば、自分にとって都合の悪いこともあまり気にならなくなりますし、どんなことがあっても、それを学びにしたり、糧にしたりする思考が働くようになります。


 出来事にはそもそも意味がありません。ただ起こっているだけです。

 しかし人は、ただ起こっていることに意味をつけたり、状況や状態、そのときの立場などから自分と関連付けます。

 たとえば、あなたが自転車に乗っていて、突然タイヤがパンクしたとしましょう。出来事の本質は「自転車のタイヤがパンクした」ということだけです。このときのあなたが、もし急いでいたとしたら、どう考えるでしょう。不運とかツイていないとか、こんな時にかぎってなどなど、否定的な考えをするかもしれません。この考えのどれかが意図になってしまったら、この時点から未来のどこかで、不運とかツイていないとか、こんなときにかぎって、という考えになる体験をすることになります。

 でもこのときのあなたの思考が、ポジティブ領域で維持されたら、「パンクした」とか「こんなこともあるよね」とか、「起こったことはしょうがない」と、出来事を肯定して、受け入れて、次の段取りを考えるはずです。このときの考えが意図になってしまったとしても、最低でもプラスマイナスゼロか、ささいなことぐらいの引き寄せになるだけです。とくに、「パンクした」という考えは、ただ起こったことへの意味付けが何もありません。事実を認識しただけです。

 このように、すべての出来事はとても多面的にできていて、自分がどの角度から見るかによって、その意味は正反対に持っていくこともできます。

 あなたの日常の思考が、あなたの身に起こる出来事に意味をつけているのです。

 「自分だけのモノサシ」がネガティブであれば、どんなことも否定的に見ることができますし、否定的に見ることによって、さらに自身や人生をネガティブにすることも可能です。その逆もまた然り、ということです。

 過去に知り合った人で「ネガティブの何が悪い」と考えている人がいましたが、ネガティブを肯定してしまっているので、結局ネガティブではない人でした。ただあまり自分に言い聞かせていると、「引き寄せの法則」は「そうか、ネガティブのほうがいいのか」と、そちらの道への案内が始まりますから要注意ではあります。その人が今、どうしているかは知りません。


 以前書いたお話にもありますが、そもそもこの世という物理の世界はすべて幻想です。目に映るものはすべて移ろいますし、何も固定されていません。昨日まであったコンビニが今日はないこともありますし、人の生死も同じです。

 中国の思想家に「荘子」という人がいて、その人の本を見ると「胡蝶の夢」というお話が載っています。

 眠っているときに、自分が蝶になって舞う夢を見ました。目が覚めたときにふと思うのです。自分が蝶の夢を見ていたのか、それとも蝶が自分の夢を見ているのか。

 「この世がシミュレーションの世界だとしても、それを暴くことは、今の人類にはできない」と、どこかの科学者のお話を読んだことがあります。

 ぼくたちは当たり前のことと信じてこの世を生きていますが、それが本当に存在するのかどうかは誰にも分からないということです。

 ぼくはいつも思っています。「どっちでもいいよ」と。そんなどうでもいいことより、いつでも「今・ここ」において、へらへらと笑っていたいと考えています。楽しいのがいちばんです。

 だからこそ、人生が苦しかったりつらかったりするのは避けておきたいので、こういうスピリチュアル的な、あるいは禅的なことを考えて生きています。

 こういう話を信じられないという人もいると思いますが、そういう人たちは「でも、もし」とは思わないんでしょうか。この世の不安定さは誰もが知るところです。何も安定していませんし固定されてもいません。自然災害、戦争、犯罪、事故、病気。今日一日の自分が確実に生きている、平穏であるという保証はどこにもありません。

 そんな中でも自分の人生という、個人的なことに関しては、大枠だとしても選択して決定することができるのです。どんな出来事も、幸せにつながったり、幸せにつなげるための学びできれば、これからの人生が幸せになるというものです。

 実際には出来事だけではなく、自分に関わるありとあらゆるすべてを、自分の持つ思考パターンで意味づけしています。出来事をどう捉えるかはあなたの自由にまかされているということです。ぜひとも幸せな人生を選択していただけたらと思います。

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