メイド喫茶 その1
今日の部活内容は生徒相談。生徒の悩みを聞いて、一緒に悩んだり、解決法を模索したりする。
「今日は誰も来ないでありますなぁ……」
レンが机に突っ伏してしている。ここのところ、レンはなんだか疲れ気味に見える。
「あっ、じゃあボクが相談するよ」
「え? ナギサ殿がー? なんでありますか?」
「最近、レンが疲れ気味だから、大丈夫かなー
って。何かあった? 相談なら乗るよ?」
ボクは真剣な表情でレンを見据える。
「確かにレンは最近、お疲れのようですね……」
するとレンは、ばつが悪そうにポリポリと頬をかく。
「あー、心配させちゃったでありす? 申し訳ない。実は最近、バイトやってて疲れが溜まってるでありますよー……」
ふわぁとレンが大あくびをする。
「へぇー、知らなかったよ。何のバイトしてるの?」
「私も気になりますね」
「そうだ! なら今日の部活終わりにバイト先に来てみて欲しいであります!」
「はい! ぜひ!」
「うん、行ってみよっか!」
♢
「お帰りなさいませ、ご主人様! お嬢様!」
入店すると、メイド服の女の子達が出迎えてくれた。
「「「ご主人様、お嬢様、お屋敷“ぽんぽこぽん” へのご帰宅でーす!」」」
メイド服の女の子がベルをカランカランと大仰に鳴らす。
「え? これって、メイド……喫茶?」
「ゆっくりして行って欲しいでありますよー。ご主人様ー、お嬢様ー」
するとレンが出迎えてくれた。
「あっ、レンですね! うわー、メイド服、似合ってますねー!」
「えへへー、ありがとうであります、お嬢様!」
レンはフリフリのメイド服を身につけて、ボク達を接客してくれる。
うん、文句なしに可愛い。
「改めてましてお帰りなさいませー! 本日ご案内を担当させて頂くレンであります。お久しぶりのご帰宅なので、メニュー表の説明をさせて頂くでありますよ〜」
「お久しぶり……ですか?」
「た、たぶんそういう設定なんじゃないかな? お屋敷に久しぶりに帰宅したご主人様とお嬢様……みたいな?」
「なるほどですね……」
レンはメニュー表を開き、メニューの説明を始める。
萌え萌えフリフリミックスジュース、ぴよぴよぴよんオムライス、たこわさなど、愉快なメニューが勢揃いしていた。
「じゃあ、とりあえず、この“メイドの
「了解であります! じゃあ、“
「妖精……さん?」
「そういう設定みたいだね」
「風船で浮いている緑のおっさんがつくるんでしょうか?」
「妖精のイメージが
しばらく待っていると、レンが飲み物を運んできた。
「お待たせしましたー。このキャラメルラテではレンがキャラメルソースで、お絵描きするでありますよ〜。希望があったらおっしゃって欲しいであります!」
「うーん、どうしましょう……」
「おすすめとかあるの?」
「人気あるのはホゲモンであります!」
「じゃあボクは“アズ⚪︎オウ”で!」
「私は“レジ⚪︎ガス”でお願いします!」
「…………が、頑張ってみるでありますよ!」
♢
レンの働きっぷりは見事だった。他のどんなメイドより、明るくに
「レン、頑張ってますね!」
「うん、すごく生き生きとしてるね」
すると他のメイドさんがやってきた。
「レンはウチで人気No. 1メイドなんですよ」
「へぇー! やっぱりレンは人気あるんだ!」
「えぇ、レンの前ではどんなにむっすりとしたご主人様でも、たちどころに笑顔になっちゃうんですよ」
「納得ですね〜」
メイドさんは去り、レンが“ぴよぴよぴよんオムライス”を持ってきた。
「ケチャップで文字を書けるでありますよ〜?」
「じゃあボクは“ 因果応報”で!」
「私は“
「ほんとにその文字でいいのでありますか……?」
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