初めてのデート! その2

 所狭ところせましと、女性用の下着が並んでいる。


 うっ、やっぱり抵抗感がすごいな……。


「う〜ん、これでもない、あれでもない……」


 ヒカリちゃんは様々な下着を物色していた。


「ヒカリちゃんの荷物の中に、下着入ってなかったの?」


 ふと疑問に思ったので聞いてみることにした。


「最近、胸がまた大きくなっちゃってですね〜。今のじゃ、ちょっときついんですよ〜。それで新しいのを買おうかなと」

「そ、そうなんだ……。へ〜」


 え? まだおっきくなるの? 今でも十分おっきいんけど……。


「ふふっ、ナギサ君はどのような下着がお好みですか?」

「え? ボク!?」


 ヒカリちゃんはちょっぴり意地悪な笑みを浮かべて、ボクの方をうかがう。


「透けレースのセクシー系? シンプルなノーマル? はたまたフリルのかわいい系もありますよ?」

「うっ……」


 どれもヒカリちゃんに似合いそうだ。この中から選ぶのはなかなか悩ましい……。


 というより、自分の性癖がバレそうでどれがいいとか、言いにくいんですけど!?


「さぁ、どのタイプがお好みですか? タイプを聞いているだけなので、気楽に答えて下さいね?」

「じゃあ、このくまさんの絵柄が入ったやつで……」

「それはちょっと……」

「──なんで!?」

「あはは……他にはありますか?」

「じゃあ、ピンク色のフリルのかわいい系で……」

「ふふっ、そういうのがお好みなんですね?」

「う、うん、まぁ……」


 うう、顔が熱い……。は、恥ずかしい……。


「では参考にさせていただきますね♡」


 ふんふんと鼻歌を歌いながら、上機嫌なヒカリちゃん。


 でも待てよ? ボクの好みを聞いてくるってことは、ボクに見せることを意識してるのでは!? 


 さっきの下着を着たヒカリちゃんを、ほわんほわんと想像する。



『ナギサ君、君が選んだ下着ですよ? ふふっ、じっくりと見て下さいね……?』

『次はくまさんの下着でお願いします!』

『あはは…………』


 うっ、鼻血が出そうだ。妄想はやめておこう……。





「そろそろお昼だね。フードコートで何か食べようか?」

「はい、ではナギサ君のおすすめでお願いします。私、外食にはうといものでして……」

「どんなものが食べたいとか、リクエストある?」

「そうですね〜。さっぱりとしたものが食べたいです」

「オッケー!」


 ボク達がやってきたのは、フードコートにある“四角亀うどん”。その場で作るコシのある自家製麺に定評のあるチェーン店だ。


「ぶっかけうどんの並2つを、どちらも温かいのでお願いします」


 注文をすると、手際よく店員さんがうどんを器に乗せて、提供してくれた。


「これをトレーに乗せてね、天ぷらやおにぎりが欲しかったら追加していくんだよ〜」

「へぇー、そうなんですねー! うわー、たくさん天ぷらがあって迷いますねー!」


 物珍しそうに、ひょいひょいと天ぷらをトレーの別皿に乗せていくヒカリちゃん。ラストにおにぎりも追加してフィニッシュ。


 会計を済ませると、ボクは端に置いてある天かすとネギをたっぷりとうどんに乗せる。


「か、会計を済ませたのに、天かすとネギを入れてもいいんですか?」

「あはは、これは無料のトッピングだからね。これをたっぷり入れて食べるのも、ここでの醍醐味だいごみだよ」

「そ、そうですか……。では私も……」


 恐る恐るネギと天かすを入れるヒカリちゃん。


「もっと入れてもいいんだよ?」

「ほ、ほんとですか? 泥棒になりませんか?」

「ならない、ならない」

「では……えーーい!」


 思い切って、彼女はドバッと天かすとネギを入れる。


「や、やりすぎたでしょうか?」

「これはね、入れれば入れるほどに美味しくなる、魔法のトッピングなんだよ……」

「ほ、ほんとぉですかぁ?」


 席につき、うどんを軽くかき混ぜて、いざ実食。


 ヒカリちゃんは恐る恐る、かき混ぜたうどんを一口すすった。


「────!?」

「どう?」

「おいしいです〜! さっぱりとしたコシのあるうどんと、天かすとネギの相性が抜群です〜!」


 ヒカリちゃんは恍惚こうこつとした表情で、うどんをつるつるとすする。


「おにぎりとの相性も抜群ですねー!」

「そうでしょ!」


 あっという間に、ボク達はうどんを食べ終わる。


「美味しかったです!」

「うん、またこようね!」


 初めてのデートは成功……なのかな?



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