第13話 俺は強いそうです

 ロドスの追手が居たのは間違いないようだけど、ママンの魔法によって俺たちを見失い、一度報告に戻っていったようだとマナミが教えてくれた。


 式紙を利用して逆に追手たちを偵察してくれていたマナミには感謝だ。


 旅は順調に進んだ。馬車は快適だし、食料や飲水は大量に俺の便利箱の中に入っている。


 そうそう、俺もやっと魔物を狩る事がメリエルによって許可された。但し、遠距離からの魔法のみだ……

 それも、ゴブリン、コボルト、草原ウルフなどだけ。しかもメリエル、カナ、トゥリ、マナミが事前に弱らせた個体のみという徹底ぶり……


 俺の耐性体質にいつ物理攻撃の耐性が加わるのかは現時点では分からない。ひょっとしたら一生加わらないなんて事も……


 だが、魔物を狩った事(実際にはとどめを刺しただけだが)によりようやくレベルアップをした俺。更に強くなったぞ。



名前:テツ・オウガイ

年齢:八歳(数え年年齢)

性別:男

称号:オウガイ子爵

位階レベル:3

体質:耐性体質

技能スキル:便利箱・生活魔法・初級、低級、中級、上級属性魔法・合戦武闘術

【身体能力】

体力:155

気力:1,053

腕力:108

脚力:100

魔力:787

器用:99

【攻・防】

攻撃力:89+35

防御力:78+55

武器:短剣(+35)

防具:革鎧(+55)



【耐性体質】

 羞恥無効(カンスト) 魅惑無効(カンスト) 水治癒魔法無効(カンスト) 光治癒魔法無効(カンスト) 熱無効(カンスト) 薬無効(カンスト) 騒音無効(カンスト) 病無効(カンスト) 闇魔法無効(カンスト) 火魔法耐性6 風魔法耐性4 光魔法耐性4 火遁耐性6 水遁耐性9 風遁耐性8 土遁耐性6 雷遁耐性6

【便利箱】

 時間停止機能付・容量四百立方メートル

【生活魔法】

 着火・飲水・微風・土盛・灯火・黒眼鏡・製氷・電気按摩・遮光影・治療・透視

【初級六属性魔法】

 (火・水・風・土・光・闇)

【低級六・五属性魔法・複合魔法】

 (火・水・風・土・光・闇)

 (氷・雷・影・聖・邪)

【中級六・五属性魔法・複合魔法】

 (火・水・風・土・光・闇)

 (氷・雷・影・聖・邪)

【上級六・五属性魔法・複合魔法】

 (火・水・風・土・光・闇)

 (氷・雷・影・聖・邪)

合戦武闘術かっせんぶとうじゅつ

 初伝・中伝・皆伝・奥伝



 フフフ、遂に俺は手に入れた。伝説の生活魔法を!


 そう、【邪】に属する生活魔法は無いという話をメリエルから聞いていたのだが、どうやらソレは間違いだったようだ。【透視】はその名の通り、衣服を透かして見る事が可能なのだ!!


 だが、下着は透視出来なかった……


 生活魔法には熟練度は無いと聞いているが、いつかを夢見て俺は透視を繰り返す。ひょっとしたらひょっとするかも知れないだろ? いや、そりゃ美女、美少女の下着姿も十分に魅力的だけどね。


 そして今日も今日とて俺は透視をしている。が、馬車の外だけどな。さすがに俺も女性の下着姿をずっと透視する趣味はない。無いったら無い!!


 馬車の壁を透かして外を確認しているのだ。前方は御者をしてくれてる侍女と馬たちが見てくれてるから、俺は主に後方を確認している。

 ちなみにカナやトゥリたちには気配察知の訓練をしてると伝えている。

 実際は透視が進化してくれたらなぁという邪なる気持ちなのは絶対に内緒である。


 引いてくれている馬たちが疲れないようにペース配分を考えて移動しているので旅はユックリと進んでいる。途中、途中で魔物や魔獣を狩っているが、遂に俺にも物理に対する耐性が加わるチャンスがやって来た!


