第10話 もしそれが希望ならば
昼がすぎたころに、幼女の近くの空気が動いた。一流の冒険者だけが感じることができる小さな気配だ。
それは
人類最速の
私は
優しく流し込むことには注意した。
そのはずなのに、与えた水は幼女の頬からことごとくこぼれ落ちていった。どこをどう見ても水は幼女の
私は
「……
「なんだ?」
「
「ダメだ! 死ぬな! 死なないでくれ!」
私は水筒に残された水を、自分の口の内側に取り込んだ。幼女の
けれども私は、あまりに小さなその
幼女の青い瞳は、あますことなく私を見ていた。これから行われるであろう――もはや心の中では実際に行われていた――私の所業を見ていた……。
私にはそのように感じられた。疑心暗鬼なのだろうか。そうとは思えない。
気が付くと、幼女が装備していた
少なくともその熊は私に痛烈な批判を向けていた。非常事態という状況にかこつけて、幼女とのキスを試みようとしていた真性のロリコンがここにる。守り神かなにかのような存在によって、私は自分の
そして水筒は
「新しい水を……とってくる……」
「泣いてる」
「……」
「どうして?」
「クズなのだよ。私は」
私の涙が落下をはじめていた。空間の中を下に下にと位置を変えている。コッタの
私はすばやく
「水を……とってくるよ」
私は
私は追加の水を用意することだけに専念して、余計なことを考えずに実行の手順をふんだ。
満タンになった水筒を持ち帰ったときに、幼女の瞳がこちらにむけて動いた。気のせいではない。その
水分補給が完了し、幼女が一人で座れるようになると、私はまた一から
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