第9話 しげみにいく残飯
大人である私であっても
私は立ち上がり、そしてあまり
強度を確認するためにも防壁を軽くノックしてみた。物理的に問題ないことは確認できたのだが、幼女からの反応は見られなかった。コンコンと響いた音は幼女にも届いていたはずだが……。
ともかく今は
「すぐに戻ってくる」
「……」
幼女の肩は呼吸で小さく動いている。まだ終わっていない。
私は最高のスピードを出力できるように、
「ユリス、冒険ですか?」
人間モドキが
準備が整うと、私は自宅から飛び出した。美しき
『お前じゃない』
幼女は相変わらず喋らない。けれども
私は気を取り直して
思いのほか時間がかかる。私は周辺からあつめた細い
このような形で使われるとは思いもしなかった。私の奇行で救えるものがあるのだろうか。
私はおそらく完璧な形となった粥をもって幼女に近づき、結界をほどいた。爪先が
「食べたほうがいい」
予感はしていたが、やはり幼女は顔をあげてくれなかった。
私は準備してきた袋の中から自分用の皿を取り出して
けれども
私は幼女の
そしてきちんと言葉にして伝えた。
「私も食べた。危険なものじゃない」
「……」
度重なる無視がここまでダメージ・ソースになるのは初めてのことだった。私は気を強く保ち、
無意味かに思われた
そこからは変化のない繰り返しだった。私は冷えて行く粥をしつこく温めなおしたり、新たに調理しなおしたりした。それでも幼女は
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