メイド喫茶 その3
新しい男のお客さ──ご主人様がきた。ボクは接客に出る。
「お帰りなさいませぇ……ご主人さまぁ……。 ────!?」
よく見ると友人のフトシだった。なにやってんだコイツ……。
「おお! めちゃくちゃ可愛いじゃん! しかも赤ちゃんメイド! たまんねぇなぁ!」
もしかして気づいてない? よしよし……。
「赤ちゃんメイドの“ナギ子“でぇす……ご主人さまぁ……」
「くぅ、この恥じらいがたまんねぇぜ!」
「でもボク、男の娘でぇ……」
「オイラ、むしろ大好物でぇぇぇす!」
フトシ、そんな性癖があったのか……。友人の性癖ほど知りたくないものはないな……。
「ではご案内いたしますぅ……」
ボクはメニューを聞いて、ドリンクを提供する。
「萌え萌えミックスジュースでぇす……。今から、このシェイカーを魔法を込めてフリフリして、完成させまぁす……」
「うほー!」
何、鼻の下伸ばしてんだよ……。ううっ、魔法唱えるの恥ずかしいぃ……。
「萌え萌え♡きゅんきゅん♡みっくちゅじゅーちゅ♡」
ああああああああああああああああ! 恥ずかしいいいいいいいいいいいいい!
「た、たまんねぇ……。ぐはっ……!」
ご主人様は何やら鼻血を噴き出して倒れた。うん、即死魔法なのかもしれないな、これ。
「それとぉ……オムライスのケチャップの文字はぁ……どうなされますかぁ……? 愛情たっぷりで注ぎますねぇ……」
「“過払い金請求”でお願いします!」
もっと何かあるだろ……。
「はーい……。では、美味しくなーれ♡ リコピンマジック♡」
ボクは愛情たっぷりで“過払い金請求”とオムライスに書き込んだ。
♢
次のお客さんがきたので、急いで出迎える。
「お帰りなさいませ! お嬢さ──ん!?」
美月先生だった。なにやってんの、ほんと!?
「おー、可愛い新人メイドさんだなー。んー? でもどこかで見たような……?」
ま、まずい……!
「やだぁ……ナンパですかぁ? 当店はメイドへのナンパはぁ、固くお断りしておりますぅ……」
「す、すまん! な、ナンパ目的ではないんだ! ただ、私を肯定してくれる場所がここしかないんだ! た、頼む、出禁だけは勘弁してくれぇ!」
美月先生は泣きそうになりながら懇願してきた。あぁ、なんて残念な……。
「ケチャップで書く文字は何になされますかぁ……?」
「“
ほんと変な文字しか指定してこないな……。ここのお客さん……。
♢
「ふぅ……大変な目にあったよ……」
「ふふっ、お疲れ様でした、ナギサ君」
ボク達はリビングでまったりしている。
「お礼に余ってるメイド服をもらっちゃったね」
「着てみます?」
「え!? 着てくれるの!?」
やったー! メイド服のヒカリちゃんとイチャイチャできる!
お嬢様をメイドにするなんて、
「はい、ではナギ子ちゃん、お願いします!」
「え? ボク?」
頼みこまれて、しぶしぶナギ子へ。
「お帰りなさいませぇ……ヒカリお嬢様さまぁ……」
「か、かわいいー♡」
「うわー!」
ヒカリちゃんがボクに抱きつく。
その後、たびたびメイド服のコスプレを頼まれるようになったボクなのでした……。
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