『パールシェリア』-3 (改)

 その後、リリアとルルアも簡単に自己紹介をしたところで早速ドレスの採寸に移った。

 採寸のために別の部屋に移ると言って移動していったのだが、その時のイリーナは何かを企むようにニヤリとした笑みを浮かべていた。


 イリーナと俺が出会ったのは俺が5つの時。

 8年来の付き合いなのでイリーナはそれなりに俺のことを知っている。

 2人に余計なことを吹き込まないかが心配だ。




 =====




 部屋の中に置いてあったティーセットを勝手に使って入れた紅茶を飲んで暇を潰していると、扉が開き3人が戻ってきた。

 そして部屋に入ってきたイリーナは開口一番


 「いやー、すごいわね。リリアちゃんの胸、歳のわりにものすごい大きいわよっ」


 と言った。

 リリアは顔を赤らめ、怒ったように口を開く。


 「もうっ。恥ずかしいからそんなに大きな声で言わないでくださいっ」

 「でも、姉さん本当に大きかったでしょ。それに前に見た時より大きくなってたし」

 「ルルアまでっ」


 それを聞いてリリアの胸に目を向けてみる。


 今のリリアは少しサイズの大きいシャツに紺色のロングスカートといった町娘のような格好をしている。


 あまり大きいようには見えないが‥‥‥‥。


 そういえば、リリアは屋敷でもあまり体のラインが出ないメイド服を着ているので特段大きいと感じることはなかったと思い出す。


 「なるほど。着痩せするタイプか」

 「もうっ。旦那様まで‥‥‥っ」


 俺の視線と呟きを聞き取ったのだろう。

 リリアは頬を膨らめせそっぽを向いてしまった。


 「レイス様が姉さん怒らせた」

 「いけないんだーっ。女の子怒らせて、レイいけないんだー」


 その様子を見てルルアがニヤニヤと揶揄うような笑みを浮かべ、イリーナもそれに便乗してきた。


 ‥‥‥ふむ。


 座っていたソファーから立ち上がりルルアに向かってゆっくりと歩いていく。


 「えっ?ちょ、ちょっとレイス様?」

 「‥‥‥‥」


 ルルアが戸惑ったような表情で声をかけてくるが、俺はそれに答えず無言で近づいていく。


 「い、今のは冗談だから。ね、ねえレイス様‥‥‥‥?」


 だんだんと後退りして壁際まで追い込まれると殴られるとでも思ったのかルルアはぎゅっと目を瞑り俯いた。

 俺はルルアが目を瞑っているのをいいことに顎を掴んで上に向けさせるとその唇に噛みついた。


 「んっ!?んんっ!?」


 ルルアは突然のことに驚き目を見張っているが、俺はそれを気にすることなく唇に噛みつき続ける。


 「んんー!ん‥‥‥ちょ‥‥んむっ」


 ルルアが顔を動かし唇を離すがそれも束の間。

 すぐに唇を塞ぐ。

 だんだんとルルアの表情から混乱が抜けていき、赤く染まっていく。


 「ああーっ!。ルルアばっかりずるいですっ。旦那様、私もっ」


 ルルアの顔がちょうどりんごくらいの赤さになったところでリリアがこちらに気がつき、俺とルルアの間に入ってきた。

 強制的に口が離れる。


 俺は顔を赤くしているルルアに悪役らしい笑みを浮かべて言う。


 「今度はお前がリリアを怒らせたな。これでおあいこだ」

 「え‥‥‥あぅ‥‥‥」


 何も言えないルルアを見て満足すると、俺とキスをしようと精一杯背伸びをしているリリアを宥めるために視線を外した。


 「れ、レイが、レイが会わない間に女を誑かす悪い男になってる‥‥‥‥」


 何やら不名誉な言葉が聞こえたがあえて聞こえないふりをしておく。

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る