第35話 街路と店と ③
昼食のために移動を続けた私たちは、飲食店が並ぶ区画に足を踏み入れた。
この街には
――ストマック・バイブル――
お
私は入口のウエスタン・ドアを
すぐに
「いらっしゃいませ。ストマック・バイブルへようこそ」
ここは1階層だけだが、お
椅子を引きだしたコッタは、登るようにしてそこに
まだ文字が読めないコッタに多彩なメニューを説明して、それはそれで楽しい時間であったのだが、それが終わると注文にこぎつけた。
運ばれて来た料理を前にしたとき、コッタは
メイン・ディッシュにスープやサラダなどの
「食べようか」
「どれがコッタの?」
好きなだけ食べてもらってかまわないのだが、まずは普通の食事のルールを伝えたほうが良いだろう。コッタの近くにならんでいる料理がセットで彼女のものとなる。中央のパンは二人で半分こだ、と私は教えた。
理解したコッタは右手だけを使ってフォークを持った。彼女が注文したメインは
そのあと私はあっけに取られた。
『ナイフを使って切り分けたほうがいいだろう』と言わんとする所であったのだが、コッタは
およそ200グラムくらいだろうか。その
「?」コッタは不思議そうにこちらを見ならが口を動かしていた。
ありえない光景だと思いたいところだが、コッタがひそかに「ぬぁーん」と
食物を閉じ込めた
あとはモキュモキュと……。コッタは
「どうかした?」
コッタの口は、いつものかわいらしいサイズで発言のために動いていた。元に戻っている……。言わばいつものコッタだ。
さきのは
いや、そんなものは見たことがない。見たことはないのだが、
「なんというか……もしかしてお
ホテルについてから、コッタはリンゴとブドウを食べていた。彼女の食欲は失せていて、昼食は残るくらいかと私は予測していた。しかしさきの食べっぷりから
コッタはしげしげと私の顔のほうを見てから「
ニンジンのグラッセなどの付け合せの野菜が彼女のフォークに次々と差し込まれていく。ミニチュアの串焼きが出来上がり、それもコッタはパクっと
幼女も遠慮するときがある。コッタにもそんな気質があるのかもしれない。だとしら、ただちにこの流れは良くないと判断するべきだ。食べ物で幼女に気を使わせてはならない。成長期だ。
「よかったら食べてくれ」
私は手付かずに置いていた自分のブタのロース・ステーキをコッタの近くにまわした。
「ルークの分量が消失」
「確かにそうだな。ではこれは私がそのまま食べよう。新しく何か好きなもの注文するといい」
自分が頼りになる状況を気軽に語る男友達のように、私は重さを
「正体不明の料理とかあるなら、そんなもの注文してみると、面白しろくなれるときもある。好き嫌いはないだろうか?」
「ほとんど」
コッタの嫌いな食べ物が気になるものの、自分のいたずらな好奇心は封印しておいた。コッタが緊張している可能性を考慮しつつも、それに気付いてない感じで。私は彼女にとっての
「だとしたら初めてメニューを注文してみるといいかもしれない。
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