第37話 制限されてたそうです

 それは……


「テツよ、そなたウェバーと関わりがあるな」


 ズバッと確信に触れてきた地竜神様の言葉に俺は動揺してしまう。


「えっ、あの、そのっ……」


「フフフ、案ずるなテツ。われの神格はウェバーよりも上だ。何ならこの場にウェバーを呼ぶ事も出来るぞ、呼んでみようか?」


 いや、それはいらないけど、俺が転生者だっていうのはこの場に居る者ではメリエルしか知らない事だからそれで動揺してしまっただけで…… まあ、取り敢えずいいか。


「いえ、呼ぶ必要はありません。確かに僕はウェバー神と少しだけ関わりがあります」


 素直にそう言ってみた。するとメリエル以外の面々が少し驚いた顔をしたあとに何故か納得したような顔になる。


「フフフそうであろう。テツからウェバーの神気を感じたのでな。そしてその神気によってテツの力に制限が設けられていたのだ。それを元はわが下僕だった者をテツが従える事によって制限の一部が解除されるようにしておいたぞ」


 制限されてたなんて思わなかったが、ウェバーの奴め…… やっぱり呼んで貰って一発かましてやろうかな? いや、今はやめておこう。神を殴るなんてメリエルたちに見放されるかも知れないからな。


「そうなんですね。有難うございます地竜神様」


 俺は素直にそう言って微笑む。そして自分の能力値を確認してみた。



名前:テツ・オウガイ

年齢:九歳(数え年年齢)

性別:男

職業ジョブ:【童貞】魔法使い ・武術の神髄

称号:オウガイ子爵・属性魔法上手・透視の神様 ・地竜神の使徒

位階レベル:31

体質:耐性体質

技能スキル:便利箱・生活魔法・初級、低級、中級、上級、最上級、伝説級属性魔法・合戦武闘術

【身体能力】

体力:1,550

気力:8,680

腕力:1,200

脚力:1,650

魔力:12,000

器用:1,090

【攻・防】

攻撃力:765+800(+600)

防御力:655+900

武器:常清(+800) 清刃(+600)

防具:着流し(+600) 羽織(+300)


【耐性体質】

羞恥無効(カンスト) 魅惑無効(カンスト) 水治癒魔法無効(カンスト) 光治癒魔法無効(カンスト) 熱無効(カンスト) 薬無効(カンスト) 騒音無効(カンスト) 病無効(カンスト) 闇魔法無効(カンスト) 火魔法無効(カンスト) 風魔法無効(カンスト) 光魔法無効(カンスト) 火遁無効(カンスト) 水遁無効(カンスト) 風遁無効(カンスト) 土遁無効(カンスト) 雷遁無効(カンスト) 風火遁耐性10 衝撃耐性2

【便利箱】

時間停止機能付・容量七万立方メートル

【生活魔法】

着火・飲水・微風・土盛・灯火・黒眼鏡・製氷・電気按摩・遮光影・治療・透視・清潔


【初級六属性魔法】

(火・水・風・土・光・闇)

【低級六・五属性魔法・複合魔法】

(火・水・風・土・光・闇)

(氷・雷・影・聖・邪)

【中級六・五属性魔法・複合魔法】

(火・水・風・土・光・闇)

(氷・雷・影・聖・邪)

【上級六・五属性魔法・複合魔法】

(火・水・風・土・光・闇)

(氷・雷・影・聖・邪)

【最上級六・五属性魔法・複合魔法】

(火・水・風・土・光・闇)

(氷・雷・影・聖・邪)

【伝説級六・五属性魔法・複合魔法】

(火・水・風・土・光・闇)

(氷・雷・影・聖・邪)

【無属性魔法】

(身体強化・韋駄天)

合戦武闘術かっせんぶとうじゅつ

初伝・中伝・皆伝・奥伝・秘伝・異世界奥伝


 うん、自分で自分にビックリしてる…… くそ! 【童貞】は地竜神様をもってしても残るのか。

(テツは知らなかった…… 面白そうだから残しておこうと地竜神が考えた事を)


