第11話 子爵だそうです

 遂に俺は八歳(数え年)になった。



名前:テツ・オウバイ

年齢:八歳(数え年年齢)

性別:男

称号:大王国オウバイの第五王子

位階レベル:0

体質:耐性体質

技能スキル:便利箱・生活魔法・初級、低級、中級、上級属性魔法・合戦武闘術

【身体能力】

体力:108

気力:912

腕力:92

脚力:88

魔力:608

器用:87

【攻・防】

攻撃力:60

防御力:60

武器:無し

防具:無し



【耐性体質】

 羞恥無効(カンスト) 魅惑無効(カンスト) 水治癒魔法無効(カンスト) 光治癒魔法無効(カンスト) 熱無効(カンスト) 薬無効(カンスト) 騒音無効(カンスト) 病無効(カンスト) 闇魔法無効(カンスト) 火魔法耐性5 風魔法耐性4 光魔法耐性3 火遁耐性5 水遁耐性8 風遁耐性6 土遁耐性5 雷遁耐性5

【便利箱】

 時間停止機能付・容量三百立方メートル

【生活魔法】

 着火・飲水・微風・土盛・灯火・黒眼鏡

【初級六属性魔法】

 (火・水・風・土・光・闇)

【低級六・五属性魔法・複合魔法】

 (火・水・風・土・光・闇)

 (氷・雷・影・聖・邪)

【中級六・五属性魔法・複合魔法】

 (火・水・風・土・光・闇)

 (氷・雷・影・聖・邪)

【上級六・五属性魔法】

 (火・水・風・土・光・闇)

 (氷・雷・影・聖・邪)

合戦武闘術かっせんぶとうじゅつ

 初伝・中伝・皆伝・奥伝



 火遁などの耐性が育ったのはマナミにだけ俺の耐性体質を伝えたからだ。だが、マナミも俺を切ったり殴ったりなどは出来ないと言うので、斬撃耐性や殴打耐性などは身についてない…… いや、でも耐性が育つと俺って誰に攻撃されても怪我しないようになるんだけど……


 そう言ってみたが、私にはできませんの一点張りだった。妥協点が各遁の術だったわけだ。気力を抑えれば威力が低下するので低い威力の術を俺に当ててもらったのだ。それにより術による耐性が徐々にだけど上がったのだ。


 何故、マナミにだけ耐性体質の事を打ち明けたかというと、マナミに気づかれたからだ。

 メリエルと訓練している時に俺がワザとメリエルの魔法に当たりに言っているのをマナミに見つかってしまったのだ。

 その真意をマナミに抱き締められながら問われた俺は、ついつい白状してしまったのだ。決しておっぱいに負けた訳ではない。

 いや、俺の顔がグイグイおっぱいに押し付けられたのは事実だし、俺は至福の時間を過ごしたのも事実だが……

 十九歳になったマナミの胸部装甲は立派なメロン型のDになっている。

 もう一度言っておく。決しておっぱいに負けた訳ではないのだ!




 俺が八歳になった誕生日の朝一からクソ親父がメリエルの兄であるロドスを引き連れてやって来た。


「久しぶりだな、アミーレに我が子よ。さて、過日の約定を覚えておるな」


 クソ親父がそう言うので俺は黙って頷く。それを見てクソ親父が言葉を続けた。


「ならば我が子テツに命ずる。南の辺境地である魔境を領地として与える故にみごと開拓してみせよ。また、この処置によりそなたを第五王子より外し、子爵位とする。名はオウガイと致す。これよりはテツ・オウガイ子爵として過ごすように。アミーレもまた、子にならうというならばオウガイの名を使用するように。余からの命は以上である。何か質問はあるか?」


 ここで俺は計画通りの質問をした。


「畏れながら大王様にお尋ね致します。魔境の全てを我が領地と見なしてよろしいのでしょうか?」


「うむ、勿論である。南の辺境地の魔境全てをテツ・オウガイ子爵の領地とする」


 良し、言質は取ったぞ。


 続けてクソ親父が言う。


「寄り親が必要なればスケール侯爵家がなるとの事でロドスに一緒に来てもらったがそのつもりはあるか?」


「いえ、大王様。魔境ともなれば社交などにも時間を取る事は出来ませぬ。ですのでスケール侯爵にご迷惑となります故に、寄り親のお申し出については謹んで辞退いたします」


「相分かった。ならばそのように。それと一つだけ申し伝えておく。そなたは王子ではなくなったが我が子であるのは間違いない。よって、爵位は子爵ではあるが、大王の子という身分はそのままと致す。コレは余からの温情じゃ」


