第31話 お着替えは終了しております ②
二人のメイドが
ただし私から見れば遅すぎる。まだまだ溜めは不完全で、これから呼吸を合わせようかところだ。そこらへんが挙動に乗せるスピードの限界のようだ。
私は二人よりも早く――なにより二人にブドウを
メイドたちの表情がゆっくりと
コッタはというと、上を見上げたことによって、小さなお
上昇を止めて自由落下をはじめたブドウを迎えるために、私は上を向いて
コッタのパンツが気にならないわけもない。そのような私が凶行に走らずにいられたのは、使い慣れた戦場の技法のおかげだった。そういったものは私に冷たい静けさを与えてくれる。
けれども先までの瞬間には
「コッタ、失敗?」
「しょんなことはないよ」
指から落ちて
コッタのレベルは2だ。高速発動の魔法を目視で確認できるレベル帯でない。
しかし私は嘘を言ったつもりはない。コッタは失敗などしていない。
まだ
それ以上に、他人に気づかれない速度で魔法陣を現世から〝
メイドたち二人は私が
ややこしい駆け引きではないはずだ。私はコッタの
「しゅばらしい仕事をしてくれたようだ。感謝しゅる」
ブドウの恩恵を受ける私は舌足らずになっていたのだが、二人のメイドはそんな私のユーモアは無視して「お褒めに
気楽にやってもらいたい私は――というのも萎縮はミスにしか発展しないわけだから――二人にその旨を伝えて、とりあえず再びソファに座ってもらうことにした。
私も対面に座った。コッタは自主的に私の横に座った。良い傾向だ。ついでに抱き上げて膝の上に座らせたくなるが
コッタは私を見て、メイドを見て、それから窓の外を見た。いい加減、この場所に退屈しているのだろうか。だが私にはまだ真面目に取り組むべき問題が残っている。まずはメイドからの報告を受けなければならない。
それが再び私の頭を
〝コッタはいい子で
まずはこの
〝コッタはちゃんとトイレを
これだと
黒髪のメイドをそれとなく見ると、まだ頭髪に湿り気が残っていた。コッタの髪の毛がキレイに乾いている。エルフィン・ローブの効果だろうか。どちらかのメイドが風の魔法を使ったのかもしれない。私であっても気配だけで他人が習得している魔法の内容まで知ることはできない。メイドが自分の髪の毛をぬらしたままにしているのは、魔法力の浪費をおさえてのことだろう。
残念なことに、黒髪のメイドは私が話し出すのを待っているようだ。私が少し悩んだそぶりを見せたせいかもしれない。心の整理がつくの待っているように見えるし、あっちもあっちで整理したいことがあるのかもしれない。
コッタだけが泰然としている。彼女はもう一度、私からメイドを経由して窓のほうを見ていた。
私は自分の素性をいちいち話すつもりはない。そんなことよりコッタについて建設的な意見交換がしたい。この場合むこうから話を進めてくれたほうが楽なのだが、私からきっかけとなる質問をあげることにした。
コッタの洋服についてなら、気軽に聞いても良いのではないだろうか?
「コッタのこの服はなんというのだろうか?」
美しき半分目蓋の持ち主は黙ったまま視線を遊ばせている。『知らない』と主張するのに適しているかのようで、彼女のかわりに黒髪のメイドが答えた。
「フレア・スカートのワンピースといったところでしょうか?」
余計に
「ひかえめなオーバー・スカートのデザインに
その
けれどもフレアがオーバーな性能であり、かつ
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