お嬢様はゲームに夢中!?
「あれって何ですか?」
夕食後のリビングでの団らん中、ヒカリちゃんがそう切り出した。
「ん? ああ、あれね。あれはテレビゲームだよ」
「へぇ〜、あれがゲームなんですね〜」
「ヒカリちゃん、やったことないの?」
「恥ずかしながら、ゲームとは無縁の生活を送っておりまして……」
「そっか、じゃあちょっとプレイしてみる?」
「いいんですか?」
ボクはテレビゲームをセットして、コントローラをヒカリちゃんに渡す。
「これは何のゲームなんですか?」
「これは国民的RPGの“ドラグエ5”だよ」
「あーるぴーじー?」
「うん、ロールプレイグゲームの略。ゲームの中で与えられた役割を演じるんだよ。このゲームだったら、自分が操作できる少年を通して、この世界を遊んで行くんだ」
「ふむふむ、なかなか新鮮で楽しそうですね!」
「ほんとは2人で出来るゲームもあるんだけどね。今、片方のコントローラー壊れてるんだよね……」
簡単な操作を教えると、ヒカリちゃんは夢中になって、ピコピコと遊び出した。
「わぁ! モンスターが現れましたよ!」
ふふっ、楽しんでるようでよかった。
〜1時間後〜
「大丈夫? そろそろ疲れない?」
「いえ、まだまだ行けますよ〜」
「そっか!」
〜2時間後〜
「だ、大丈夫? セーブも出来るからね?」
「今、いいところなんですよ!」
〜3時間後〜
「ふわぁ、ボク、そろそろ寝るね?」
「良い話ですね……ぐすっ」
〜朝〜
朝起きて、リビングに行くとまだヒカリちゃんが、ゲームをしていた。
「ま、まだやってたの!? ヒカリちゃん!」
「はい! 今、大事な場面なんです! “金髪の幼なじみ”か“青髪のお嬢様”か、どちらかと結婚しなくてはならないのです! ぐぅ、悩ましい……!」
「なるほどね……」
そういえば、このゲームには結婚イベントがあったな。
「ナギサ君……私はどうしたらいいのでしょうか!?」
ヒカリちゃんは真剣な瞳で、ボクに問いかけてくる。
「ボクだったら、迷わずに金髪の幼なじみかな〜」
「な、何故ですか!?」
「だって、幼なじみの金髪の女の子を放っては置けないからね……!」
「────///!?」
ヒカリちゃんはいきなり顔を真っ赤にして、
「(迷わず金髪の幼なじみを選ぶなんて/// 青髪の子にはお嬢様要素もあるのに、選ばないってことは、私を地位なんかじゃなくて、私自身を見ているよって、ナギサ君の遠回しなメッセージですね!? もう、奥ゆかしくて、可愛いなぁ、ナギサ君は♡ 」
※そこまで考えていません。
ヒカリちゃんは頬を赤く染めて、クネクネしている。
「ナギサ君、ちょっと……」
ちょいちょいと彼女に手招きされた。
「ん? なになに? ───ん!?」
近づいた瞬間に、彼女に熱いキスをされた。
「えへへ。ナギサ君、だーいすき♡」
「い、いきなりどうしたの!? んん!?」
「んっ……はむ……ちゅ…ちゅる……ちゅ♡ 」
「んんっ!?」
朝からボクは、ヒカリちゃんに襲われました……。
♢
その後もゲームに熱中したヒカリちゃんに、ボクはこう言った。
「ゲームは1日、1時間にしようね。ヒカリちゃん」
「そ、そんなぁ……! 今から、ぽっと出のラスボスを倒しに行くところなんですぅ!」
ゲームはほどほどにね……。
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