第6話 できそこない
森の夜は
ところで
私の場合は目が覚めるほうだった。そんな意味もない答えを知ったのがその日の朝だった。
自宅のソファでずぼらに眠っていた私は、例の再生途上にあったかのうような人形が
近い……。吐く息のがしつこく私にぶつかっていた。至近距離で交差した視線の先には丸くて白い瞳があった。その瞳と同じ白色の前髪たちが、デコの前で横一列に並んでいた。
私は寝転んだまま人形の
「おはよう、でいいのか?」
「はい。おはようございます」
「名前は?」
「私はハジュクラ・ハジュリ。
「私はユーリスだ。ユーリス・クヴァンツス。良く知る者はユリスと呼ぶ」
「覚えておきます。ユリス」
石から人形を経由して動き出したようなやつである。私の名前くらいは知っていてもおかしくはないのでは? と思うものの、そういった考察はすぐにどうでもよくなった。
「ではハジュよ。お前に帰る場所はあるのか?」
「帰る場所はユリスのいるところです」
「ハジュよ。
「じゃあ、ここにいます」
それがハジュとの最初の会話だったと記憶している。私はそれ以上なるべくハジュとは関わろうとしなかった。
もう少しまともな人間ならば、ハジュを欲望の
ハジュは確かに
私はハジュのプロファイルを探ろうとは思わなかった。少しも興味が
「ユリス、冒険に行きませんか?」
「ふざけているのか?」
たまに口にする言葉がなによりも気に入らなかった。そのせいで会話が
もし冒険があるとしたら幼女の観察を除いてほかはない。
この
そしてこの頃の私は、デッサンに足るほど幼女の姿を、記憶に焼き付ける義務があったと記憶している。
ロリコンに転じたあとの私は絵を描き始めたのだ。私は失われゆく幼女の姿をキャンバスにとどめることで、幼女世界の
もし心の優しい
ハジュのことなど
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