第4話 敗北者の帰還

『アオどうせ支援職でしょ?』

「ネイは?」

『短剣の二刀流。かっこいいでしょ?』

「攻撃力、俊敏性、防御力をアップできる」

『了解。とりあえずスピードよろしく。あいつのところに行くまでに慣れるから』


およそゴブリンまで3mの距離をとてつもない速度で縮めていく。


(こうなるとリュウが邪魔になってくる。俺がネイに攻撃力上昇を1秒使ったらクールタイムは2秒、合計で3秒リュウに攻撃力上昇を与えられない。3秒も支援なしでリュウがあいつの攻撃に耐えられるわけがない。瞬殺するしかない。まずはネイの攻撃が見えやすいところに行ってから、完璧にネイに合わせる。集中しろ)


ゴブリンがネイに気づいた頃にはもうガードは間に合わなくなっていた。問題は2mを超えるゴブリンを一撃で葬れるか。もう気力だけで戦ってるリュウは今にも倒れそうだった。


(まだ......まだ......今!!)


完璧にタイミングのあったネイとアオの一撃はゴブリンの胸に大きな穴を開けることに成功した


(体に穴が開いたくらいで死ぬのか?もう一撃!)


そう考えた瞬間ゴブリンが倒れた。さらに、リュウも同タイミングで倒れた


『ウェーイ。私たちの勝ち。』

「モンスターって胸に穴開けただけで死ぬのな」

『あれ?知らない?モンスターには核があってそれを壊すと死ぬよ?まぁ普通に頭潰したりしても死ぬけどね』

「なるほど、核の位置は固定?」

『モンスターによって変わるけど私はスキルでわかる』

「ずるくね?」

『まぁね。てかっ、本当に死体消えてドロップアイテム出てくるじゃん!』

「この情報もネットで確認したけど......なにこれ、草?」

『これ私がもらってもいい?』

「別にいいけど」

『じゃあ帰ろうぜい』

「もしかしてだけどリュウは俺が運ぶの?」

『当たり前じゃん。レディの私には無理よ』

「俺支援職だよ?」

『黙って運んでね、アオ』

「はいよ」


来た場所を戻り、最後の階段を上ったところには行きの時の景色とは違い入り口には一人だけだった。


『助けられたのですか?』


いたのは入り口でアオを止めようとした赤いチェックシャツのおじさんだった。そして、この問いにアオは首を横に振る。


『あの時は申し訳ない。あの後、私は後悔したんだ。それでもできたのは助けを呼ぶくらいで』

「もしかして?」

『そうだよ。私はこの人の声掛けで来たんだよ』

『結局、私は何もできず。助けられなかったのですね。』

「いえ、あなたのおかげで俺はいま生きてます。ありがとうございます。」

『それはよかった。よろしければ私にその方の看病をさせていただけませんか?』

「お願いします」

『あなた方は?』

「俺達は行かなきゃいけない所があるので」

『あなたはお強いのですね。頑張ってください』

「その人が起きたらこれを渡してあげてください。遺品のネックレスです。」

『あっ、これもどうぞ』

「ネイなにそれ?」

『ポーションだよ。私サブ職業で薬師を取ったからね』

「なるほどね」

『ありがとうございます!あなたたちの旅がうまくいくことを願っております。』


そして、おじさんとはわかれ、二人で集合場所に向かっていくのだった。


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《ネイ》

職業 暗殺者〈メイン〉 薬師〈サブ〉

武器 短剣 

スキル 消音(自分から出る音を消せる) 気配消し 弱点看破

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