後ろ髪

後ろ髪

近い距離で

たなびいて

手指悴み

踏み込めなくて




________________


どうして……?

思わず、息を飲み込んだ。


君が歩いているあの子は誰――いや、分かってしまった。

同じ学年の。

いつも仲良くしている子だ。


その子の髪が、風で揺れる。


距離が近い。

多分、私よりも。

君と、その子の距離は。


誰よりも近い。


(そういうことなんだ――)


寒い。

昨日から、いきなり寒くなってきた。


踏み込めないのは。

勇気を持てないのは。


秋の気配を通り越して。

もう、冬を感じるから。


指先が、寒くて痛くて。



(もう、何も考えたくない――)

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