第20話 殺しはしない刀
ここ最近酷い目に遭いすぎな気がする。
痛む頭を抱えながらソファに座り直す。残るは刀と帽子とUSB。同じく左から、ということでサムライから貰った刀を握りしめる。
「この刀は大体のものを切り刻めて、鞘に収めるとそれが元に戻る力を持っている」
......それで終わり?
「追記。他の奴らからもっと書けとか分かりにくいとか言われたので書くことにする。先述の通り、この刀はあらゆるものを切れる。金属でも魔法でも何でもだ。ただ、この刀の利点でもあり難点でもあるのが鞘に収めると切ったものが元通りになることだ。試しに何か切ってみると良い、自分の腕でも良いぞ、死にはしないからな。何で死なないかは知らんが、これは痛みはあるがダメージはないような刀なんだ」
サムライが刀を振っていた場面を思い出す。
確かにあの時、荷馬車の中でアンナが切られた時、何かに引っ張られるようにして外へ出て行った。あれはこの刀の力だったのか。
鞘を抜き、刀身を露わにする。見てくれは何の変哲もないただの刀、一体どこにそんな力があるというのか。立ち上がり、さっきまで座っていたソファに刃を突き立てる。
「ていっ!」
という声と共に一気に一振り!
一度刃が入ると、ソファは何の抵抗もなくスーッと両断された。流れですぐに鞘に収めて見ると、逆再生してるかのようにソファが元へ戻り、みるみるうちにソファは傷一つなく元の状態へとなった。
座って感触を確かめる。 ......うん、いつも通りフカフカのソファだ、特に違和感があるわけではない。
しばらくそうやってソファの感触を確かめているのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます