第12話 レベルなど役に立たないから
「でもコッタ、本当を
とつとつと幼女は語った。
「お父さんの
それですべてなのだろうか?
コッタが喋り終わったと
着ているものを見るに、コッタの
世界をわたり歩いた経験を持つ私には、コッタの背景にあるものが手に取るようにわかった。
私はあえて今まで幼女を救済してこなかった。世界には数多くの幼女が当然ながら存在する。私はその一人としてまともに救っていない。いくら
……。……。
いや、これは
そしてコッタの
いくつもの
ただし、ここでの結論はそれだけで
世界とは
おかしな話じゃないか。
おそらく大きすぎる問題が彼女の過去にあったのだろう。その小さな体が背負うには大きすぎる問題だ。
答えなど知らん。そこの答えを突き詰めることに意味は無い。だがその過去だけは今から即刻打ち落とす。
コッタの瞳がほかの誰かのためのものではなく、自分のための色彩を見つけるためにあるのだということを、今から私がなんとしてでも気付かせる。
過去は変えられない。過去にはどんな魔法もスキルも通用しない。だから過去にぶつけることが出来る
言葉を回せ。言葉を届けろ。
――クロノスフィール――
古代の神は私に教えてくれた。言葉だけが時間を越えて過去に打ち込むことができる唯一の兵器だ。コッタが下した決断を、私が必ず打ち砕く。
「ニークエアイム嬢よ。滅びの美学もあるだろう。だが生きてなお目に映る美しさも世界には等しく存在する。自分の存在があらゆる否定によって囲まれたとき、ときどき世界がそっとそいつを教えてくれるときがある……」
私にとっては幼女であった。コッタにとっての〝なにか〟もきっとどこかにあるはずだ。いつか必ず見つかるときがくる。
私は膝を折って可能な限りコッタの近くにまで視線を落とした。コッタは
「そいつは例えば、命の危機に瀕したときに働くお
幼女はときどきゆっくりと
私はただ静かに言葉を押し出した。
「だがいかなる
「……」
「
幼女に
「生きていて欲しいと思うんだ……」
「……」
私だけが惨めに泣いていた。
「傷ついてしまった両手はッ!!!!」
思わず叫んでしまっていた私の声が、幼女を驚かせていた。私は息を飲み込んでから、優しげに語れるように息を整えた。
「傷ついてしまった両手はいつしか開かれて、握り締めに来る誰かを待つ季節をすごし始めたのだと見なしても、罪はないのではなかろうか」
「……」
「ニークエアイム嬢よ。私と一緒にもう一度生きてみようとは思わないか?」
無価値な自分の涙だけが流れて、コッタの
「コッタはコッタ。ニークエアイム
コッタの
「
「コッタはどうするの?」
私は立ち上がるあいだに
「私はもともと冒険者だったんだ。どうとでも出来るさ」
「冒険者?」
「ああ」
「コッタもそれがいい」
コッタの
激情に流されてみずからを冒険者と口走ったことを、私は
なにかと
「すぐに決めることはないだろう。まずはその瞳に世界を
「うん」
そう
――アナライズ――
私の
《LP1》
私は
コッタのLPと共にある1という数字が、彼女が
疲れて眠りに落ちたのが今のコッタであると考えていいだろう。彼女の
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