第17話 「信じる」という魔法

 日常生活であれ、スピリチュアル的なことであれ、何かを始めたり行動したりするときに必要なパワー、それが「信じる」です。

 何事も信じていなければ、スタートを切ることもありませんし、スタートしても望むような結果になることはありません。歴史的な発明の多くも、政治的な成果も、アスリートの記録も、出来ると信じてスタートしたからこそゴールしたわけです。どれも同じです。

 「引き寄せの法則」も信じていなければ効果はまったく出ませんし、霊能力的な感覚の目覚めも信じていてこそです。

 人は信じていないことは体験できませんし、近くに寄ることもありません。テレビなどで霊的なことを否定する人たちが体験できないのも同じことです。肉体のない人たちだって、亡くなっても人間ですから、そんな小バカにされるところへわざわざ出てきたりしません。そもそもそういう存在がいても、見ようともしないのですから、目の前を通っても気づくことはなく、確認できるわけがありません。

 「今・ここ」において、健康であることも、そうでないことも、経済的余裕があることも、そうでないことも、すべてはあなたが信じているとおりの結果でしかありません。

 人生は信じていることが起こり、体験し、結果を見ます。

 「引き寄せの法則」や「類は友を呼ぶの法則」などの、「思考は現実化する」というシステムが、すべての人の人生の中に組まれているのです。これらの法則は、おまじないなどではなく、すべての人がつねに影響を受け、知らないうちに利用しています。その法則を信じている人たちは意図的な利用ができ、自分の希望に沿ったものを体験することができますが、信じていない人たちは流れに任せるままなので、こんなセリフを言ったりします。「人生山あり谷あり」。

 完全に意図どおりの人生というわけにはいかないかもしれません。ここは物質の世界で物理のルールに則っていますので、時間がかかるものは時間がかかりますし、無理なものは無理です。それでも意図的に人生をコントロールしている人たちは、「足るを知る」ことや「身の丈をしる」ということを理解して、その中で最上の答えを見つけ出し、未来においてきちんとそれを体験します。

 例えるなら、「世界で一番のお金持ち」になるには、そのためのお金のルートが必要ですし、お金との付き合いかたや使いかたを学んでいなければ、大金を手にすることすら難しいでしょう。そもそもお金は物理のルールで動きますから、時間や段取りが必要になってきます。

 でも「余裕のある生活」だとしたらどうでしょう。お金はほどほどで足りるはずですから、たいていのひとはお金のルートを持っているでしょうし、使いかたも分かっているはずです。それよりも、精神的な安定や幸せがどんどん集まってくると、それは「余裕のある生活」になっているのではないでしょうか。

 話がそれましたが、「人生山あり谷あり」と考えている人は、自分の人生を自分が創造していることに気づいていないか、知ろうともしていないのだと思います。流れの中で生きていくというのは、自分の思考をコントロールせずに、そのときの思ったままが意図になってしまうということですから、機嫌が良ければ機嫌が良くなる未来を、イライラしていれば怒りを覚える未来を創造しています。それは体験となり、良いことも良くないことも、意図したとおりにやってきます、その結果、「人生山あり谷あり」ということになるのです。


 自分が何を信じているのか、ということが人生を左右します。

 しかし多くの人が考える「信じる」は、本当の「信じる」に至っていません。

 たとえば心霊現象の話題などで、幽霊を信じるかと問われたとき、半信半疑のまま「信じてます」という人が多いような気がします。

 幾度かでも体験したことがある人や、普通に見えてる人は「いる」と考えていますから、幽霊がいるのが普通です。しかし体験がない人たちにとっての「信じてます」は「信じたい」に近い「信じてます」なのです。

 心霊現象に関しては、体験の有無で大きな違いが生まれますが、この「信じたい」に近い「信じてる」は、日常生活のいろいろな面で現れます。

 そもそもあなたはどれだけ自分を信じているでしょうか。

 今この瞬間にも、あなたが秘めてるポテンシャルや隠れた才能などがあるかもしれません。自分を本当の意味で信じていなければ、その力が発揮されることはありません。もしかしたらお金儲けの才能があるかもしれませんし、文才があるかもしれません。人を育てる才能があるかもしれません。どれもこれも、まず自分を信じるところからしかスタートしないのです。学校やセミナーなどで学んだことは、あくまでも作り物です。言葉は悪いですが、仮面をかぶっているようなものです。

