第13話 「今・ここ」は収穫の場

 ここまでのお話で、基本の大まかなことは書かせていただきました。

 ここからは、もうすこし細かいところを書いていこうと思っています。


 まずは、これまでのお話の中で何度も出てきたキーワードのひとつ、「今・ここ」についてです。

 人は「今・ここ」にしか生きておらず、それ以外の時間や場所は存在しない、ということを以前に書かせいただきました。

 簡単に振り返ると、過去も未来も、すべての時間を合わせて、頭の中の概念でしかなく、実際の世界には存在しません。同じようにあっちもそっちも、頭の中の想像でしかなく、自分の目や手が届く範囲しか存在しません。つまり、時間は「今」というあっという間に過ぎる瞬間しかなく、場所は「ここ」という、いま見えているピンポイントの場所しかないということです。量子物理の世界で「人が見ていないとき、月は存在しない」というお話がありますが、自分の背後も、確認できなければ存在しないのと同じだということです。ここまで簡単に振り返りました。


 それらを踏まえて、「今・ここ」であなたが体験していることについてです。

 いま現在、幸せの真っただ中の方もいれば、おいしい思いをされてる方もいるでしょう。逆につらい思いをされてる方や苦しんでいる方もいらっしゃると思います。

 なぜすべての人が「今・ここ」で幸せな体験をしていないのでしょう。

 それは、「今・ここ」という瞬間が、あなたが過去にしてきた意図の収穫をしているため、なんです。

 これまでの記事で書いてきたとおり、人は誰でも幸せに生きることができます。それだけの力を「創造主」から受け継いでいます。というか、誰もが創造主ですからそれぐらいの力があって当たり前です。あなたの人生を創造しているのは創造主であるあなたですから、幸せでも苦労でも、好きに創造することができるのです。

 あなたのこれまでの人生を振り返ってみてください。あなたにとって都合の悪いこと、いわゆる恐怖や否定的なことなど、そういう思考になったことはありませんか。普通に考えれば、誰でも生きていればネガティブな思考になることはあるものです。

 その時の否定的な思考が「種」です。

 発芽するタイミングがいつになるのかは誰にも分かりませんが、ほとんどの場合、発芽はします。その人の思考があっという間にポジティブ、肯定的な思考で埋め尽くすようなことができれば発芽しないこともありますが、このことを学んでいない人にとっては、おそらく稀なことではないかと思います。

 発芽した種は自分には分からないところで、確実に成長していきます。成長の速度は人それぞれですが、ネガティブ思考が多かったり強かったりすれば、それだけ早く成長してしまいます。

 種が発芽して成長したら、実をつけます。それが現実での体験です。

 つまり、過去のどこかで生じた否定的な思考が、人それぞれの時間をかけて、体験としてその人の前に姿を現した、ということです。

 すべてではないですが、体験が姿を現すときはたいてい「なぜこのタイミングで」というときに現れることが多いようです。これはぼくの実験した結果なので、誰もがそうなのかは分かりませんが、本当に嫌なタイミングで否定的な体験が現れます。

 ネガティブな体験は、元をたどると自分の否定的な思考です。

 ネガティブな思考をしているときは、たいていイヤな気分や怒り、嫉妬や恨みが頭の中で渦を巻いているのでしょう。そのことしか考えられなくなり、ずっとイライラしたり、胃が痛くなるような思いをしているのだろうと思います。

 このときのあなたは、ネガティブな体験の「呼び水」です。それと同時に「今・ここ」は「引き寄せの法則」が使える唯一のポイントでもあります。あなたは「今・ここ」において、未来において気分が悪くなる体験を引き寄せている、ということになります。そして「引き寄せの法則」に則って、気分が悪くなるような体験が、実体験としてあなたの前に姿を現している。簡単にまとめるとそれだけのことです。

 さらに、「今・ここ」で味わっている気分の悪い体験に対して、あなたがまたイライラしたり不平不満の思考で頭をいっぱいにすると、また未来のどこかでの気分の悪い体験を引き寄せている、不幸の種をまいている、ということになってしまいます。

