2.神社なんてあったっけ?
駅に向かう通りは、同じ高校の生徒や、市がリニューアルに力を入れているアーケード商店街の賑わいで、華やかだ。この辺ではちょっと有名な観光名所になっている桜並木の
あのトンチキ美人な
「……あれ? でも、この辺に、神社なんてあったっけ?」
ふと、疑問に思う。小さな違和感だった。
だがすぐに、別の違和感が音を消した。遠く、どこかの
太陽のはずはない。太陽は、西の山の
星でもない。強くもない光が、それにしては近すぎる。
「どうしたの、
「あ、うん……今、なんか……」
通りを歩く誰もが、反射的に身をすくませる。遅れた悲鳴が、今度は、海に向かって巻き起こった突風に散らされた。
「ひゃっ! な、なになになに? か、
「そうみたい、だけど……変だな。こんな、急に……」
空は晴れていた。
突風の吹いた先、東の方へ視線が動く。
海の、すぐ上の空間に、コンピュータ・グラフィックスで見る台風のような
空の青と海の
そして、動いている。高波の波紋が、ゆっくりと広がっていた。
「
同時に到達したのも、
通りに面した一階は、オープンスペースのカフェだった。上層階には、不動産会社の事務所やカルチャースクールなどが入っていた。
一階だけは無事だった。上層階は、無人だったはずはないが、わずかに
今度こそ、悲鳴の絶叫が通りをふるわせた。人波が
「
「ゆ、
「
駄目だ。あの敵をなんとかしないと、みんな危ない。
敵? なんとかしないと?
そう、自分でも意味がわからない。
だがその思念が、
また不思議に、音が消えた。
「お
逃げ
「俺は……」
「あなたは、この
まっすぐに立ち、引き
「あなたは、その
********************
音が戻った。群衆の
景色も変わった。水平線を見下ろす、広く高い認識の
真正面に、無秩序に
「え……? あ、あれ……?」
目ではなく認識が走査し、知覚した。
鋼鉄を束ね合わせ、組み上げたような
戯画化された機械仕掛けの戦神像、全身を
「な、なん……なんだ、これ? 一体、どうなって……?」
いや、違う。空ではなく海を向こう側の天面に映して、
街を襲った怪物の
「は……あぁあっ?」
声が裏返り、目が白黒する
「繰り返しますが、あなたは神さまです。その
- At the day of universe falling down, to the far away for you darling dear -
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