球技大会特訓 その2

「おなかすいたー!」


 きゅるきゅるとお腹を鳴らすトバリちゃん。


「すみません……腕が筋肉痛でお料理出来そうもありません……」


 ヒカリちゃんが申し訳なさそうにそう言った。


 ふむ、ボクが料理してもいいけど、トバリちゃんもいるし、まずい料理を作る訳にはいかないな。


「ウーバーで何か頼もっか。トバリちゃん、食べたいものはある?」

「家ではお上品なりょーりばっかりだから、たまには、ハンバーガー食べたい!」

「ヒカリちゃんは?」

「私もハンバーガーで大丈夫ですよ。今日はたくさん動いてお腹が空きましたね……。てりやきバーガーセットでお願いします! チキンナゲットバーベキューソース付きで!」

「あたしはチーズバーガーセットがいいー!」

「うん、りょーかい」





「「「いただきます!」」」


 配達員の人がハンバーガーを持ってきてくれたので、みんなでいただく。


 うん、便利な世の中になったな。ほんと。


「うっ……」


 ヒカリちゃんがポテトを食べようとすると、筋肉痛がしたのか、顔をしかめた。


 それを見たボクは、ヒカリちゃんの口元にポテトを運ぶ。


「ボクが食べさせてあげるよ。はい、あーん」

「あ、ありがとうございます/// あーん……。ん〜おいしいです〜♪」


 ヒカリちゃんは嬉しそうに食べている。


「あー、おねーちゃんばっかりずるーい! あたしもあーん!」


 トバリちゃんが大きく口を開けたので、ポテトをひとつ。


「んー♪ おいひい〜♪」


 幸せそうにポテトを咀嚼そしゃくする、トバリちゃん。


「くすくすっ、トバリったら甘えん坊ですね」

「うん、まるでヒカリちゃんみたいだね〜」

「もぉ〜、ナギサ君///」」

「おにーちゃん、おねーちゃんとらぶらぶ?」

「うん、ボクはね、ヒカリちゃんが大好きなんだよ!」

「あわわわわ///」

「あはは! おねーちゃん、かおまっかー!」


 



 ベッドで川の字になって、3人で眠る。結構せまいが、それが逆に落ち着いた。


「えへへー! みんなでねるの楽しいねー!」

「うん、そうだね」

「今日、1日、おねーちゃんのとっくんがんばったから、ごほーびほしー! んっ!」


 トバリちゃんは頭をボクに向ける。


「よしよし。今日は頑張ったね〜。トバリちゃん」

「うん〜♪」


 トバリちゃんは気持ちよさそうに、撫でられている。


「私も、今日頑張りましたぁ……」


 見るとヒカリちゃんが、ぷっくりと頬を膨らませてむくれている。


「うん、ヒカリちゃんも頑張ったね〜。えらい、えらい」

「はい〜♪」


 嬉しそうに撫でられるヒカリちゃん。うん、やっぱり姉妹だな。そっくり。


「あー! なでなでやめちゃやだー!」


 ヒカリちゃんを撫でるのに夢中で、トバリちゃんがおろそかになっていた。


「あっ、ご、ごめんね……」


 2人とも同時に撫で撫でする。けっ、結構難しいな……。撫でると2人の頭からふわりと甘い、いい匂いがした。


「zzz」


 しばらくするとトバリちゃんは寝てしまったようだ。


「ふふっ、可愛い寝顔ですね」


 ヒカリちゃんがトバリちゃんを慈しむように見つめている。


「うん、まるで天使みたいだね」

「うーん……ふんどしシェイカーだけはむりー……zzz」

「くすくす、どんな夢を見ているんでしょうね?」


 いや、ほんと何の夢を見てるの?


「こうしていると、家族みたい……ですね」

「そう……だね」

「子供、欲しいですか?」


 ヒカリちゃんが急にそんなことを聞いてきて、ドキリとした。


「うっ……ま、まぁ……。いつかは……その……ヒカリちゃんと……」

「ふふっ、男の子ですか? 女の子ですか?」

「そ、そうだね……。最初はヒカリちゃんみたいな、可愛い女の子がいい……かも」

「私もナギサ君みたいな、かっこよくて、可愛くて、優しくて、頼りがいのある男の子が欲しいです」

「ヒカリちゃん……」

「ナギサ君……」


 改めて彼女にドキリとする。自然と彼女に顔が近づく。額が軽くコツンと当たる。そして優しく彼女にキスをした。


「ちゅっ♡」

「あー! チュウしてるー!」

「「え!?」」


 気がつくとトバリちゃんが目を覚ましていた。


「ずるーい! あたしもチュウするー!」

「ト、トバリにはまだ早いですー!」

「そ、そうだよー!」


 まだまだ騒がしくなりそうな夜だった。





 その後、球技大会でのヒカリちゃんは練習の成果を存分に発揮し、粘り強く活躍したのでした。


「ヒカリちゃん、避けるの上手いんだねー!」

「えへへ、ありがとございます!」


 爽やかに汗を流し、運動を楽しむヒカリちゃんはとっても眩しくて、とっても素敵なのでした。

 




 





 

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