1学期編
部活動!その1
「そう言えばヒカリちゃん」
「はい、なんでしょう?」
「まだ部活って所属してないよね?」
「はい、そうです」
「この学園って、どこかの部活に所属しないといけないんだけど、どこか決めたかな?」
ヒカリちゃんはう〜んと顎に手を当てた。
「運動は苦手なので、やはり文化系の部活でしょうか?」
「よかったら、ボクの入ってる“ボランティア部”に入ってみない?」
「ボランティア部?」
ヒカリちゃんは小首を傾げる。
「うん、ボランティアを通じて社会貢献やコミュニケーションなど、様々な学びを得ることを目的とした部活だよ」
「なんだか珍しい部活ですね!」
「生徒からの相談を受けたりするのも活動内容なんだ」
「ふむふむ」
「丁度、けっこうな数の先輩が卒業しちゃってね。ボクを含めて今、2人しか部員がいないんだ。このままじゃ、廃部になってしまうんだよね……。籍だけでもいいから、よかったらどうかな?」
「はい、ぜひ入部したいです! ナギサ君もいますしね!」
「よかった! じゃあ、とりあえず体験入部から始めようよ」
「はい!」
♢
放課後に部室にヒカリちゃんを連れていく。
ガラガラと戸を開けると、そこにいたのは着替え中の女の子だった。
「あっ……」
「なっ……!」
がっつりと、しましまのブラとパンツが目に映り込む。
「きゃああああああ!」
少女の声が部屋に響き渡る。
「っ……///」
「み、見ちゃダメですよ!」
ヒカリちゃんがボクの目を後ろから、手で隠した。
♢
「ナギサ殿、先程は失礼したであります!」
肩まで伸びた銀髪の小柄で可愛らしい女生徒が元気よくボク達に敬礼した。
同級生の友人、
「うん、今度は気をつけてね……レン」
「ななな!? ナ、ナギサ君!? だ、だれなのですか!? いきなり下着を見せつけてきたこの馴れ馴れしい女は!?」
ヒカリちゃんはあわあわと震えている。
「ナギサ殿の“友達”でありますよ。ヒカリ殿!」
「ヒ、ヒカリ殿!?」
「よろしくお願いするでありますよー!」
レンは無邪気に微笑む。
「ってそう言えば、私達のクラスにいましたね……」
「そうでありますよー! ヒカリ殿ー!」
「わわっ!」
レンは人懐っこく、ヒカリちゃんに抱きつく。まるで子犬のようだ。
「入るぞ」
部室に入ってきたのは、ボク達のクラスの担任の
「ん? ああ、ヒカリは今日、体験入部だったな」
長い綺麗な黒髪をなびかせて、美月先生はそう言った。
「はい、今日からよろしくお願いしますね、先生」
「うむ、まぁ、気楽にな」
そう言った先生は部室の椅子に座ると、ふにゃーとうなだれた。
「み、美月先生!? どうなされたのですか!?」
ヒカリちゃんがびっくりしていたが、いつものことなので、ボクとレンは平然としている。
「疲れたぁ〜。ナギサぁ、肩揉んでくれよ〜」
「嫌ですよ……」
普段の凛々しくて、人気のある姿とは裏腹に、素はこんな残念な感じなのだった。
「あのなぁ、先生は放課後の部活動の指導しても、ほとんど給料増えないんだぞ〜? ただ働きも同然なんだぞ〜? ほんとクソ喰らえ。はぁ〜婚活したい……」
「ボランティア部の顧問の発言とは思えませんね……」
ヒカリちゃんがそう突っ込むと、先生は彼女の方をぐるりと向いてこう言った。
「ヒカリはナギサがいていいよなぁ……。幼なじみで結婚の約束して、結ばれたんだろ? 私もそれ聞いて、幼稚園の頃にそう言ってくれた男に、ワンチャンあるかと思って、電話したら『お前だれ?』って言われたよ……」
「それはお気の毒ですね……」
場の空気がどんよりし始めたので、ボクは話を切り替える。
「さ、先生! 今日は学園周辺で募金活動でしたよね! きりっと行きましょう。もしかしたら、素敵な出会いがあるかも!」
「それもそうだな! さぁ、行こう!」
簡単に乗せられた先生は張り切って出て行った。
「ははっ、美月先生は単純でありますなぁ! じゃあ、レン達も行くでありますよー!」
「はい、分かりました!」
「うん、行こっか!」
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