第31話 ロドスだそうです
ロドスが動いているという報告から五日後にマナミが知らせに来た。
「テツ様、ロリ○ンクソ○ッチ野郎がソーン様の領都まであと二日の距離に近づいております。あのロ○コンク○ビッチ野郎をどう致しますか? 煮ますか? 焼きますか? いえ、塵一つ残さずに滅してしまいますか?」
マナミよ…… 気持ちは分かるがもう少しお
「う、うん、マナミ、もうすぐ来るんだね、分かったよ。それじゃ、明日、ソーンの領都に移動する事にするよ。ちゃんとお出迎えの準備をしておかないとね」
「で、どうしますか? やっぱり私的にはオークのメスに差し出すのもアリかと思っているのですが?」
いや、それはそれで魅力的な案ではあるけれども、まだ何もしてないからな。何かをしでかしたらという事にしないと、こっちが罰せられるんだよ。何せ爵位だけは向こうの方が上だからな。
「あ〜、まあ向こうの出方を見て考えるよ。あ、マナミはここで母上の護衛だからね。トゥリとミユーリの三人で頼んだよ」
俺の言葉に目を見開くマナミ。
「なっ!? 何を仰るのです、テツ様!! 私が行かずして誰が行くと言うのですかっ!?」
その言葉に反応したのはメリエルだった。
「あら、勿論だけど○リコンクソビッ○野郎と血の繋がった妹である私よ。異論はあるかしら、マナミ?」
メリエルの永久凍土の眼差しに震えだすマナミ。
「い、いえ、勿論、そうですよねぇ〜……」
返事する声まで震えてるぞ、マナミ。
「そう、納得してくれるのね。私とカナの二人にカリュウさんにも来ていただきましょう。我が兄ながら家を出てから集めた情報によれば中々の悪巧みが得意なようですから…… それでもこの三人が揃えばテツ様をお守りするのは容易な事になるでしょう」
いや、出来れば守ってもらわずに物理耐性を手に入れたいのだが…… だがそう言ってもメリエルは絶対にウンと言ってくれないのは分かっているから言わないが。
という訳で俺たちはソーンの領都にやって来た。
うん、中々の農地だ…… って、領都の中の畑の規模が大きすぎないか? あの辺りはまだ住宅街だった筈だよな? いつの間に農地に変わったんだ?
「テツ様! いつコチラに? 仰っていただければお出迎えしましたのに!?」
いや、農民と一緒に忙しそうに農作業してるソーンくんよ、そんなにオマイが好きなのか?
「おはよう、ソーン。今きたばかりだよ。それよりもいつの間にここを農地にしたの? 住宅街だったよね?」
「いや〜、実は思ったよりも移民も少なかったので思い切って農地に変更しました。これでオマイが多く生産出来ます!!」
と嬉しそうに笑うソーンだが、ソーンの秘書兼侍女兼護衛のワラビーに手招きされてそちらに向かうと、コソッと教えてくれた。
「実は来る予定だった移民希望者たちがハーフなんかと一緒に住めるかと移民希望を取り消したのです。その数がこの辺りに建てていた住宅街と一致しましたので、領主様は取り壊して水田に変えられました。それと、私の部下によりますと近々スケール侯爵が視察に来られるとか…… スケール侯爵にはあまり良い話を聞きませんので、警戒を強めております」
うん、中々優秀だな。このワラビーは人種と
「うん、僕たちもスケール侯爵の件については把握しているよ。安心してよ、僕たちが侯爵に相対するから」
俺がそう言うとホッとした顔を見せるワラビー。
「有難うございますテツ様。爵位が違い過ぎて無理難題を言われた際にどうお断りすれば良いのかと頭を悩ませておりました」
「うん、それでね、明日辺りにここに到着すると分かったから今日からこの街に居る事にしたんだ。領主館に泊まる事は出来るかな?」
「テツ様にメリエル様、カナ様にテッサイ様の四名ですね。大丈夫です。直ぐに屋敷の者にも伝えます」
そう言うとその場から消えるワラビー。転移じゃなくて超高速で動いただけなんだけど、見えてるのは俺たちだけだろうな。
それから俺たちもソーンを手伝い水田作りを手伝った。勿論だけど魔法でだ。
農家の者には感謝されたよ。
その日の晩餐はワラビーがヤマキに依頼して予約購入してきた焼き鳥に、ハーフの里村のスレイナさん特製の
美味い!! 家豚汁は前世で食べた事のある豚汁をはるかに凌駕しているぞ。コレは是非ともレシピを教えて貰わなければ!
その日は穏やかに過ぎるかと思われたが、深夜にカナとテッサイが俺の部屋にやって来た。
「テツ様、マナミの式紙により知らせが届きました。三十名いるスケール侯爵の騎士のうち、五名が先行してこの領都に入り、十歳から十五歳までの見目好い少女を攫っているそうです。親たちに気づかれずに行っているようですので、五名の者たちはその道のプロだと思われます」
カナのその言葉に俺は直ぐに指示を出した。
「カナ、テッサイ、頼めるかな?」
俺からの短い指示に二人は、
「お任せ下さい、テツ様!!」
と頼もしい言葉を放って部屋を後にしたのだった。これで攫われた少女たちは無事に戻ってくる。俺は安心して眠りにつくのだった。
翌朝である、俺とメリエルは出迎えの為に用意された馬車内で待機して、ソーンは門の前に二十歳以上の侍女たちと待機していた。
三十分後、ロドスが遂に姿を表した。俺は透視で視ているけど、メリエルは遠目の魔法で観ているようだ。
「兄がきました、テツ様」
「うん、そうみたいだね、気配を感じるよ」
俺の透視が熟練度を上げている事を知らないメリエルはそう教えてくれる。因みに俺がメリエルの方を向くとスッポンポンのメリエルが目に入る…… 絶対に知られてはいけない案件だ!
ロドスは門の前に立つソーンを見て声をかけてきた。
「出迎えご苦労! 私はロドス・スケール侯爵だ! 大王陛下よりこの地の視察を命ぜられやって来た! これより直ぐに視察に入る! 案内いたせ!」
そう言うと馬から降りて侍女たちをじっとりと見るが全員が二十歳以上だと気がついたのか舌打ちしながら言った。
「チっ! 年増ばかりか…… まあ良い…… この地の少女たちは昨夜のうちに手に入れている筈だからな……」
それはないけどな……
俺はロドスの呟きに心の中で突っ込むのだった。既に早朝にカナとテッサイから全員を無事に救出したと報告を受けてるからな。
さてと、それじゃ俺たちも外に出ますか。
馬車から降りた俺たちを見たロドスの顔は歪む。
「テツ・オウガイ子爵にメリエルよ、何故ここにいるのだ? ここはソーン・カルビ男爵の領都の筈だが?」
そう聞いてくるから俺は言ってやったよ。
「未然に犯罪行為を防ごうと思いましてね、スケール侯爵閣下。それに、カルビ男爵は僕の寄子なのですよ。たまたま僕も今日は男爵領都の視察に来ておりまして」
のうのうと言ってやったらロドスの顔が更に醜く歪んだが知った事か。こうして、ロドスへの先制攻撃を行った俺は、これからどういう風に言ってくるのか心の中で身構え、何を言ってきても良いように準備した。
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