第22話 無知なリンゴ ②
私はコッタに
「?」そいうのは困る、とでも言いたげなのかどうか。無表情なコッタがいた。
幼年期特有の意思疎通の困難があるのかもしれないが、説明して良いことと悪いことがあって、私の話は要領をえないものに終わっていた。
「まわりから見ると不自然に映るかもしれないから、
「ふーん」
エルフィン・ローブは
私は流し《シンク》の近くの棚を適当に開いて
私の後ろをついて回っていたコッタは、今だにクルクルと室内を見渡している。
一緒に座ってはくれないようだ。室内を見るのに忙しいのだろうか。私は声をかけるのに少し迷ったが、私たちはまだ
料理らしきものをほとんど習得していない私であるが、刃物の扱いには慣れている。リンゴの皮の全部が一本につながろうかというところで、ちょうど私のもとに帰ってきてくれたコッタの視線をひろった。
「座るといい。食べるだろう?」
「うん」
彼女が着席すると、私はロー・テーブルを片手でそっと持ち上げて、もっとソファに近づけた。
小さく切り分けていったリンゴの
リンゴが半分とちょっと消えてから疑問が生じた。
こんなに食べさせてもいいものなのだろうか……。
腹が減っているなら食べるべきだし、それを止めるつもりはない。だが食べ過ぎは体に毒だ。幼女においては
私は幼女の
私はナイフを置いた。
「コッタ、食べ過ぎ?」
「いや。そんなことはないよ」
コッタの
私はコッタの
コッタは極端に反応の薄い子供であった。
ルーシーにビックリすることも、空からの景色に感動することも、この宿も、おそらく初めて見たであろう
最小限の反応は示すのだが、その声に
つぶさにコチラを見つめ返してくる幼女がコッタであった。
もう少し時間をかければ、言葉の奥にある心の一部でも知ることができるのだろうか?
「好きなだけ食べてくれて良いのだが、残りは少し時間をあけてからにしようか」
「うん」
素直ではある。良くも悪くも。
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