序章・第二話 モテ期は突然やって来る

006 不良さん、コンパに行く言い訳を必死にする

 無意味としか思えない学校をサポタージュした上に、誘われたとは言え、平日の真昼間から合コン。

なんて言う学生にあるまじき行為を、平然とやってのけようとしている自分がいる。


そんな自分を顧みても、正直、どうかとは思う。

ぶっちゃけ、こんな事をしてて良いのかなぁ?とも思う。


けどよぉ……学校なんて言う極小なカテゴリーの中。

誰が決めたかも解らない様なクダラナイ・ルールに縛られて、真面目に学校に行く事だけが、そんなに正しい事なのだろうか?


イヤ、そりゃあな。

確かに、これ自体は、なにも間違った行為ではないし、世間一般では、それは正しい行為だとは思うんだぞ。


真面目に学校に行き。

真面目に授業を受け。

クラブ活動に勤しむ。

これらは、社会の縮図である学校を過ごす上で有意義な行為だろう。

その上で、学校のルールを守って生活する事は、ある意味、社会勉強にもなる。


こうやってルールを厳守する事は、決して悪い事ではない。


但し、但しだ。

それは、普通に社会に出る事を許された人間を前提にした話であって。

俺みたいなロクデモナイ出自を抱えた不良の屑には、それには該当しない。


何故なら、理由は至って簡単だ。


―――俺がヤクザの組長の息子だからだ。

それだけで、生まれた時から俺の人生は、既にドロップアウト確定。


まさに救い様がない。


しかもな。

ただのヤクザの組長の息子ならまだしも、俺の実家は『倉津組』と言う関東圏屈指の広域ヤクザの事務所。

序に言っちまえば、俺の親父は、何代も続く『倉津組の組長』

この家に生まれた時点で、俺の将来には夢も希望も無い。

ヤクザに成る事自体が決定したも同然だ。


どうせ、どんなに抵抗したところで、家を継ぐ為にのみ義務教育である中学卒業し、後は『やくざ』になり、その数年後には『組長』

そんな負の連鎖は永遠に続き、途切れる様相は一向に見えない。


だとしたらだ。

俺に許された自由な時間は、義務教育である中学生活が最後。

恐らく、これ以降は、本業に入っていくのがオチだろう。


だったら、そんな俺が、限られた自由な時間を、学校なんてクダラナイモノに費やせるか?って話だ。


俺の答えは、必ずしも『否』だ。


過ごせる筈がないし、過ごしたくもない。

そんな理由から、今の俺にとっての学校と言う存在は、かなり無意味なものでしかない。


それに学校でやる勉強なんざ、なんの意味が有るのかさえ解らない。

社会に出て、あんなものが一体何の役に立つって言うんだ?


『現代国語』は、日本国に生きてる以上最低限度なにかしろの役に立つとしてもだ。

それ以外の教科は、どうだよ?

実際、糞した後の便所紙以下の意味も持たない。

俺にとって現国以外の他の教科は、糞以下の様な解釈だ。


例えばだ。

『古文』昔の訳のわからねぇ文章を解読して、どうすんだ?

『英語』役には立つだろうが、学校で教える英語なんざ、実際の会話には微塵も使えねぇ。

『理科A』元素記号を知っていて、何の役に立つ?そんな知識を使って困った薬の生成でもしろって言うのか?

『理科B』虫の生態を知っていたら、なんかの役に立つのか?俺は、ファーブル昆虫博士なんざ目指してねぇつぅ~のな。

『現代社会』こんなもん正に意味無し。実社会では、もっとハードな事が起こっている。

『歴史』何の話題作りだよ?キャバクラのネェちゃんを口説く為のネタにでもしたいのか?

『数学』足し算・引き算・掛け算・割り算以外で必要な事が有るのか?面積を求めてなんになる?設計事務所にでも就職希望か?


っとまぁ、こんな風に学業と言う奴は、専門的な仕事でもしない限り、なんの役にも立たない糞知識。

一体、何%が自分の血肉になるのか知りたいもんだ。


まぁそれ以前の問題としてだな。

どうせ学校なんかに行った所で、興味が無いから勉強なんてしないので、内容なんざカラッキシ訳わかんねぇ。

その上、奇跡的に授業に出たとしても、殆ど眠りこけているだけの睡眠時間。


矢張り、こんなんじゃあ学校に行く意味すらない。


なら、少し勉強すれば、どうかって?

嫌いな勉強も理解出来、今よりも少しぐらいは、成績もマシに成るんじゃないかって?


なんて、一般的な事を思う奴もいるかもしれないが……


―――俺から言わせれば『アホか?』の一言に尽きる。


大体、今まで勉強なんて殆どってやって来なかった俺が、今更、必死になって勉強した所でなんになるって言うんだ?

必死に頑張って、今から高校にでも行けって言うのか?


アホくせぇ、冗談じゃねぇ。

何をやっても無駄な事ぐらい、自分でもよく解っている。

俺の成績は、それ程までに無惨なものだ。


第一、成績が上がったところで、俺の人生になんのメリットが有るって言うんだ。


矢張りヤクザの息子である俺では、そんな気持ちにはなれない。


……そんな悲観的とも言える言葉が脳裏によぎる。


合コンに向かう崇秀の後ろをポケットに手を入れながら、自分がコンパに行く『沢山の言い訳』だけが、頭の中でよぎる。



まぁ所詮は、全部が全部言い訳でしかねぇんだけどな(笑)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

第二話が始まりました(*'ω'*)

そして、またお付き合いしてくださって、ありがとうございます<(_ _)>


さてさて、主人公の倉津君。

相も変わらず、自分勝手な言い訳ばっかりしてますね。


ほんと、アホですね(笑)


まぁでも、少しだけ彼の立場で考えてあげると、彼の心理も少しは見えて来るかもしれませんよ。

(*'ω'*)b

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