第36話 街路と店と ④
店の中央付近にある長いテーブルでは、バンダナを
先の商業区から流れて来た
多くの席のほとんどが
周囲の者たちの実際の心情など知れるわけもないのだが、こんな風景は、どのようにでも解釈できる余地が残されているものだ。
釣られたコッタが食事している人々を
「これ」
指で
「オクトパス・レッグズの
ゲテモノじみた見た目だが、そいつの味は悪くない。私は事前の注意を出さないことにした。
昔はなかったメニューだ。この街から海は遠い。
8本の串が新たに届いてもコッタの表情に変化はなかった。食事は普通に再開されて、彼女の食事の時間が少しだけ引き延ばされた。コッタが1本ずつ頬張って、付け合せも
こんなに食べさせても大丈夫なのだろうか? 幼女の胃袋が無限大でないことくらい私でも知っている。
「まだ食べられそうか?」
「ううん」
コッタの返答には、まだ遠慮という
私が適当に注文を出してテーブルに料理を並べてみるのも手段ではあるのだが、今回の昼食はここで止めることにした。ちょっとずつ様子を見ながら、それとなく量を増やしていく方針をとろうと思う。二人前食って行き倒れるとは思いたくない。みずから好きなだけの分量を注文するのが最も良いのだが、それは今後の目標として、まずは自然な進行を心がけよう。フレンドリーな気分でいるのは、まだ私だけなのかもしれない。
テーブルの
3千リリングの支払い。
外に出るとコッタが私のズボンのすそをちょいちょいと引っ張った。
「ルークは
やはり私の
「まあまあと言ったところだ。食べ物くらい好きに食べて暮していけるよ」
「ふーん」
この実に不透明な『ふーん』という返答は、もはやコッタの
もう一言。なにか言葉がほしくなるところだが、ロリコン秘密協定の
ただし彼女には注意が必要だろう。昨日の今日でこのような遠い街にまで来たのがコッタだ。落ち着いて見えるのは気のせいで、彼女の心はめまぐるい変化の中でまだ
私はコッタを連れて中央広場に向かい、そこのベンチで
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