第21話 ネガティブであることの不誠実さ

 ずっと書いてきていることですが、ネガティブ思考・否定的な考えかたというのは、あなたの人生にとってプラスになることは何もありません。

 過去からは足を引っ張られて、「今・ここ」で不平不満を口にし、未来は不安と心配で覆いつくされる、それがネガティブ思考です。

 本来、否定的な考えかたというのは、光を知るための闇であり、幸せを知るための不幸でしかありません。あくまでも比較対象としての機能としてあるだけで、それ自体が人生に影響を及ぼすようにはできていません。

 にもかかわらず、社会の中に蔓延しているのはなぜでしょうか。

 誰も「生きる」とは何かを学ばないまま、自分で選択・決定ができて、自ら行動を起こすことができる年齢、つまり大人になってしまったために、社会に出てから不安や心配に振り回されます。さらに、人の不安を煽ることで成り立つ商売があることや、先行きの不透明さを利用したお金に関わる商売などがあるのも一因かもしれません。

 いろいろな理由が複合的になっていると思いますが、もっとも重要なことは、「自分が自分の人生を創造していない」ということがいちばんの問題点であると思っています。

 「創造主」=「魂」=「愛」という公式を何度も紹介しています。イコールで結ばれているとおり、まったく同一のものです。自分について魂がある、愛があると考えられるならあなたは創造主です。

 ただし間違えてはいけないのは、創造できるのはあなたの人生だけです。他の人をどうこうしようとしても無理です。なぜならその人も自分の人生の創造主だからです。すべての人が自分の人生の創造主であって、その自由は守られています。よく言われる「変えられるのは自分だけ」というのはそういう理由です。

 結婚やチームプレイなどで、自分と周囲が同調しているように見えるときなどは、周囲を巻き込んでいるように感じますが、それは他の創造主も同じ方向に歩き出しただけです。結婚で言えば、同じ道を歩こうとしたり、同じ目的地であったりすることで、二人が並んで歩いているだけです。だから、どちらか片方の人がその道に飽きてしまったり、目的地を変えてしまえば、結婚は破綻します。そこには相手への思い込みによる依存というのもありますが、それはまた別の機会に。


 なぜあなたが自分の人生を創造することができるのかというと、あなたが創造主だからです。先ほども書きましたが、魂や愛があれば創造主です。イコールですから。ということは創造主は愛そのものでもあります。

 「愛」についての記事で、愛には二つの意味があると書きました。

 ひとつは感情のバロメーターとしての「愛」です。大好きという気持ちも、憎らしいという気持ちも「愛」の中では同じ気持ちです。ポジティブに向かうか、ネガティブに向かうかだけの違いなのです。どちらも「愛」というバロメーターの中の指標に過ぎません。憎らしいという思いも根っこに好意がなければ起こらないものです。

 そしてもうひとつは、好きの最大級という意味です。愛と言えばカップルや親子などが分かりやすいですが、世界の平和を願う愛もあれば、自然環境に対する愛もあります。このとき大切なのは、「愛は見返りを求めない」ということです。

 よくあることかもしれませんが、「これだけ尽くしてるのだから、こちらのことももっと好きになれ」というような考えを持っている人もいます。これは愛ではなくエゴが張り切っているだけです。いろいろと尽くしているところは愛かもしれませんが、「こちらのことも」と考えた時点で、「私は」や「私が」と出しゃばってくるエゴの典型的な例です。この場合、「愛しているので、あなたがどう思おうと尽くします」というのが、本当の愛です。実際の現場を見たことがないので分かりませんが、戦国時代の武士のお話などで、自分の上司に命を預ける、絶対の忠誠を誓うというのがありますが、これが愛の正解です。現代では上司にそこまでできません。もしこれが出来たら洗脳されている可能性すらあります。なぜならその上司も、周囲を変えようとしている、つまり創造主であることを忘れている人だからです。洗脳は物理的な作用、脳内の思考の問題で、愛や魂、心とは関係がありません。お気をつけください。

 さて、ここで注目するのは二つめの「愛」です。

 この世の物事や出来事のほとんどは、「愛」によって生み出されています。

 科学的な面で言えば、さまざまな発明や発見は、研究者たちの見返りを求めない愛の結果です。平たく言えば、「好きの最大級をぶち込んだ結果」という感じでしょうか。何かをゼロイチで生み出すのには相当な労力が必要です。ものすごく好きなことでないと結果が出るまで続けられるかどうか分かりません。その研究や実験に対しての「愛」の結晶が白熱電球や電話、ダイナマイトや原子爆弾ということになります。


