球技大会特訓 その2
「おなかすいたー!」
きゅるきゅるとお腹を鳴らすトバリちゃん。
「すみません……腕が筋肉痛でお料理出来そうもありません……」
ヒカリちゃんが申し訳なさそうにそう言った。
ふむ、ボクが料理してもいいけど、トバリちゃんもいるし、まずい料理を作る訳にはいかないな。
「ウーバーで何か頼もっか。トバリちゃん、食べたいものはある?」
「家ではお上品なりょーりばっかりだから、たまには、ハンバーガー食べたい!」
「ヒカリちゃんは?」
「私もハンバーガーで大丈夫ですよ。今日はたくさん動いてお腹が空きましたね……。てりやきバーガーセットでお願いします! チキンナゲットバーベキューソース付きで!」
「あたしはチーズバーガーセットがいいー!」
「うん、りょーかい」
♢
「「「いただきます!」」」
配達員の人がハンバーガーを持ってきてくれたので、みんなでいただく。
うん、便利な世の中になったな。ほんと。
「うっ……」
ヒカリちゃんがポテトを食べようとすると、筋肉痛がしたのか、顔をしかめた。
それを見たボクは、ヒカリちゃんの口元にポテトを運ぶ。
「ボクが食べさせてあげるよ。はい、あーん」
「あ、ありがとうございます/// あーん……。ん〜おいしいです〜♪」
ヒカリちゃんは嬉しそうに食べている。
「あー、おねーちゃんばっかりずるーい! あたしもあーん!」
トバリちゃんが大きく口を開けたので、ポテトをひとつ。
「んー♪ おいひい〜♪」
幸せそうにポテトを
「くすくすっ、トバリったら甘えん坊ですね」
「うん、まるでヒカリちゃんみたいだね〜」
「もぉ〜、ナギサ君///」」
「おにーちゃん、おねーちゃんとらぶらぶ?」
「うん、ボクはね、ヒカリちゃんが大好きなんだよ!」
「あわわわわ///」
「あはは! おねーちゃん、かおまっかー!」
♢
ベッドで川の字になって、3人で眠る。結構せまいが、それが逆に落ち着いた。
「えへへー! みんなでねるの楽しいねー!」
「うん、そうだね」
「今日、1日、おねーちゃんのとっくんがんばったから、ごほーびほしー! んっ!」
トバリちゃんは頭をボクに向ける。
「よしよし。今日は頑張ったね〜。トバリちゃん」
「うん〜♪」
トバリちゃんは気持ちよさそうに、撫でられている。
「私も、今日頑張りましたぁ……」
見るとヒカリちゃんが、ぷっくりと頬を膨らませてむくれている。
「うん、ヒカリちゃんも頑張ったね〜。えらい、えらい」
「はい〜♪」
嬉しそうに撫でられるヒカリちゃん。うん、やっぱり姉妹だな。そっくり。
「あー! なでなでやめちゃやだー!」
ヒカリちゃんを撫でるのに夢中で、トバリちゃんがおろそかになっていた。
「あっ、ご、ごめんね……」
2人とも同時に撫で撫でする。けっ、結構難しいな……。撫でると2人の頭からふわりと甘い、いい匂いがした。
「zzz」
しばらくするとトバリちゃんは寝てしまったようだ。
「ふふっ、可愛い寝顔ですね」
ヒカリちゃんがトバリちゃんを慈しむように見つめている。
「うん、まるで天使みたいだね」
「うーん……ふんどしシェイカーだけはむりー……zzz」
「くすくす、どんな夢を見ているんでしょうね?」
いや、ほんと何の夢を見てるの?
「こうしていると、家族みたい……ですね」
「そう……だね」
「子供、欲しいですか?」
ヒカリちゃんが急にそんなことを聞いてきて、ドキリとした。
「うっ……ま、まぁ……。いつかは……その……ヒカリちゃんと……」
「ふふっ、男の子ですか? 女の子ですか?」
「そ、そうだね……。最初はヒカリちゃんみたいな、可愛い女の子がいい……かも」
「私もナギサ君みたいな、かっこよくて、可愛くて、優しくて、頼りがいのある男の子が欲しいです」
「ヒカリちゃん……」
「ナギサ君……」
改めて彼女にドキリとする。自然と彼女に顔が近づく。額が軽くコツンと当たる。そして優しく彼女にキスをした。
「ちゅっ♡」
「あー! チュウしてるー!」
「「え!?」」
気がつくとトバリちゃんが目を覚ましていた。
「ずるーい! あたしもチュウするー!」
「ト、トバリにはまだ早いですー!」
「そ、そうだよー!」
まだまだ騒がしくなりそうな夜だった。
♢
その後、球技大会でのヒカリちゃんは練習の成果を存分に発揮し、粘り強く活躍したのでした。
「ヒカリちゃん、避けるの上手いんだねー!」
「えへへ、ありがとございます!」
爽やかに汗を流し、運動を楽しむヒカリちゃんはとっても眩しくて、とっても素敵なのでした。
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