第6話 ご対面だそうです

 そして俺は五歳となった。今では初級ではあるが、属性魔法(六属性)派生属性魔法(五属性)の両方を使えるようになっていた。

 そして、侍女たちに隠れてだが、前世で学んだ武術である【合戦武闘術かっせんぶとうじゅつ】の基本訓練も始めていた。


名前:テツ・オウバイ

年齢:五歳(数え年年齢)

性別:男

称号:大王国オウバイの第五王子

位階レベル:0

体質:耐性体質

技能スキル:便利箱・生活魔法・初級属性魔法・合戦武闘術

【身体能力】

体力:41

気力:465

腕力:22

脚力:25

魔力:318

器用:20

【攻・防】

攻撃力:13

防御力:11

武器:無し

防具:無し



【耐性体質】

 羞恥無効(カンスト) 魅惑無効(カンスト) 水治癒魔法無効(カンスト) 熱耐性8 薬耐性6 騒音耐性7 病耐性3 火魔法耐性1 

【便利箱】

 時間停止機能付・容量三十立方メートル

【生活魔法】

 着火・飲水・微風・土盛・灯火・黒眼鏡

【初級六属性魔法】

 (火・水・風・土・光・闇)

合戦武闘術かっせんぶとうじゅつ

 初伝


 

 水治癒魔法無効は俺が走って転んで膝を擦りむいただけなのに、慌てたメリエルが全力で水治癒魔法をかけてくれたので、そのたった一回で無効になってしまった…… カナ曰く、部位欠損が治るレベルの治癒魔法だったそうだ。ちょっと擦りむいただけなのに大げさ過ぎるぞ、メリエル……


 ここで俺やママンの世話をしてくれている侍女たちを紹介しよう。(誰にだ?)


 侍女長は皆さん? ご存知のメリエルだ。現在二十二歳の最年長で、長い銀髪を常にポニーテールにしているしっかり者。だが、何故か俺に対している時はドジな面を垣間見せる。

 身長は百五十五センチぐらいかな? 体重は目測だが四十五キロと見た。胸部装甲はDだろう。見た事はないがロケット型だろうと推測している。

 魔法についてのスペシャリストで、オウバイ大王国でも五本の指に入る使い手だそうだ。

 

 次にカナ。何でも武術全般何でもござれらしく、その歩く姿は何処にもスキが無い。年齢は二十歳で、身長は百六十センチで体重は目測四十キロ。細身だがかなりの力持ちだと思う。胸部装甲はAだと思う。手のひらサイズも俺は嫌いじゃないけどな!

 素手だけでなく、武器術にも精通しているそうで、何だか前世で学んだ【合戦武闘術】と共通しているなと聞いた時には思った。


 そして、トゥリ。カナと同じく二十歳で、身長は百五十五センチで体重は四十八キロぐらいだろう。その両腕には筋肉が見えている。普段は見えないが恐らくはその両足、腹筋もかなりの物だと推測している。胸部装甲はCだと見た。手のひらに収まらないお椀型だと推測。

 剣術、槍術に秀でていて、気配察知に長けている。剣または槍を持たせたらカナでも勝てないらしい。


 次にミユーリ。年齢は十八歳。おっとりとした見た目どおりに普段の話口調もおっとりとしているが、毒味役兼、調理担当でもあり、食材探知に長けている。また、食材となる魔獣を自分で狩り解体出来る。身長は百四十八センチと小柄。体重は五十キロと見ている。ふくよかで包み込むような優しい雰囲気がある。胸部装甲はダイナマイト【E】だろう。小山型だと推測。


 最後にマナミ。どうやら亡くなった母親が転移者だったらしく、それも【くノ一】だったそうだ。亡くなるまで母親に鍛えられたマナミは、現在十六歳。身長は百五十七センチ。体重は四十三キロと見ている。胸部装甲は成長途中でB だと見ている。いつも晒を巻いているので他の四人ほど正確では無いかも……

 隠密行に長けていて、また忍者刀で相手を躊躇なく消す胆力も持っている。魔法では無いが、火遁、水遁、土遁、風遁、雷遁の術を行使出来ると聞いている。また、複合遁の術も可能だと聞いている。


 とまあ、この五人の優秀な侍女たちが俺とママンを守ってくれているのだ。今日まで何事もなく過ごせたのは彼女たちのお陰だというのは俺にも分かっている。

 

