テスト勉強

 林間学校も終わりを告げ、1学期の残すところは期末試験だけとなった。


 今、ボクはヒカリちゃんと家で勉強をしている。


「ヒカリちゃんって、何の科目が得意なの?」


 ボクはふと気になって、質問してみる。


「現代文以外は全部ですね。三年生までの内容は全部、頭に入ってますので」


 さらっと言ってのけるヒカリちゃん。す、すごい……!


「でも現代文だけは、頭に詰め込んでも分かるものではないので苦手……です」


 ヒカリちゃんがしょんぼりした顔をする。


「現代文ならボクは得意だから、教えてあげるよ〜。代わりに他の科目教えてくれると助かるなぁ……」

「はい! お任せください!」


 そうしてまずはヒカリちゃんへの現代文レッスンが始まった。


「まずはここなんですけど……」

「どれどれ……」


 ヒカリちゃんが問題文を読み上げる。



 女騎士がオークに負けて“くっ殺せ”と言った時の心情を1から4までで選びなさい。複数回答可。 1.悲しみ 2.憎しみ 3.無力感 4.期待



「これなんですけど……。私は1から3まで全部だと思って回答したんですけれど、答えは4だったんです……」

「あー、これね! これはね、原文の前半に書いてある女騎士の性癖をかんがみれば──」

「……なるほど! だから“期待”なんですね!」


 ヒカリちゃんは納得がいったとポンと手を叩いた。


 いや冷静に考えると、どんな問題だよ……これ……。



「じゃあ、次の問題、お願いします!」



 女の子が言いました。最初にみかんが2つあります。あと4つみかんを買ったらいくつになるでしょう。


 

 ん? どっかで読んだことあるような問題な気がするぞ……。確か、ふとしの家で全巻読破した漫画にあったような……。そう、確か答えは──


 

「私は6個って答えたんですけど、ダメでした……」

「うん、これはね、この女の子は最初の2つのみかんをどこで買ったか聞いて欲しいんだ。そして、残りの4つのみかんを一緒に買いに行って欲しいんだ──これが正解だよ」

「な、なるほどー! 女心って難しいですねー!」


 あれ? ヒカリちゃんも分からない問題なの……? これ……。


「次の問題です」



 雨の日は気をつけて登校しなくてはならな

い。⚪︎か×か。



「どう考えても⚪︎だと思うですけど、不正解でした……」

「これはね、雨の日じゃなくても気をつけて登校しなくてはならないから×なんだよ」

「…………なんか理不尽じゃないですか?」

「うん……。なんかの免許のペーパーテストにありそうな問題だね……」






 ヒカリちゃんはふぅーと息を吐いて、こちらを見据える。


「では私からナギサ君への問題です」

「ん? 何?」

「女の子が好きな人の前で目を閉じた時の心情を1から4の中で選びなさい。1.悲しみ 2.憎しみ 3.無力感 4.期待」



 ヒカリちゃんはゆっくりと目を閉じた。


「4だよね……?」

「正解です! さぁ……」

「う、うん……」


 ボクは頬がカァーと赤くなるのを感じながら、ヒカリちゃんにキスをした。


「次、行きますね?」

「うん……」


「女の子がキスをした後に、まだ物足りなさそうにしています。その女の子に男の子はどうするべきでしょう? 行為で示して下さい」

「うっ///」


 ボクはヒカリちゃんを抱き締め、再びキスをする。今度は深い、深いキス。


「んっ……レロ……ムチュ……ちゅっ」


 ヒカリちゃんの目がトロンとしたのを見て、ドキリとする。ううっ、ボクも反撃……しよう……!


「じゃあ、最後はボクから問題ね?」

「──え?」


「今のボクの心情を1から4までで全て答えよ。1、大好き 2、愛してる 3、可愛い 4、焼きイモ食べたい」

「──全部……ですか///?」

「うん、正解!」

「ナギサ君……」

「ヒカリちゃん……」


 その後、焼きイモ食べながら、散々イチャイチャしました……。けぷ。

 

 


 

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