 クソ親父はそう言いながら俺にひと振りの短剣を手渡してきた。俺は膝まずき両手でそれを受け取る。


 およ? まあそれは確かに助かるな。爵位が俺よりも上の者からの横ヤリをその身分を利用して躱す事が出来そうだ。なので俺は素直に礼を言っておいた。


「父上のご厚情に感謝いたします。また、父上の名誉を汚さぬように領地開拓も成功させてみせます」


 と心にもない事を言っておいた。


「うむ、期待しておるぞ。では、後の事はロドスに任した。余はこれで戻る事にいたす」


 そう言ってクソ親父は王宮へと戻っていった。後に残ったロドスは嫌らしい笑みを浮かべながら俺に言ってきた。


「さてと、子爵のテツくん。マナミくんはどこかな? 彼女は君に着いていくのは勿体無いから私のところで雇って上げようと思うんだ。なーに、心配いらない。ちゃんと契約書は交わすからね」


 ベンの言った通りだな。ロドスは恐らくメリエルが引き抜いた侍女たちには目もくれずにマナミを狙ってくると言っていた。そこについては既に手を打ってある。


「おや? スケール侯爵ともあろう方が情報が古いですね。マナミでしたら既に僕を見限って辞めましたよ。自主退職という形ですね」


 俺は落ち着き払ってそう言ってやった。更に続けて、


「他にも五名の侍女たちが自主退職しました。ご覧の通り数が少ないでしょう?」


 そう、メリエルが引き抜いた侍女たちの五名と、マナミ、ミユーリはこの場には居ない。彼女たちは本当に第五王子テツ・オウバイの侍女を辞めたのだ。


「フッ、そんな嘘が私に通用するとでも? ちゃんと差し出してくれれば今なら君が用意した馬車などは使えるように手配をしてあげるよ?」


 ロドスのその言葉に俺は狼狽する。


「なっ!? そ、それはどういう事ですか? 僕が魔境に行く為に手配してあるガード商会の馬車が使えないとでも?」


 俺の狼狽する姿がよほど面白かったのだろう。ロドスはニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべながら言う。


「クフフフ、ベンに手配を任せたのは間違いだったね、テツくん。ガード商会は私がオーナーなのだよ。まあ、その事実は商会長と私しか知らない事実なのだがね。だから、君が用意した馬車は私の許可無しに動かす事は出来ないんだよ。分かったならマナミくんを私に差し出したまえ」


 しかし、彼女たちは本当に辞めてしまったので俺にはどうする事も出来ない。


「むっ、無理ですね…… 彼女たちは本当に辞めたので…… ここに彼女たち自身が書いた退職届があります……」


 そう言って俺はマナミが書いた退職届をロドスに手渡した。そこには、マナミの字で、


 魔境なんて冗談じゃない。私と同じように思う侍女たちを連れて辞職させて頂きます。


 というような趣旨の事が書かれていた。それを読んだロドスは


「フム、どうやら本当のようだね…… 役立たずめ。やっぱり君たちは徒歩で魔境に向かって貰おうか。それも遠回りをしてもらおう。大王都の西門から出て、街道を西に進み五十キロ前にある大街道を使用してもらおう。南門からの街道には私の手の者を向かわせているから、この命令を守れなかった場合には奴隷として捕らえさせて貰うよ。では、頑張って徒歩で向かいたまえ。私は今からマナミくんを探すのでね」


 言うだけ言うとロドスも去って行った。


 俺はママンやみんなに言う。


「済まない、みんな。母上も申し訳ありません。僕にもっと力があれば……」


 そう言う俺にメリエルが力強く言う。


「大丈夫ですよ、テツ様。魔境には強力な魔物や魔獣が多く居るそうですから、徒歩でユックリと向かいながら、私たちも訓練をして強くなって行きましょう!!」

  

 メリエルの言葉に残っているみんなが頷いてくれた。そして、ベンが言う。


「必要な物はほぼテツ様の便利箱に入れて貰っております。ですので直ぐに出発しましょう。長居していい事はありません」


 その言葉にテツ・オウガイ子爵となった俺に、残ったみんなが行きましょうと言ってくれた。


 ああ、俺は絶対にここにいるみんなを守って見せるぞ!!


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