 ある日の事である。お昼寝タイムから目覚めた俺にメリエルが声をかけてきた。


「テツ様、明日の早朝に大王様がこちらにお見えになるそうです。お忍びですので護衛騎士一名のみを伴って来られるとの事ですので、そのおつもりで心構えをお願い致します」


 いつもより固い表情で俺にそう告げたメリエルは、俺が頷くといつも通りの笑顔を見せて、


「さあ、それでは今からは中級水魔法の訓練ですよ」


 と言って、ベッドから降りた俺の手を引いて庭へと向かったのだった。まあメリエルからしてみたら兄を幽閉する最もな要因はママンではなく大王自身だろうからな。口では大王を恨まないと言っても、心の中は複雑だろう。


 だが、五歳になってから顔を見に来るのは何でだ? 産まれてから一度も来てないのは侍女たちから聞いて知っている。どんな理由があるのか分からないが、明日は文句の一つでも言ってやろうじゃないか。ママンのためにもなっ!


 俺はそう固く誓ってメリエルとの魔法訓練にのぞみ、そしてその日は早めに寝た。久しぶりにママンの部屋で。

 だって、ママンがとても緊張してたから。俺がその緊張を解してあげないとな。

 俺はママンの不安な気持ちを落ち着かせる為に抱き枕に徹していた。胸部装甲Cにその顔を埋めながら……

 薄い寝間着バンザイッ!! って思ったのは内緒だぞ! ママンも俺を抱きしめて三分もしたら寝てしまったので、俺もそのまま寝落ちしたけどな。


 そして、早朝から起こされた俺とママン。急いで身支度を整えてクソ親父が来るのを待つ。すると、先触れの侍従がやって来て、間もなく到着するとの事だった。

 俺とママンは屋敷の玄関に向かう。五人の侍女も一緒だ。


 徒歩で一人の騎士を連れてやって来た中年男性は、身長が百八十センチぐらいだろうか? 隣の騎士がそれよりも背が高いのでわかりづらいが恐らくはあっていると思う。

 そのついてきている騎士を見たメリエルが小さく「兄様」と呟いたのに気がついた。

 

 何故か分からないがママンは大王よりもその騎士を見て緊張しているみたいだ。


「出迎えご苦労だ、側妃に我が子よ、そなたがテツだな。余がオウバイ大王家、第十二代大王、グロム・オウバイだ。今日は二人に話があって来たのだ」


「大王様、ようこそいらっしゃいました。どうか屋敷の中にお入り下さいませ」


 ママンは震えながらもそう声を絞り出して言った。

 ウムと言ってママンと俺の案内で屋敷に入るクソ親父と護衛騎士。侍女たちもその後に続く。


 応接間で上座に当たる場所にクソ親父を案内したママンはどうぞお座り下さいと言い、クソ親父が座ったのを確認してから下座に俺の手を引いて座る。護衛騎士はクソ親父の後ろに立っている。


 メリエルが茶と茶菓子を用意している間にクソ親父が喋りだした。


「時間がないので早速だが余からの話を聞いて貰おう。アミーレよ、余はそなたを側妃として認めようと手を尽くしたのだが、王妃がどうにも承認してくれぬ。よって、そなたをこの後ろに立つ護衛騎士ロドスの妻として下賜する事にしたのだ。了承してくれるな」


 その言葉にいっそう震えが大きくなるママン。そこに待ったをかけたのはメリエルだった。


「畏れながらよろしいでしょうか、大王様?」


「ん? メリエル嬢、何かな?」


「寛大なる大王様に感謝致します。何故、我が兄に下賜されるのでしょうか? 兄は確かに未だに独身ではありますが、アミーレ様の元のご身分を考慮いたしますと釣り合いがとれないかとも存じます……」


 メリエルはそう言うと自身の兄を見た。ロドスはそんなメリエルに爽やかな笑顔で言う。


「メリエル。久しぶりに会った兄がやっと独身を脱しようとしているのに邪魔するのかい?」


「いいえ、兄様。そういう訳ではございません。何故なのかをお聞きしたいだけなのです」


 メリエルのその言葉に答えたのはクソ親父ではなくロドス自身だった。


「それはね、あの時にお止め出来なかったというのが一つ。もう一つは私自身がアミーレ様に一目惚れしたからだよ、メリエル」


 ビクッとママンが大きく震えた。俺はそれまで黙っていたのだが、そこで声を発した。


「父上にお尋ねいたします。僕はどうなるのでしょうか?」  


 その問いかけの答えは……

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