010 不良さん、この時点でのコンパ離脱者に驚く

 漸く無駄な時間は過ぎ去り、街中を歩き始めた。


そうして暫くの間は馬鹿秀と山中が、俺の前方で女子達と話をしていたんだが。

5分程したら、ヒョコヒョコと崇秀が、今現在、自己紹介すら出来てない俺の所にやって来た。


なんだ?なんか用事か?



「オイオイ、倉津よぉ。コンパに連れて行けって息巻いた割に、何のアクションも起こさねぇのな?あの2人、あんま好みじゃなかったか?」

「違ぇよ。そう言うんじゃなくて、俺は、オマエ等のノリについていけねぇんだよ」

「ノリねぇ?」

「あぁ。常識的に考えても、コンパ初挑戦の俺が、イキナリ、あんなノリについて行ける訳ねぇだろ」

「はぁ……そっかよ。そりゃあまたピュアボーイこったな」

「まぁ、そんな訳だからよ。俺の事は気にせずに、オマエ等で勝手にやってくれ」

「イヤな。実は、そうもいかんのだ」

「なんでだ?」


なにを言い出すかと思えば、また突然、変な事を言い出したな。

この時点で、自己紹介お出来てねぇ俺とは違い、順風満帆に女子達と喋ってるオマエが『そうもいかん』って、どういう事だ?


まぁ、こいつが変な事を言い出すのは、いつもの事だから、そんなに気にはならないんだが。


なんかあるんか?



「イヤな。実は俺、もぅ直ぐ帰んなきゃ行けねぇんだわ」

「はぁ?この状況下で帰るだと?……あぁ、それって、ひょっとして、あれか?実家の手伝いとかか?」

「まぁ、言わずと知れた、そう言うこったな」


実は、崇秀の実家ってのは『美容室』を営んでるんだがな。

その店自体が、母親1人で経営してるもんだから人手不足で、崇秀の奴は時間が有ったら店の手伝いとかをしているんだよな。


崇秀は馬鹿で嫌な奴だが、親想いではある。



「じゃあ、どうすんだよ?」

「んなもん簡単じゃねぇかよ。オマエが、どっちかの相手をしろ」

「はぁ?いやいやいやいや、急に無茶な要求すんなよ。俺、まだ自己紹介すらしてねぇんだぞ」

「まぁそうだな……じゃあ此処で1つだけ聞くが、お前としたら、どっちの女が好みだ?」


んな事、まだわかんねぇよ。

どっちが好みかなんて言うのは、話してみねぇとわかんねぇしよ。


見た目だけで判断するってのも、相手に失礼だしな。



「急にドッチが好みかって聞かれても、オマエ……あぁっと、そうだなぁ」

「アホ……その様子じゃ。どうせ、まだ話してもねぇから、どっちが良いか悩んでやがるんだろ」


なんでわかった?



「うっ……あぁ、そっ、その通りだよ」

「アホタレ。俺は、第一印象の話をしてんだよ、ボケ。可愛い系と綺麗系が居んだから、どっちが好みかの判断ぐらい出来んだろうが」

「あっ、あぁ、そう言う事な」


なるほど、第一印象の話だったか。

……とは言ってはみたものの、どっちも捨てがたいな。


勿論、アニメ好きな俺は、基本、可愛い系の清水さん推しなんだが。

最近のアニメじゃ綺麗系の女って言うのも多く、少し病んでる感じがする向井さんって女も、実は捨てがたい。


それにだ。

もし『どっち』って言ってしまえば、コイツ等の事だ、絶対その方向で決め付けて動くに違いない。


だとすると、慎重に選ばないとエライ目に遭う。



「んで、どっちが良いんだ?」

「あっ、敢えてだな。敢えて言うなら……どっちも良いよな。2人共、悪くねぇと思う」

「それって、オマエにとっちゃあ、両方良い感じだって認識で良いのか?」

「まっ、まぁ……な」

「なるほど。それはそれで悪くねぇ判断だな。つぅか、寧ろ、好都合だな」

「へっ?なんだよ、それ?そんなんで良いのかよ?」

「おぉ。その方が好都合だって、さっきから言ってんだろ」


なんでだ?

それに馬鹿秀は、なにか思惑があるのか、ご機嫌な様だが、なんで『ドッチでも良い方』がオマエにとって好都合に成るんだ?


そりゃだけじゃあ、全く意味がわかんねぇぞ。



「そんなもんなのか?」

「まぁな……ただ、此処で先に言って置くが、今回のコンパに来てるのが山中だから、これは言える事だぞ」

「はぁ?あのアホが居るからだと?」

「あぁそうだ。アイツはあぁ見えて、かなり臨機応変に対応する。オマエが清水さんを選ぼうと、向井さんを選ぼうと、上手く立ち回ってくれる筈だ。だから、今、オマエが慌てて選ばない方が、今は都合って話なんだよ」


そうなんか?



「なんだ、それ?アイツ、何気にスゲェんだな」

「まぁなぁ。散々コンパで鍛え上げてるからな」


その年代で、コンパで鍛えるな!!

どう考えても、年代的に早過ぎんだろうが。


どんだけ遊びまわってるんだよオマエ等は……



「んじゃま、俺は帰るからな。あと宜しく」

「おっ、おい」


馬鹿は、それだけを俺に言い残して、再び女の方に戻って行く。

それで山中に1言、女達に1~2言ほど声を掛けて、手を振りながら、そのまま去って行く訳なんだが……


ちょっと待てって!!

こんな状態のまま放置して、俺に、どおせぇちゅ~んじゃ!!


アイツ、マジで馬鹿じゃねぇのか?

……なんて思っているうちに、第一目的地であるMACに到着。

山中のアホがデケェ声で俺を呼ぶもんだから、取り敢えずは、それに従うか。



しかしまぁ、どうすんだよ、これ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後まで、お読みくださって、ありがとうございます<(_ _)>


違う意味で【ピンチ】に陥ったしまった倉津君。

女性慣れしてない彼は、一体、どうやってこのピンチを凌ぐのでしょうね(笑)


そして、崇秀の言う【コンパでの山中の実力】は如何ほどの物なのか!!

次回こうご期待!!


誰も期待してねぇよ( ゚Д゚)=〇))Д゚)ふぎゃ!!

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