 自分を信じている、その上で学んだものはその人そのものとして現れます。どんな職業でも、就業年数を重ねてやっと一人前になるというのは、経験を積んで自分を信じられるようになっているから自信となり、いわゆる板につく、という結果が出ているのです。

 自分を信じる、と書いて「自信」なのです。自分を信じることができない人は、何をやっても上手くいかない傾向が強いようです。それは上辺だけ取り繕ってしまうからでしょう。あなたの全身から出る「自信」という名のエネルギーは、オーラが見えるとかそういうことではなく、周囲の人が体感的に安心できたり、あなたにゆだねることができたりするものなのです。

 「信じる」とは、あなたの中の「普通」や「当たり前」です。未来の自分はそう在りたいと願うこと、たとえば幸せな家庭とか、裕福な暮らしとか、そういうものがあるのなら、今すぐそうである自分を信じてください。確実にそうなると信じてください。出来る範囲で構いません。最初からうまくは信じられないと思いますが、そういった行為や行動があなたの中で「普通」になったとき、そう在りたかった自分になっています。

 おそらく、気がついたときにはすでにそうなっているという、振り返りのパターンで分かると思います。「今・ここ」は意識する前に過去になってしまうので、だいたい気がついたときは、結果が出てしばらく経っていることが多いのです。


 まずは自分を信じましょう。

 自分を信じることができたのなら、自分の思考の中で、あなたの望むものだけをピックアップして、「それらを体験することになる」と信じましょう。

 ネガティブな思考はしないようにしましょう。誰にとってもネガティブな思考のほうが、リアリティーがあり、簡単に意図になってしまいます。それは「引き寄せの法則」により、未来のあなたが体験することになってしまいます。

 どんなことでも、信じていることが現実化します。いいことも悪いことも、それがあなたの「普通」であれば、すぐに意図となり、あなたの人生に引き寄せられます。

 なので、普段から思考に気をつけなければなりません。気をつけると言っても、いわゆるポジティブ・シンキングをするだけです。

 ポジティブとは、肯定するという意味です。明るいとか前向きという意味で捉えられがちですが、すべてを受け入れるということが本来の意味です。あなたの身に起こったことは、もう後戻りもやり直しもできません。すでに過去だからです。そこに執着せずに建設的な考えかたをする、ということがポジティブ・シンキングです。

 日常的にポジティブ、肯定的な思考であれば、今あなたにとって都合の良くないことが身に降りかかったとしても、「起こってしまったことはしょうがない。ではどう対処しようか」と考えることで、良くない出来事をただの面倒な作業に変えることができます。こういった思考のクセがついていれば、すこしずつあなたにとって都合の悪いことが体験としてやってこなくなり、やがて意識しなくても都合の悪いとが起こらない次元というんでしょうか、そういう世界に移行しています。もちろん見ている風景は同じですが、なぜかこれまではあったイヤなことが極端に起こらなくなったりするので、すぐに分かると思います。

 何事も「信じる」ところからスタートです。そして「信じる」対象は、あなたにとって都合のいいことのみです。幸せなこと、楽しいこと、嬉しいことなど、あなたの人生を華やかに彩ってくれることだけを信じてください。

 現実的な理想でもいいとは思いますが、物理のルールをはさむため、体験するまでにタイムラグがあるということも覚えておいてください。スピリチュアル的な生きかたをしようとして失敗してしまう人の多くが、このタイムラグを待てずに投げ出してしまうことが多いようです。

 まずはお試しに、「私はいつも良い気分で過ごしている」というようなところから始めてみることをお勧めします。それを「普通」にすることも簡単ですし、わりと早く結果が出ると思います。

 すべては「信じる」ことから始まります。それは魔法のようにあなたの人生を変化させます。


 ただ自信過剰なのは良くありません。俯瞰で自分を見ることができずにいるだけのことです。誰かより優れているなどという考えは、そのジャンルだけの話です。別のジャンルになればまた別の人が優れている、ということが一般的です。過剰な自信はただのエゴです。自分を守るためのバリアでしかありません。バリアを張れば不都合なことは跳ね返せますが、幸せなことも跳ね返してしまいます。

 過剰になる必要はなく、あくまでもあなたにとって「普通」や「当たり前」である程度でいいのです。なぜなら人はすべて、より良い人生を、より幸せな人生を生きるように出来ているからです。

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