第24話 40万リリングのメイド ②
それでも
「とりあえす、この子の服が欲しいんだ。この街の平均的な娘くらいの服がいい。どう注文していいのか自分でも上手く言えないのだが、なんというか……とりあえず普通の
「普通……」黒のメイドはひととき
「ああ。その通りだ。あくまで
私からすれば
本当は
「
とりあえずの二着。あとはコッタが自分でお気に入りを選ぶべきだろう。
私の依頼が終わると、黒髪のメイドは
「
「ああ。〝それ〟も頼む。私たちはこの街の
黒髪のメイドは金髪のほうに向くと、黙ったまま指示を飛ばすようにうなずいた。
髪のメイドは持参したお
結局〝その箱は〟化粧道具だけに限られたものではなかったらしい。女性用の7つ道具も収められた箱といったところだろうか。
金髪のメイドは箱の底のほうから
「それではお嬢様、こちらにお
「コッタは冒険者。お嬢様じゃない」
さて、と……。コッタ殿……。
出会ったときからチラ見えしているその冒険者に対する妙なこだわりには、
なんなら水洗便所と風呂を攻略しようとしている今が冒険の最中であるから、本人は気が付いてないかもしれないが、彼女の望みは満たされているわけで……。
金髪のメイドがコッタにむけてスムーズに頭を下げていた。
「失礼いたしました。それではコッタ様。こちらにお越し下さい」
金髪のメイドはへこたることなく、明るい導きのハンド・アップ。
だがコッタは簡単に流されなかった。
「コッタ、〝
「いいえ。当ホテルにお越しのお客様は〝様〟でございますよ?」
金髪のメイドは清楚な
このまま放置したほうが面白いものが見れる確信があるのだが、コッタが嫌がっているかもしれない。私はコッタの流儀に従うことをメイドに求めた。
「いや。いいんだ。できるだけ友達みたいに接してくれないか?」
金髪のメイドは私たちへの返事を保留して、目をパチクリとしばたき黒髪のメイドのほうを見た。
黒髪のメイドは、私の顔色を思慮のもとで動く瞳で
私は合意を示す
沈黙下で意志の交換が終わったあとに、黒髪は金髪のほうに向きなおって支援的に頷いた。この間、わずか数秒。できるメイドは余計な質問を持ち出さないものだ。
金髪のメイドは、暗黙の最終決定を受け取ると、ロリコンを
「それじゃあ、コッタちゃん。両手を上げてくれる? こぉぉぉんな感じ」
元気いっぱい。そんな
「うん」
ソファを降りて金髪のメイドのそばに寄ったコッタは素直に両手をあげた。けれどもコッタの半分目蓋の位置はゆるぎない。結果的に畑から引っこ抜かれてすぐのニンジンのような印象を全身から解き放っている。どうしようもなく無防備で、
けれどもそこには確かな光がある。
幼女の体がこちらの申し出に答えて動いてくれるとき、私たちはどこからか自然発生する最高善の溜息を発することになる。幸福に至ることができるのだ。
……。……。
私だけだろうか? そうではないと思いたい。仕事とはいえメイドたちには好意的に働いてもらいたい。
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