第25話 40万リリングのメイド ③
金髪のメイドは、
計測はすぐには終わらず、足裏の長さや、計る必要があるのか疑問視される頭のサイズにまでいたり、そのメイドの手が
「あと、この子にトイレの使い方と、風呂の使いかを教えてもらいたい」
この巨大な二つの
「
トイレのことをもう口に出さないのは、このメイドの配慮だろう。信頼を求める直線的な視線が、私から確認の手間を奪っていた。
「ああ。
「かしこまりました。そちらの方はわたくしがお受けいたします」
「私は二、三時間ほどで出歩いてくるから、そのあいだに済ませておいてくれ」
「二、三じかん……ですか?」
「長いか? 女の風呂は長いものだろう? 着替えも済ませておいてもらいたい」
「いえ。ご理解いたしました。あくまで〝普通のご入浴〟――ということでよろしいのですね?」
普通? 普通以外に何があるというのだ? 私は空想を
「ああ。もちろんだ。おかしな
コッタの実年齢は聞きそびれたままなのだが、長年の観測結果と照応するに、おそらく7歳くらいだという推測が立っている。7歳といえば、教えればなんでも身につけられる年齢であるはずだ。できればコッタには楽しくその過程を乗り越えてもらいたい。
私は真剣な空気を
「コッタは今の話を聞いて何をするか分かっただろうか?」
「なんとなく
「ああ。なんとなくで
「ルークは外出?」
「ああ。終わったころに帰ってくるよ」
コッタはいつもの平坦な表情にみえる。彼女がクルリと首を回した視線の先には、黒髪のメイドがいた。黒髪のメイドは安らぎを与えうる優しげな笑みを返した。さっきまではどちらかと言うと厳しい印象であったのだが、ガラリと雰囲気が変わっている。
これは金髪のメイドとは別種の魅力だ。ツンデレとでもいうのだろうか。ここぞと
幼女であるコッタの場合はどうかというと、なんの変化もおとずれていなかった。けれども確認作業を終えたコッタは無言で私のほうを見上げていた。無言であるのだが、今や
〝こういうこと〟は言っておいたほうがいいのだろうか……。
コッタがあまりに無表情で、不安というもの知らない冷静な賢者のような顔付きであるから、先んじて私の中に
私は口を開いた。
「心配しなくても帰ってくるよ」
「うん」
やはり余計な一言だったのかもしれない。思いのほかずっと力強い返事のように聞こえる。
まあ……。……。たいして寂しがってはないようで、それについてはなによりだ。
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