第43話 1.4.6 瑠夏との交際③
私、水篠瑠夏はコウ君との思い出を振り返っていた。
あれはコウ君と勉強会したときの話だ。
異世界。シュタットフェルト精霊学園。
私とコウ君は期末テストに備えて勉強会を開いていた。
「コウ君と2人きりになるなんて久しぶりだから嬉しいよー。」
アイナちゃんや心海ちゃん、シルファちゃん、アスハちゃん、一姫ちゃん、沙南は何やら用事があるようで帰っていた。
昼休み。私たちはみんなでいつものように食事をしていた。
「今日の放課後はコウ君と2人きり……!!えへへ嬉しいよー」
「私も家での用事が無かったらコウハ兄との勉強会参加したのに……」
「コウ君、今日はいっぱいイチャイチャしようね!!」
「な……!?瑠夏ちゃんあくまで勉強会、勉強会だからね。私のいない間にイチャイチャするの禁止!!」
「兄貴、不純異性交遊は禁止だからね」
「分かってるよ。真面目に勉強するさ」
久しぶりの2人きりの時間で私は有頂天だった。
ここでいっぱいイチャイチャしてコウ君との距離をアイナちゃんより縮めるんだから。
何ってたって私はコウ君の1番目の彼女、1番目の彼女なんだから。
とはいえ期末テストを1週間後に控えた私たちはとりあえず真面目に勉強していた。
今は数学のプリントに取り組んでいた。
私は分からなかったとき癖なのだがうーんと悩んだりペン回しをしたりする。
「コウ君、この問題がよく分からないんだけど」
私は自力ではどうしても分からない問題が出てきてコウ君に質問した。
コウ君は昨年まで受験生だったので私より勉強ができるのだ。
涼しい顔でテストで高得点を取る姿はとてもカッコ良かった。
「……」
コウ君からの返事はない。
私のことを見てボーッとしているようだった。
そのあどけない様子にキュンキュンした私はたっぷり10秒間その様子を堪能した。
いつもはしっかりしてるのにふと見せるそのあどけなさに私はギャップ萌えした。
「コウ君、コウ君聞いてる?」
「……ハッすまん。瑠夏があまりにもかわいいから見惚れていた」
かわいい!?かわいい!?
好きな人にかわいいと褒められるとこんなにも嬉しくなるのか。
「えへへ本当? ストレートに褒められるとなんか恥ずかしいね。今日の私かわいい?かわいい?」
「ああ、かわいいぞ」
「やったー!! 嬉しい!!」
好きな人から何度かわいいと言われても毎回新鮮でこんなにも嬉しくなるんだ。
私は幸せで泣きそうだった。
「ほら、そろそろ勉強に戻るぞ」
いけない、いけない今は勉強に集中しないと。
あー、でも真面目な顔のコウ君もカッコイイなー。
「コウ君、この図形の問題分かる?」
「ああ、それは公式を使えばいい。例えば……」
それから2時間ほど勉強に集中した。
途中、数学の問題を解くコウ君の姿に見惚れたり教える姿がカッコイイなと思ったりしたけどなかなか集中できたと思う。
課題も8割方終わっていた。
「よし。もう2時間経つから休憩にするか」
「コウ君、ご褒美のハグを希望します」
最近は2番目の彼女のアイナちゃん、妹の心海ちゃん、シルファちゃん、メイドのアスハちゃん、精霊の一姫ちゃん、沙南と一緒にいることが多く2人きりの時間は貴重だった。
だからハグしたい、イチャイチャしたいっていう私のささやかなワガママは許されるよね。
「ああ、いいぞ」
私はコウ君に抱きついた。
コウ君も抱き締め返してくれた。
「はすはす、はすはす……。最近、コウ君成分が足りなかったよー」
コウ君成分は私にとって必須の栄養素でコウ君からしか摂取できない。
「おい、匂いを嗅ぐのはやめろ」
「コウ君は私のこと好き?」
私はコウ君のことが好きだって気持ちが爆発しそうでたまらずそう聞いていた。
「ああ、好きだぞ」
好き。コウ君の好きって言葉が私の胸に響いてジーンときた。
でも負けない。
私の方がずっとずっとコウ君のことが好きなんだから。
「私はコウ君のこと大好きだよ。……コウ君が私のこと好きならじゃあなんでアイナちゃんと二股してるの?」
アイナちゃんのことを考えると未だにモヤモヤする。
アイナちゃんはコウ君が一目惚れした幼なじみだ。
アイナちゃんは私の目から見ても絶世の美少女でコウ君の隣に立つとお似合いのカップルだった。
「それは……。正直すまないと思ってるし弁解のしようがない。1番目の彼女は瑠夏だから許してくれないか?」
でもアイナちゃんには負けない。
だって私はコウ君の1番目の彼女、正妻なんだから。
もっと自信を持て私。
「1番とか2番とか順番じゃなくて私だけを見ていてほしかったけど……。うん……いいよ。私のことを少しでも見てくれるなら。でも私が好きなのはコウ君1人だけなんだからね。それは覚えていてね」
私が好きなのはコウ君1人だけだ。
将来的に結婚して3人子供を作って老後もイチャイチャして来世も結婚したいと考えてる。
私が愛してるのはコウ君1人だけだと伝えたくてコウ君の目をじっと見てそう言った。
ここでキスするのは自然なことだったのだろう。
コウ君が私の口に自分の口を重ねてきた。
ほんの数秒の軽いキスだったが私たちの心は満たされていくのが分かった。
「俺は瑠夏のことが世界で1番好きだし一生大切にしていきたいと思ってる。それだけは本当だ。俺のことを信じてくれないか?」
「うん……分かった」
その後、私たちは下校時間ギリギリまで勉強した。
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