ここからは発展とか

狭い舞台でその外側を描く

舞台を狭くすると設定が一気にシンプルになるというお話を書きました。


その中で話を完結させるためには、その話で描きたい世界の縮図をそこに作る感覚だと良いと思います。


基本的なところとして、登場人物を考える段階でそうする方法を書きましたが、小道具で演出する方法もあります。


例えば、ファンタジー世界の作品を書きたいとしましょう。


ファンタジー世界に何を求めるか人によるでしょうが、「この世界と何かが少し違う」というのが肝なのかなと思います。つまり、馬車のような乗り物はあるけど引いているのは馬ではない、とか。この世界のものがその世界では何か別のものに置き換わっている、という感じですね。


さて、例えばそんなファンタジー作品を書く時の舞台を、レストランの中としたとします。


この世界とは別の、魔力エネルギーで生活が支えられている世界。しかしそれはいずれ枯渇する未来が予測されている。そんな世界を書くことにしましょう。


例えば、部屋の暖かさを保つために火の魔法が使われていたり。例えば、調理場の火にも魔法が使われていたり。シャーベットも氷の魔法?

その世界のフランベの炎は不思議な形になったりしていたら素敵ですね(これはエネルギー問題とはそんなに関係ないただの思いつきですが)。


まずはそんな感じで、その世界がいかに魔力で成り立っているのかを、レストラン内部の小道具を使って演出します。


そして、枯渇の問題について軽く描写します。


例えば、お客様の中に、その問題について雑談の中で話し合う人がいたり。これはかなり直接的な表現といえます。

あるいは、誰かの読んでいる新聞記事のぱっと見えた見出しの一つとして描写するのもありですね。

ふっと一瞬部屋中の魔法による仕掛けが弱まってすぐ回復し、「最近こういうこと多いよね」とざわつかせるのもひとつの手です。


物語のテーマは非常に深い段階の所に存在します。規模も広い。少ない設定、コンパクトな設定の中でそれを描写するには、「テーマとなっている物事の結果として表面化する事象」だけを描写していくというのがコツかと思います。

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