トバリちゃん(9歳)その1
放課後、自宅でゆっくりとしているとピンポンとチャイムが鳴り響いた。
「はーい?」
ボクがドアを開くと、そこには黄色い帽子と赤いランドセルを背負った小学生と、メイド服の女性がいた。
あれ? 確かこの執事服の人はヒカリちゃんの荷物を届けてくれた人だったような……。
「わーい! お邪魔しまーす!」
小学生の女の子は嬉しそうに玄関に入り、メイド服の女性は「ではお願いします」と言って去っていった。
「ちょっ! ど、どう言うこと?」
それにこの金髪ツインテールの小学生の顔、なんかすごい懐かしい気がするんだけど……。
「
「天王寺……?」
ヒカリちゃんと同じ苗字、そしてヒカリちゃんの面影がある顔。
「もしかして、ヒカリちゃんの妹さん?」
「うん! そーだよ」
「うわあ! 昔のヒカリちゃんにそっくりだ! 妹さんがいたんだね!」
「ヒカリおねーちゃんはー?」
小首を傾げてトバリちゃんが質問してくる。
「ヒカリお姉ちゃんはね、今、帰ってシャワー浴びてるんだよ。だから、リビングで待ってようね」
「うん、分かったー!」
とてとてとボクの後をついてくるトバリちゃんは、とっても愛らしかった。
ボクはリビングのソファに彼女を座らせて、風呂場の脱衣所に向かう。
シャワーを浴びる音が聞こえたので、とりあえずは脱衣所まで入る。
「ヒカリちゃーん?」
「はい? どうかしましたか?」
「トバリちゃんがウチに来てるよー?」
「え!?」
きゅっとシャワーの元栓を止める音が聞こえて、ガラリと風呂場の扉が開いた。
「トバリが来ているんですか!?」
「うわああああ! ヒカリちゃん、服、服!」
「きゃああ! ご、こめんなさい! 気が動転してて! あっ──」
慌てたのが良くなかったのだろう。ヒカリちゃんは思わず、足元が引っかかって転びそうになる。
「危ない!」
ボクはあわててヒカリちゃんを抱きしめるが、その反動で2人とも転んでしまう。
裸の彼女と密着する。乙女の柔肌とふくよかな胸の感触が全身を包んだ。
「あいたた…………」
「だ、大丈夫ですか?」
「うん、平気、平気」
「ありがとうございます……ナギサ君」
「ヒカリちゃんにケガがなくてよかった……」
「ナギサ君……(ううっ……頼もしいですぅ///)」
「ヒカリちゃん、風邪引くよ?」
「あっ、ご、ごめんなさい!」
ヒカリちゃんが胸等を隠しながら、さっと起き上がる。
「あ、慌てなくていいからね?」
「は、はい、トバリの相手をお願いします……」
そのまま彼女は再び風呂場へ。
「……………………」
目に焼きついたさっきの光景達がフラッシュバックする。
い、いろいろと大きかったな……。いやいや、そんなこと考えてる場合じゃない!
ボクは頭を必死にプルプルと振って、トバリちゃんが待っているリビングへと戻った。
♢
「ねぇ、お兄ちゃんって“ロリ”なの?」
「へ?」
帰った途端に、トバリちゃんからとんでもない質問をぶつけられる。
「ど、どうしてそんな事聞くの?」
「だって“婆や”がロリには気をつけなさいって」
「ぶっ!?」
なんて言葉を小学生に教えてるんだよ、婆や……。確か、ヒカリちゃんにも大人のキスの事を教えていたような………。
「ち、違うよ〜、トバリちゃん。ボクは大人な女性が好きなんだよ〜」
「おねーちゃんみたいなボイン?」
「う、うん……そうだね……」
その後、トバリちゃんが手持無沙汰そうだったので、何かご機嫌が取れるものはないかと、周囲を見渡してみる。──あった!
「トバリちゃん、ほら、キャンディあげるよ!」
「え? いいの!? うわーい! お兄ちゃん大好きー!」
「(チョロいな、この子……)」
トバリちゃんは美味しそうにペロペロとキャンディを舐め始めたのだった。
「えへへー! お兄ちゃん、優しいから好きー!」
その言葉に、昔の記憶が蘇った。
『えへへー、ナギサ君、優しいから好きー!』
ふふっ、やっぱり姉妹なんだな。
笑みが溢れたボクは、無意識にトバリちゃんの頭をなでていた。
「えへへー、なでなで嬉しい♪」
「ふふっ、そっか」
ヒカリちゃんもなでなでされる好きなんだよな。よく、ベッドでねだってくるし。
「お兄ちゃん、ちょっと耳かしてー!」
「? うん」
トバリちゃんの顔に耳を近づける。
「んっ……ちゅっ」
トバリちゃんがボクの頬にキスをした。
「ト、トバリちゃん!?」
「えへへ〜、お兄ちゃん、キャンディのお返しだよ!」
キ、キスが好きなところも似てる!?
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