 人生も同じことです。

 「今・ここ」はいつかの自分が意図した結果を体験しています。できれば物心がつくころに誰かが教えてくれていれば、人生のほぼ全編を自分の意図したとおり、言葉を変えれば思いどおりの人生を生きていたかもしれません。

 しかし残念なことに、周囲の大人は「生きる」を学んでおらず、知っていることは社会の中で歯車として生きて、世間に流されるという方法しかありませんから、それしか子供に教えることができません。なので、その子供が無事に大人になっても、自ら「生きる」を学ぶということがなければ、社会の歯車と流される生きかたしか知らないままになってしまいます。

 「今・ここ」で意図をすれば、いつかの未来はあなたが意図した気分を味わうことになる体験になります。もちろん正しく意図していればのお話です。それを繰り返していけば、そこからの人生は思いどおりの気分を味わえる人生になります。

 注意点として覚えておいてほしいのは、体験できるのはあくまでも「気分」だけです。「創造主」、「愛」、「魂」、「心」など、すべて肉眼では見えないものです。言葉を変えれば物理のルールには当てはまっていないということですから、物理現象としての体験ではありません。しかし、心の底から、ごくごく当たり前に「お金持ちの気分」を維持することができたら、それはお金持ちにしか味わえない気分です。そうでなければ味わえないのなら、お金持ちになるしかありません。そういう流れでお金持ちになることでしょう。ちなみにぼくは「お金持ちの気分」が分からないのと、そこまでの執着がないので、引き寄せられません。


 話を戻します。

 「今・ここ」で体験していることが、いつかの自分の意図であるならば、「今・ここ」で自分の人生に対して、最大級の愛をぶち込むような意図をすれば、人生は望んだ方向に変化していくということになります。

 「意図」は、自分で意識して決定、あるいは決意することです。一般的には「意図的に○○する」などという使いかたで耳にすることがあります。

 人生を創造するための意図は、「今・ここ」での決定だけではすこし足りません。

 意図は思考、つまり脳での作業です。それにプラスして創造主である「心」の作業も必要なのです。作業と言ってもとくにすることはありません。そもそも心は創造主ですからポジティブ、つまり肯定しかありません。NOはなく、YESのみで成り立っています。

 そのYESをスムーズに思考に届けなければなりません。意図する物事に対して、すこしでもNOがあれば、それは上手くいきません。「引き寄せの法則」でもそうですが、何も否定しないことが大切なのです。とくにここでは自分に対する否定が問題になってきます。

 たとえば、自分には不釣り合いだとか、自分にそんなことができるだろうかとか、疑いや不安や心配、自分を卑下するのは、すべて自分の足を引っ張るだけです。

 つまり、日常的にネガティブ思考や否定的な考えはしない、ということです。

 日常生活の中で湧いてくる、どの思考が「意図化」してしまうのか分かりませんから、油断できないのです。しかし、日常的に肯定的な考えかたをしていればどの思考が意図になったとしても、いつかの未来にあなたが体験するのは、あなたにとって肯定的なものばかりになり、不都合な体験や不愉快な体験は起こりません。


 しつこいですが、あなたの「心」はイコール「創造主」です。創造主は肯定するだけです。肯定しかない創造主が、自分の人生の創造を手助けしてくれているのですから、人生は肯定的でなければおかしいのです。そうでないのはぼくたち人間が、数少ない自分の体験だけで人生を創造しようと、エゴを存分に働かせているためです。

 本当の意味での全知全能が手を組もうと差し伸べているのに、それを拒否しているのはぼくたち人間側です。

 この世には「奇跡」も「たまたま」も実際に存在しています。多くの人が体験していることです。それを演出しているのが何者なのか、ということです。相手は「創造主」ですから、人間が考える斜め上から手を差し伸べてくれます。とは言え、「創造主」はあなたも含めて、すべての人がそうですから、信じるべきはあなた自身です。

 あなたの「心」、「愛」、「信じる力」こそが「創造主」です。

 ネガティブであることは、あなた自身に対して不誠実なのです。

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