第16話 リバース・デイ
ルーシーの飛行が順調に目的地までの距離を
やがて日の出の
お
特に感想もなく、いくらか時間が流れたのちに、コッタは物静かなまま
ルーシーは少しだけクスクスと笑ってから静まった。私もまずは穏やかな笑みで見守ることにした。
彼女はまじまじとルーシーの瞳を見つめていたのだが、やがてそれにも飽きてしまったのか。今度はルーシーの
コッタはそこにに留まり、今度は地上を含んで視線を広く
「ここは?」
「空の
「コッタは……
「……。いや。生きてるよ」
「……」
コッタは私の横に
「大丈夫、落ちたりはしないよ」
「……」
いきなり信用することなど不可能だろう。コッタの手は離れなかった。
正確に言えばルーシーの背中からは落ちることができる。けれども現在は途中に展開しているシールドのところで止まる。ただしそれ以前に私が素早く動いてコッタを
コッタはまたゆっくりと周囲を
私はコッタが何か
帰宅についての意志とか、現在地についての情報とか。何か聞きたいことがコッタにあるのかを知りたかった。あるいはそういったものが今の瞬間に生まれるのか。私はそうした言葉から彼女の心を読み取りたかった。だがいくら待てども、コッタから次なる言葉は出てこなかった。
けれどもコッタはなにも喋らなかった。奇妙なことだが、ずいぶんと落ち着いた雰囲気に見える。気のせいなのだろうか? 動揺というものがまるで感じられない。もともとのタフなメンタルの持ち主なのだろうか。
これからどうするのか。そういったことは最初に
私は
長くて赤い
冒険者だったころに私が発見した魔法だ。公表したら世界中が
この魔法は少しコッタの興味を引いたらしい。
「
「ああ。残念なことにコッタには知られていなかったようだが、私はこれでもその
コッタは「ふーん」とつぶやいた。瞳も表情もほとんど動かない。
「この
チョウチョではなく
ルーシーも
「ルーシー。正式名称はグリーン・アイズ・モス。私の友人にして
「
「それは……。そうだな、どこから話そうか……」
幼女に向けた
『よろしくね。コッタちゃん』
「うん。よしなに」
『ユリスと仲良くしてあげてね。昔はそうでもなかったんだけど、今はひとりぼっちだから』
「うん。
いくらパーティを解散したからと言っても、私には知り合いなど
コッタはルーシーと仲良くしてくれるらしく、まずはそこを喜ぶことにしよう。その上で私は
「どうかした?」
コッタが首を
だとしたらその半分くらいの位置についてる
「いや……。ユリスという名前も、
「次の名前は?」
「そうだな」と思考を
キングでもナイトでもビショップでもなければポーンでもない。
〝
まだ幼いせいで、慣れない他人に対する対処に困っているのか。コッタのリアクションは薄いもので統一されている。
そうしていると目的の
――
粒のような大きさの人々が朝一の活気を生み出しつつあるのが見えた。
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