第15話 獅子少年はとくに何も考えない

「いやぁ、似合ってるなぁラパン!」

「?そーか?」

「いやぁ似合ってるじゃあないかラパンちゃん!」

「そっかー」


似合ってるらしい。


「いいかいラパン、ラパン・レオンハートって言うんだよ?分かったね?」

「なんでだ?みんな知ってるだろ?」

「いやいやラパンちゃん、初対面の人は知らないんだよ?分かってる???」


知らないらしい。


「まっ、アタシも言うの忘れちまうからね!問題ないさ!」

「それダメじゃないのレオニエちゃん」

「うるせぇ」


あ、バーンってされた。

壁に叩きつけられたけどうれしそうだった。


「くっ、いい力加減だねレオニエちゃん······」

「くっそきめぇ、普通のやつなら潰れて死ぬのに······」

「まっ、僕は『不死身の少年』の亜人だしねぇ」


ひょいって壁からとびおりてきた父さまはオレより小さい。

サラサラの······ぎんいろ?の髪で、すごいびしょうねんだって使用人が言ってた。

ちなみに母さまは倍いじょうあるんだって。

どのくらいだっけ?


「はぁ······それにしても心配だなぁラパンちゃん、いじめられない?お勉強ついていける?転んで怪我しないようにね?」

「『どっか行け』!ショパン!」

「うぎゃっ゙!?」


あ、父さまが消えた。


「ま、大丈夫さラパン!お前は『言霊獅子』と『不死身の少年』、どちらの力もちゃんと受け継いでる······いいか?面倒なことがあったら、『消えて』って言えばいい······いいな?」

「うん!『消えて』って言う!」

「そうそう、こうやるんだぞ?」

「いてて······ひどいよぉレオニエちゃん!」

「『消えろ』ショパン」

「うぇ─────────」


地平線まできえていった。


「分かったか?」

「わかった〜」

「あ、あの、奥様······旦那様は······」

「そのうち帰ってくることだろう、気にするな」

「さ、左様ですか······」


父さまはセーリャクケッコン?のムコ殿のひとりで、母さまにひとめぼれして、たくさんがんばってつがいの座をゲットした······らしい。

よく分からなかった。

みんなそれでいいって言う。

だから、いいんだと思う。


「えっと、行ってくるね!」

「ああ!行ってこい!」

「······どこに?」

「アヴァドラの地に行くのだ!ラパン!しばらく待っていれば迎えが来る!」

「そう······なの?」


どこから来るんだろ?


「それじゃあアタシは昼寝をしよう」

「お供いたします」


ぽつんと置いてかれた。

でも知ってる。

こーゆー時はね。


「レグルス、レオノラ?」


かげで、ふたりが見てるときなんだ!

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