ボクの実家へGO!

「ただいまー」

「お邪魔します」


 ボクはお盆に、ヒカリちゃんを連れて実家へ帰ってきた。


 するとトテトテと、中学生の妹のうみが出迎えに来た。黒髪ポニーテールの元気な女の子だ。


「お帰りー! お兄ちゃ──ん!?」


 ボクの隣のヒカリちゃんを見て、ウミは固まった。


「天王寺光莉です。お兄さんとは、お付き合いさせて頂いてます」


 ペコリとヒカリちゃんが頭を下げた。


「こ、恋人!? お、お、おかーさーん!?」


 ウミが血相を変えて、母さんを呼びに行った。


 先に彼女を連れてくるって連絡しとけばよかったかな……?



 


「改めて紹介するよ。こちら、ボクの恋人のヒカリちゃんだよ」

「ヒカリと申します。よろしくお願いします」

「うふふ、ナギサ君が女の子を連れてくるなんて、お母さん、びっくりしちゃったわぁ」


 母さんはにっこにっこの笑顔でお茶を出してくれた。


「…………」


 対してウミは何やら、不機嫌そうに黙っている。


「ありがとうございます。お義母様」

「あら、お義母様だなんて、なんだか嬉しいわね!」

「ナギサ君とは結婚を前提に、お付き合いさせて頂いています」

「もう結婚を考えているの? まだ少し気が早いんじゃないかしら?」

「もうボクは、天王寺さんのウチに結婚の報告をしに行ったんだ。向こうも快諾かいだくしてくれたんだよ」

「て、天王寺ってあの“天王寺”かしら!?」


 母さんが目を丸くする。


「うん、その“天王寺”だよ」

「…………」


 母さんは少し沈黙した後、こう言った。


「今すぐ結婚なさい! ナギサ君!」

「──母さん!?」


 目が¥マークになっていた。全く、現金な……。





《ヒカリ視点》


 お義母様に盛大に歓迎され、夕食を頂いた後にお風呂に入らせてもらう。


 身体を洗い、お湯に浸かり、ふぅと一息。


「ナギサ君のお義母様には認めて頂いたけど、妹さんとはあまり打ち解けられませんでしたね……」


 そこだけが唯一の心残りだった。


 急にガラガラとお風呂のドアが開いたかと思うと、妹のウミさんが服を脱いで入ってきた。


「あ、あの? 入って……ますよ?」

「アタシはまだ認めてないよ……」

「え?」

「お兄ちゃんとの結婚」

「そう……ですか。いきなりでしたものね……」


 ウミちゃんはそのまま身体を洗いながら、質問を投げかけてきた。


「お兄ちゃんとのれ初めは?」

「幼稚園の時です……ね」

「え? ってことは幼なじみ?」

「はい、その時に結婚の約束をしたんです」

「お兄ちゃんがいつも言ってた約束の人……?」

「は、はい……」

「そっか……。子供の頃の約束をお互いずっと信じていたんだね。アタシがちっちゃい頃に『お兄ちゃんと結婚するーっ』て言っても『ボクにはもう先約がいるんだ』って、よく突っぱねられたなぁ」


 ふふっと自嘲するウミさんは身体を流し、そのままお風呂に対面に浸かってきた。


「あの、私、上がりましょうか?」

「ううん、もうちょっと話してもいい?」

「はい、いいですよ」

「お兄ちゃんのどんな所が好きになったの?」

「はい、数え切れないほどにたくさんあります──」


 私はずらっと、百個ほど好きな所を述べた所で、ストップをかけられた。


「わ、わかった! わかった! ヒカリさんがお兄ちゃんの事を本当に好きなことが分かったよ!」

「まだまだありますよ……?」

「ふふっ、本当に好きなんだね」


 ウミさんの頬には、いつのまにか笑みが浮かんでいた。


「はい、とっても大好きです!」

「うん、これならお兄ちゃんを任せられる。よろしくお願いするね、“ヒカリお義姉ちゃん”」


 それを聞いた私は、嬉しくなってつい口元が緩んだ。


「はい、こちらこそよろしくお願いしますね、ウミさん!」

「ウミでいいよ! それより──」


 ウミは私の胸を凝視する。


「ヒカリお義姉ちゃんって、おっぱい大きいよね! 何カップ!? それとそれと──」

「えーとですねー!」


 その後、延々とガールズトークをして、2人でのぼせてしまい、ナギサ君に心配されました……。




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