 そう、スタンピードに出くわしたのだ!!


 俺は意気揚々と外に出た。俺たちが出くわしたのはスタンピードの後方部隊で、いわゆる序列が上の魔物や魔獣ばかり居る。さすがの侍女たちでも俺を守りながらは無理の筈!


 …… …… …… ……だと思ってた俺は目の前で瀕死の重傷を追っている恐らくはこのスタンピードをまとめていただろうオーガキングを短剣でグサッとしたのだった……


 強すぎだろ、うちの侍女たち!!


 先ずはメリエルの最上級魔法が文字通り火を吹いた。それにより、前方に展開していた今にも人の防衛部隊と衝突しようとしていた魔物、魔獣が魔力石を残して消し炭になった……


 次にカナとトゥリが気力を使用した大技を連発して中程に居た部隊を殲滅……


 後方の部隊に至っては、マナミの火遁と雷遁の複合遁術、雷火遁により全てが瀕死状態になり、そのトドメを俺が刺していったのだった……


 レベルは上がったけど、けどなそれじゃ成長しないんだよ〜…… 俺の物理攻撃耐性が!?


 ドラゴンレベルじゃないと無理なのかと思ったが、五人の会話(回復役のミユーリ含む)を聞く限り、ドラゴンレベルでも無理っぽいのですが……


 ウェバーよ、今宵、夢の中に出てきて解決策をもたらしてくれ〜……


 そんな事を思ってたら人の防衛部隊から五名の者がコチラに向かってやって来た。一人は中々立派な鎧を着けている。


「どこの方か存じませんがご助力、有難うございます。私はこの先にある町、ゲイラートを治めるソーン・カルビという名の者です。大王陛下より男爵位を賜っております。もしもよろしければご尊名をお伺いしても?」


 何故かソーンさんは俺を見て聞いてくる。この場で一番立場が上なのが俺だと分かっているようだ。仕方なく俺は名乗る事にした。


「はじめまして、カルビ男爵。私は大王陛下より子爵位を賜っております、テツ・オウガイと申します。今回は陛下より賜った領地に向かう途中でして、たまたまスタンピードに出くわしたので部下たちと共に対処させて貰いました。出過ぎたマネとなったのなら申し訳ありません」


 俺が子爵位を表す金環を見せながらそう告げるとソーンさんは下馬して跪き頭を垂れた。


「知らぬ事とはいえ馬上から大変失礼いたしました。オウガイ子爵、出過ぎたマネなどとはとんでもない。お陰で壊滅しかないと思っていた我が領地が助かりました。本当に有難うございます。今、ギルドの者たちの助力でオウガイ子爵の部下の方たちが倒された魔物たちの魔力石を集めております。どうか集まるまで我が町でお待ちいただけませんか?」


 そう問われた俺はベンを見た。ベンは首を横に振っていたので俺は丁寧にお断りする事にしたよ。


「カルビ男爵、実は先を急ぐものでして…… ここにある上位種の魔力石十五個だけ頂いて旅路に戻ろうかと思います。後の魔力石はカルビ男爵の好きなようにしてください」


「しかし、何百個もの魔力石ですぞ。本当によろしいのですか?」


 ソーンさんはそう言うけれども魔力石は既に俺の便利箱に大量にある。なので俺は頷いて馬車の乗り口へと移動して


「また何かご縁があればお会いしましょう。では、本当に先を急ぎますので」


 と言って馬車に乗り込んだ。




 この出来事から数週間後の事である。後にカルビ男爵はそれまで寄り親となっていたメリージ伯爵派閥より抜けたそうだ。そして、魔境にたどり着いた俺宛に手紙が届き、俺の派閥に入りたいと言ってきたのだ。 


 ベンにその事を告げると「いいと思います」と言ったので、俺は了承の返事を書いてカルビ男爵に送った。


 まあ、それは魔境に着いてからの話なので、ここでは簡単に記しておく。また詳しく話す事もあるだろうと思う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る