第37話 オンリー・ワールド・サミット
「ここで少し休もうか?」
「うん」
私はベンチに
私もそうした人々を
あるいは……『もう帰りたくない』とか……。
答えを急ぐことは
だがそんな願望は通行人と同じように通り過ぎて行った。
コッタは首の
コッタの未来について、コッタからの意志を聞き出す。この
もしかしたら、トストの森で出会ったときに、コッタはすでに
――冒険者? コッタもそれがいい――
冒険者になら誰でもなれる。複雑な人間関係や事前知識などは必要ない。
おおよそ
いや、いかん……。取るのは手足ではなく〝魚〟だ。魚の取り方だ。冒険者なら
最先端を走るSランクの冒険者だと命の危険が付きまとうのだが、そこまで懸命にランクを上げる必要などどこにもない。CとかBくらいの……。それこそ安全に自分のための給金を
それは世界中を
明日からレベルを上げて、経験を重ねて。とりあえずそういった立場をコッタに用意する。そうして
ただコッタの年齢だと、どんな職業であるにせよ、働きに出るには早すぎる。小さいから可愛がれる場合もあるかもしれないが、小さいから
とりあず冒険者。まじめにやらない冒険者。適度にブラブラする冒険者。彼女がせめて、私が実家を離れた年齢と同じ13歳くらいになるまで、なんとなく冒険者をやる。13歳……。9歳をはるかに超えた13歳……。
そのとき、私はまだロリコンとして生きているのだろうか。
悪くない。悪くないが良くもない。いや、違う――……。私が予測している未来の風景は、多分、間違っている。多分、根底から脳内会議の軸をずらして、もっと普通に考えればいいところだ。
コッタが成長して嫌になったら、それで私のもとを自然に離れていくのではないだろうか?
かつて私を苦しめた
コッタが嫌になったら、冒険者は止めればいい。
コッタが嫌になったら、転職すればいい。
コッタが嫌になったら、私のもとからも
――こんなふうに年齢を重ねていくまでは、私が育てても良いのではないだろうか……。
可愛いのだよ。単純に……。
なぜ彼女が
だがそれを差しいても、私にはコッタを捨てた両親を理解できなかった。そして彼らは多分、私の非難を理解しないだろう。子育て経験のない者が他人の親を非難することは、登ったこともない山の風景を語るよりも
「どうかした?」
考えすぎていた。
幼女から気を使われるなどロリコンの恥だ。
私は視線を上げた。
「コッタ、シュークリームは知っているだろうか?」
「ううん。そうでもない」
『そうでもない』という単位で測定される知識ではないはずなのだが、ケチな話しを私から始めることはない。ちょっとした背伸びだろう。可愛いさが
「あそこの出店にあるんだ。行ってみよう」
「うん。行く」
行く? 『行く』と言ってくれたのか? ふむ……。今のコッタは『うん』のあとに『行く』という言葉を
購入したシュークリームを、コッタはまたパクリと
うむ! 感激、大いにあり――だ。安心感と充実感が
子どもを持つ父や母はこの瞬間のために日々の業務に励んでいるのだろう。オーソドックスなもので、それくらいのことは私にもわかる。
コッタの今後については、また一人のときに時間をかけて考えよう。私たちは近場を手軽に散策して、
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