第16話 惑星を武器にする者1

 「なるほどね、その彗星は今のこの惑星の状況をからすると危険な存在ね。だけど、防護壁の修復が完成するのはまだまだ時間が必要よ。」


 「ねぇ、ママ。つまりそれは迎え撃つというだよね。」


 「そう、だけど今回は彼女を討った時のように悠長に構えている暇はないわ。それに悪いことに、いわゆる彗星の落とし子エイリアンたちはどこに落ちるか分からない。あ、いや、概ねの位置はわかるけどそれまでよ。」


 「うっ......。」


 「広い範囲を二人で手分けしてカバーするしかない。問題は、まだあきらちゃんは戦う方法を知らないことね。思ったよりも早くこの機会が来てしまったわ......。」


 「私やるよ!大丈夫、心配しないで!」


 「頼もしいわ、ありがとう、あきらちゃん。さっそく、あきらちゃんに戦う能力を授けましょう。時が惜しいわ、少しでもこの武器の取り扱いに慣れて。」



 ママはそういい終わると、両手に青白い稲妻を生じさせ、一瞬のうちにエブレンとの戦いで用いた青白い金属製の剣と盾を手の内に握った。

 


 「......これは簡単に言えば大気中にガスとして飛散している金属原子をとらえて、武器の形に形成したものよ。」


 「おぉーーっ!!」


 「最初に授けた電気を操作する能力は、こうしたことに応用できるの。どうデザインするか、大気中の金属原子の気配を感じて、どれを武器に転用するか、その時の最適解は頭では中々理解しがたいの。つまりはこうした超常現象を操ることも身体で慣れるしかないわ。」


 「が、がんばるよ......。」


 「今、私の部屋にいるわけだけど、ここはちょっと金属の気配が少ないから武器として形を成しにくいわ。だからやりやすい場所に移動しましょう。」



 ママはそういうと、いそいそと玄関のドアを開けた。

 強烈な風が、ドアの外で吹き荒んでいる。



 「この冷えたジェット気流に乗って、オーストラリアの砂漠部に行きましょう。空気が乾燥していて、鉄が豊富な土壌が練習に最適よ。」


 「はーい!」




 私たちはドアから暴風の中に身を投じ、オーストラリアの中心部を目指して飛行した。

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