第44話 1.4.7 瑠夏との交際④
私、水篠瑠夏はコウ君との思い出を振り返っていた。
あれはコウ君と遊園地デートに行ったときの話だ。
今日、私はコウ君と遊園地デートだった。
駅前で待ち合わせだった。
私は駅前でコウ君を見つけた。
「君、かっこいいね。私とお茶しない?」
なんとコウ君は20代くらいの綺麗なお姉さんに逆ナンを受けていた。
むむむー。
コウ君がカッコよくてモテるイケメンだということは彼女である私が1番分かっているのだがそれでもナンパって女子かっての。
「いえ、俺には世界一大事な彼女がいるので」
そうコウ君はスマートに対応して逆ナンを断っていた。
世界一大事な彼女。
コウ君にそう言ってもらえたことが私にとってとても嬉しかった。
だけど逆ナンされたことに対して思うところはあったので少し意地悪することにした。
「だーれだ?」
私はそう言ってコウ君の目を手で隠した。
さらに私は自分の胸をコウ君の背中に押し当てていた。
コウ君は童貞だからこの私の攻撃に動揺しているだろう。
そのあたふたして赤面しているコウ君を想像したら私の中で嗜虐心が湧いてきた。
さらに自分の胸を押し当てる。
ほらほら、サービス、サービス♪
「その声、瑠夏か?」
「ピンポン! ピンポン! ピンポーン!!」
私はコウ君の目を見る。
いつも通りのスマートなイケメン。
だけど少し顔が上気しているのを私は見逃さなかった。
私の胸を意識してくれたことが分かって私は自然とニヤニヤしてきた。
「……ん? 瑠夏なにニヤニヤしてるんだ?」
「えー? 私、べつにニヤニヤしてませんけどー。」
嘘である。
私は自分でも自覚するほどニヤついていた。
だって私の胸を意識してくれたコウ君のこと可愛いって思ったんだもん。
私たちは遊園地に入った。
まず私たちはジェットコースターに乗ることにした。
ジェットコースターに乗るまで30分の待ち時間があった。
「コウ君、コウ君、私に言うことがあるんじゃないかな?」
「瑠夏に言うこと……? 服が似合ってることは言ったし何だ?」
「私、見たんだからね。コウ君が逆ナンされてるところ」
「あっ……ああ、っていうかそのこと見てたのか!?」
「で、私に言うことがあるんじゃないかな?」
「ご、ごめん、俺が不注意なばかりに逆ナンを受けて……」
「コウ君、違うよ」
「え?」
「私は謝罪を聞きたいわけじゃないよ」
「じゃあ、何を……?」
「『俺は世界一大事な彼女、瑠夏のことが好きだ。瑠夏のことしか見えない。愛してる。』はい、リピートアフターミー!!」
「この公衆の面前でそんな恥ずかしいこと言わないといけないのか!?あと、俺は藍那のことも好きだから瑠夏のことしか見えないっていうのは誤解があるような……」
「あー、あー、デート中は藍那ちゃんのこと考えたくありませーん。そんな意地悪なこと言うなら私、泣いちゃうから。えーん。えーん」
「分かった!!分かったから!!……コホン。俺はせ、世界一大事な彼女、瑠夏のことがす、好きだ。瑠夏のことしかみ、見えない。……あ、愛してる」
「私も愛してるよー。コウくーん!!」
そう言って私はコウ君に抱きついた。
周りのギャラリーがクスクス笑っているのが分かった。
周りからはバカップルだと思われていることだろう。
少し恥ずかしかったが私はそれ以上に幸せだった。
そんなこんな私たちは雑談(+イチャイチャ)をして待ち時間を過ごした。
コウ君と話していたら楽しくて待ち時間もあっという間だった。
私たちは最後に観覧車に乗った。
「コウ君、好きって10回言ってみて」
「え? 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き」
「えへへ、私も大好き」
そう言って私はコウ君の腕に抱きついた。
そうして私たちはしばらくイチャイチャしていた。
私はコウ君に10回も好きって言ってもらえて幸せだった。
そうこれはよくあるヒザって10回言ってみてといってヒジを指さしてヒザと間違わせる遊びではなく単純にコウ君の口から好きって言ってほしかっただけである。
これは完全に私の自己満足だった。
「ねえ、コウ君。この場所覚えてる?」
「ああ、俺たちのファーストキスの場所だな」
そうここは私たちの大切な思い出の場所だった。
あれは中学生の頃だった。
今と同じように観覧車に乗った私たち。
観覧車から見る夕日が綺麗だった。
無言になり見つめ合う私たち。
私たちは自然とキスをした。
「良かった。覚えててくれたんだね。コウ君のことだからもう忘れちゃってるんじゃないか不安だった。私たちの思い出の場所を覚えてくれて嬉しいよ」
「忘れるわけないだろ。その……初めての場所だし」
「ね、コウ君、もう一度キスしない?」
そう私は上目遣いで尋ねた。
「あ、ああ」
コウ君が緊張しているのが分かってそれすらもいとしく思えた。
やっぱり私はこの子のことが好きだ、そう思った。
そうして私たちは軽く口づけをした。
それは時間にして短かったが私にとっては永遠に思われた。
「……ど、どうしたんだ? 瑠夏?」
「……え?」
そこで私が泣いていることが分かった。
これは嘘泣きじゃないガチ泣きだった。
「私……私、コウ君ともう一度キスできたことが本当に嬉しくて幸せで1杯になったんだ。そしたらなぜか涙が出てきて……」
「嬉し泣きってやつだな、それは。……大丈夫、大丈夫だから」
そう言ってコウ君が私の頭を撫でてくれた。
大きな手だった。
「ヒック……ヒック……。私、不安だったんだ。あ、藍那ちゃんと二股することを決めてコウ君は私のこと忘れちゃったんじゃないかって」
「それは……それはすまないと思ってる。でも1番目の彼女は瑠夏だ。世界で1番大事だし、一生大事にしていきたいと思ってる。忘れたりなんかしない。だから許してくれないか」
「……うん……うん、いいよ。でも今だけは泣いてもいいかな?」
「ああ、大丈夫、大丈夫だから」
「ヒック……ヒック……うわーん!!」
私はコウ君に頭を撫でられながら泣きじゃくった。
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