第29話 ハジュ。幻獣の妖女 ②
体力的にはまだ
このままどこかの町で二人で静かに――。もっと静かな村で――。もっと二人きりになれる場所で――。
エスカレートしていく悪魔の声を追い出してから目を閉じると、私はすぐに夢の世界に入った。――。――。かのような感覚に襲われた。
お花畑でコッタと
ゆえに私はすぐにこの奇妙な感覚を把握した。
これは睡眠時の夢ではない。
このときの私はカフェから離れて、白い
どこを見ても闇と白の
早急な原因の特定は困難のように思われたのだが、
『いいんですか、わたしを置き去りするようなことをして』
ハジュ――――あくまで私の邪魔をするのか?
「ご大層な能力をもっているようだな」
『あなたほどではありません。ユリス』
「お前は何者だ? おおかた幻獣であろうが、私になんの用だ。なぜ私につきまとう?」
『幼女を手にした
小奇麗に笑ってもイラつく表情にしか見えない。
「私を
私はハジュを吹き飛ばすつもりで巨大な火球を魔法で生成し、問答無用で打ち放った。けれども私の火球は威力を発揮する前にハジュの眼前で破裂した。直撃には至らず、氷のシールドで防御されている。
『あなたがあなたである限り、私に対するあらゆるダメージ・ソースは無効化されます』
「お前の能力はドッペルゲンガーのたぐいか?」
私の
幻獣を目視した経験は少ないのだが、そのなかにおいて、最強である私と同じステータスを保持している個体は見たことがない。
私が
『わたしにはあなたが必要なんです。多分、あなたにも……』
小ざかしい
「私には用がない。今すぐ消えろ」
『分かりました。再会を待ちます。人の命の時間など、わたしにはロウソクより短いかすかな炎。〝あの子〟の場合だともっと短い』
「何が言いたい?」
『私はあなたの絵を見ています。モチーフとして採用していた少女たちは9歳以下くらいでしょうか?』
「……」少女ではない。幼女だ。やはり殺しておくべきか。
『あの子にはあと何年残されているんでしょう?』
「キサマは私が
『ソロ? コッタがいるのに?』
「ッ!!」
『守るべき物の
「消えろォッ!!!」
私の怒りに
『先に見つけてもらったのは、わたしのほうなのに、わたしの声は聞き入れてくれないんですね』
「私の知ったことではない……」
ハジュからの返答は失われて、私は眠っていたかのような感覚から抜け出した。その
私はコメカミを
カウンターにいる
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