 職業ジョブは【武術の神髄】っていうのが増えてるな。これは合戦武闘術によるものなんだろうな。前世で魔法だけじゃダメだと近接戦闘が出来るように鍛えたのを、今世でも実践してきたおかげだろう。


 称号に【地竜神の使徒】が増えてるな。これがあればウェバー神からの制限や干渉は無くなるんだろうな。まあ、使徒といわれても何をすればいいのかは皆目わからないが……


 それに何だこの能力値は。魔法も覚えて無かったはずの最上級を習得している上に、メリエルですらまだ全てを習得してない伝説級まで使えるようになってる。そんなに制限されてたのか? なんの為にだ? 俺自身はウェバーを殴りたいとは思っても、信用してない訳ではない。転生させてくれた恩義もあるし制限していたのには何か理由があったのではないかとも思っているのだが…… 


 そんな俺の思いは無駄だったと知ったのは地竜神様の次の言葉だった。


「何やら考えこんでおるようだがテツよ。ウェバーは何も考えてないぞ。アヤツは面白いからという思いで思い付きで何でもやるからの。今回の制限もただ単にそうすれば面白くなるかもという考えであろう」


 おいっ!? 神様がそれで良いのか? まあ、前世でもいるのかどうかは知らないが神様は身勝手なものだったという話だったけど。


 その時だった。声が聞こえる。どうやら全員に聞こえているようだ。


『もう…… 地竜神様いわくら様、バラしちゃダメじゃないですか。しかも私が付けた制限まで解除しちゃって…… ああ、私の楽しみが……』


「フム、久しいなウェバーよ。まあ我が使徒になったテツにはあまり無茶な事をさせるでないぞ。このマルセラームを良くしたいのであればな。お主が何を考えて管理しておるのかは知らぬが、我も創造神より頼まれておる事もあるのでな。我は我の思うように動くぞ」


『そう言われてしまうと神格が下の私には何も言えませんが…… テツくんとの繋がりは私の方が先なんですから、そこは考慮して下さいね地竜神様いわくら様


「良かろう。それがテツにとって不利にならぬのならばな…… もしもそうでないならば我は介入するぞ」


『フフフ、相変わらず気に入った者に対してはお優しいですね。けれどもご安心ください。その場その時にはテツくんに不利に見えても、長い目で見れば決して不利ではないという事を私は考えておりますので……』


「その言葉を信じよう。だが、今回の制限はもう無しだぞ。我が解除したのでな」


『そこはもう諦めましたよ…… では、テツくん、また神界にて話をしましょうね。私にとって絶対に逆らえない上司の居ない場所でね』


 おいおい、良いのか? その上司が居る場所でその発言は。そう思いながらも俺は素直に返事をした。


「分かりました、ウェバー神様。でもその時には色々と理由などを教えて下さいね」 


 言葉を終えるとウェバーの神気がその場から消えた。そして地竜神様が


「フム、去ったか。さてさてアヤツが地上に声だけとはいえ顕現するとはの。テツよ、どうやらアヤツはテツに何かを成し遂げて貰いたいようだぞ。それが何かは我にも分からぬがな」


 と不穏な言葉を口にする。


 いや、何かをって無理っす。俺は第二のこの魔法使いの人生を楽しく過ごしたいので、何かを頼まれてもキッパリと断ります。ましてや訳も分からず能力を制限されてたんですから、やっぱり一発かましてやると思ってますよ、地竜神様。


『フフフ、それはそれで楽しそうだが、アヤツも神の端くれではあるのでな。そうそうテツに遅れは取るまい』


 あ、やっぱり地竜神様も俺の思考を読めるんですね…… そんな気がしてたけど。


『我もこのマルセラームのある銀河系では創造神に次ぐ神格を持っておるのでな。それなりに偉い神ではあるのだ』


 はい、ひょっとしたら勝てるなんていう気を持ってしまって申し訳ありませんでしたーっ!!


 俺は心の中で土下座したよ。



 

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