 すべての人がかならず「今・ここ」に生きているので、誰であっても、否定的な思考が生まれた瞬間に、不幸の引き寄せを開始してしまうのです。

 「引き寄せの法則」について、そんなものあるわけがないという考えが多数かもしれません。もしかするとオカルトの範疇で語られたりしているかもしれません。

 でも、ここ数年分で構わないので思い出してみてください。ネガティブな思考をした数だけ、まったく同じではなくても似たようなイヤな気分になる体験はありませんでしたか。ちなみにぼくは以前、書き出してチェックしてみましたが、否定的な思考とその後に起こる否定的な体験の数、だいたい一致していました。


 ではここで、逆のベクトルを考えてみてください。

 「今・ここ」において、あなたの思考が幸せだとしたらどうなるでしょう。

 幸せの種をいま蒔きました。すぐに発芽します。人それぞれの時間を経て、幸せの実がなります。つまり「今・ここ」が幸せであれば、それは未来のどこかで幸せな体験として、あなたの前に姿を現す、ということです。幸せな体験をしているあなたがネガティブ思考にはなりませんから、また幸せの種を蒔いていることになります。

 ここで難しいのは、それ以前に意図してしまったネガティブ思考による体験がやってきたとき、いかにポジティブ思考でやり過ごすかということです。

 つらいことや苦しいことが起こっているときというのは、なかなかポジティブな気分にはなれませんし、切り替えることも難しいです。それでも切り替えなければ、また未来に似たような気分になってしまう体験を引き寄せています。

 こういうとき、そのネガティブな体験は自分にとって「学びの時間」であると理解すると、いくらかでも切り替えられます。

 学びという言葉を使うと、上っ面だけ取り繕っているように聞こえるかもしれませんが、実際に学びのタイミングではあります。

 まず、自分が過去に意図したことを知る、ということができます。だからこうして体験として姿を見せていると理解してみてください。あの時の意識が意図になり、こうやって現実化したんだなと分かることで、「引き寄せの法則」のすごさと怖さを知ることができます。

 次に、その体験を経てあなたは成長することができます。人生で起こることは、つねに生まれて初めての体験です。似たような体験があってもTPOが変わればまったく別ものですし、過去と今ではあなたの受け取りかたや、やり過ごす方法も変わっているはずです。

 さらに、ネガティブな体験の中で、否定的な思考になりそうなことを意識できることで、「今・ここ」を体験することができます。

 まだほかにありますが、大きくはこの三つの学びがあります。

 この三つを意識することでネガティブな体験は、あなたにとって学びというプラスの作用をもたらします。プラスの作用ということは、すでにポジティブな思考に変わっているということです。

 そしてスピリチュアル、日常生活を問わず当てはまることですが、最後にはかならず「感謝する」ということを忘れないでください。ありがたいと思うことでほぼ切り替わります。

 こうして、ネガティブな体験をしていても、ポジティブな思考をギリギリで維持することができれば、蒔かれる種は幸せの種になります。感謝したことでありがたいことになり、次に引き寄せられるのは、あなたがありがたいと感じられる体験です。


 「引き寄せの法則」は魔法やおまじないではなく、法則です。万有引力やフレミングの左手の法則のように、法則はすべての人が同じ結果を体験します。引き寄せも法則ですので、常日頃、いつでもどこでも、毎瞬毎瞬その影響下にあり、すべての人が法則に則った体験をしています。違うのはそのことに気づくかどうかです。

 あなたが生まれてから「今・ここ」に至るまでの時間、数えきれないほどの思考をしています。その中には意図となって「引き寄せの法則」が起動した結果としての体験が、これまでのあなたの人生を創ってきました。これが創造するということです。「創造主」であるあなたが創造した人生、ここまではいかがだったでしょうか。

 「今・ここ」は引き寄せ体験の収穫の場です。これからの人生で収穫するものが、より幸せで、より楽しいものであることを祈っています。

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