高等魔法学院
高等魔法学院。
それはルヴィア帝国の帝都に校舎を構える教育機関の名称だ。
高等魔法学院は魔法の力を持つ人間の魔法に関する理解を深め、魔法の才能を伸ばすことを目的としている。
それは帝国内の平均的な魔法レベルを上げ他国よりも優位な地位に立つことにも繋がるため、帝国は国内の一定の年齢に達した貴族の子息令嬢と平民の子供が魔法学院に通うことを義務としている。
そして帝国はその義務を確実に行わせるためにいくつかの行動を起こしており、その中で影響力の大きなものは二つだ。
一つは平民への資金援助。
平民が魔法学院に通うことを義務と定めても、金銭的問題で帝都に来ることすらできないのでは意味がない。
そのため、年に数回資金援助の申請を募集し、申請してきた平民の家に帝都までの旅費を援助している。
これにより金銭的な問題で魔法学院に通うことのできない子供はほとんどいなくなり、魔法学院の生徒数も安定している。
もう一つは入学年齢に幅を持たせたことだ。
魔法学院は3年制のカリキュラムが組まれており、夏季休暇などの長期休暇はあれどその3年間の多くを魔法学院のある帝都で過ごすことになる。
だが、この世界では貴族や平民などの身分に関わらず家の後継には色々とやるべきこと覚えるべきことが多く、規定の年齢に達したらすぐに魔法学院に入学という形にしてしまうと、家を継ぐ上で色々と問題が起こる。
そのため帝国はそう言った部分に配慮して、魔法学院には15歳から18歳までの間に入学するようにと年齢に幅を持たせた。
だが、この世界をゲームとして知った上で転生してきた俺からすれば、これは年上のヒロインを同学年にしてイベントを増やしたいという制作側の意図があるように思えて仕方がない。
まあ、そのおかげで俺は年上であるリリアと同学年として入学できるので特に問題にはならない。
逆に都合がいい。
そしてそんな魔法学院で入学前に行われるのが実力試験だ。
これはその年に入学する生徒の実力を図り、その実力に応じたクラスに振り分けるために行われる。
聞いた話によるとこの実力によるクラス分けの仕方は生徒同士の競争心を高め、能力の向上を促進するために行われているらしい。
確かに効果的ではあるのだろうが、俺からしたら意味のない仕組みだな。
=====
馬車を降りて目の前に広がる光景にほんの少しだけ息をのむ。
荘厳さのある石造りの大きな門。
その下をくぐる数えきれない程の人々。
前世にて俺が画面越しに見ていた光景そのままだ。
「旦那様?」
目の前の光景に動きの止まってしまった俺にリリアが声をかけつつ下から覗き込んでくる。
その声に意識が現実に引き戻される。
「‥‥いや、なんでもない。行くぞ」
「はい」
両腕をリリアとルルアと組み、後ろにメイド姿のセリーナとレヴィアナを連れて足を前に踏み出す。
女を4人も侍らせていることで周りからの視線を集めるが、俺達の誰1人としてその視線を気にすることはない。
そのまま足を進め門の目の前まで来た。
俺は足を止めることなく原作の舞台である門の向こう側に踏み出した。
遅れました。
すいません。
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