第40話 1.4.3 沙南
セルベス教国。
西方諸国の1つ。帝国主義国。十三国の列強の1つ。
レーム教の最高司祭が治める宗教国家。
後に帝国、皇国と共に三国同盟を結成し、連合王国や共和国などの連合国と対立する。
☆
異世界。シュタットフェルト精霊学園。
「コウ君、コウ君一緒に帰ろー」
そう言って瑠夏が俺の腕に抱きついてくる。
「瑠夏様だけずるいです。私もコウハ様とイチャつきたいです!!」
そう言って
沙南。
瑠夏の精霊。水属性の精霊だ。
茶髪でポニーテールをしている美少女だ。
聖剣はデュアルランテだ。
これは2本の剣でいわゆる二刀流である。
従って沙南ちゃんは二刀流スキルを保有している。
ウォーターブラストというスキルも使える。
見て分かる通り沙南ちゃんは俺のことが大大大好きである。
精霊使いと精霊は似るとはよく言うが瑠夏と沙南ちゃんは俺への好意という点で共通している。
「なっ……。沙南コウ君から離れなさい!!」
「嫌ですー。瑠夏様こそいつもコウハ様とイチャついてるんだから私に譲ってくれてもいいんじゃないですか?」
「譲るわけないでしょ!? 私はコウ君の一番の彼女なの!! だから私はコウ君とイチャつく義務があるのです!!」
「私もコウハ様のハーレム化要員としてイチャつく義務があるのです!!」
沙南ちゃんが俺のハーレム化要員となったのは昨日のことである。
「私はコウハ様のことが好きです。付き合ってください」
俺は瑠夏の精霊沙南ちゃんから告白されていた。
これが初めてではない。
出会った日から毎日、告白されているのでこれで100回目だった。
「ごめん。俺には好きな人がいるんだ」
俺には瑠夏とアイナ2人の彼女がいるからね。
「うー、100回目だからワンチャンあると思ったのに……」
「何度来ても俺の答えは同じだよ」
「でもコウハ様、瑠夏様とアイナ様二股してるじゃないですか。じゃあ三股してくれても……いや待てよ、いっそのことハーレムを作ればいいのでは……?」
「いやいやいや、なんでそうなるんだよ」
「ハーレム化計画です」
「え?」
「私はハーレム化要員に立候補します。一緒にハーレムを作りましょうね、コウハ様」
「ええ……?」
ハーレム。男なら1度は夢見るシチュエーションであろう。
だが現実になるとただただ困惑しかなかった。
そして沙南ちゃんは俺の自称ハーレム化要員になったのである。
「ハーレム化要員って何?私、そんなの絶対認めないんだからね」
「コウハ様は瑠夏様とアイナ様が付き合っているのに今でも告白する人が後を絶たないじゃないですか。コウハ様の寵愛を2人だけが独占するなんて公共の福祉に反すると思うんですよ。コウハ様はもっと多くの女性に門戸が開かれるべきなんですよ。それだけコウハ様は大きな愛を持っているんですから。だから私はハーレム化計画を推進します。コウハ様と瑠夏様の仲を邪魔しようなどとは思ってません。だから協力してください、瑠夏様」
「現在進行形で邪魔してて何を言うの……?」
「不快に思われたなら申し訳ありません。コウハ様のほんの一部でいいのです。ほんの一部の愛を私たちハーレム化要員に分けてください。お願いします」
「コウ君、コウ君はどう思ってるの?」
「俺もハーレム化計画には反対だ。瑠夏とアイナ2人だけで一杯一杯なのにこれ以上他の女の子を愛するなんて無理だと思う。……ただ」
「ただ?」
「ただ俺が皇帝になって多くの女性を愛せる大人の男性になったらそのときは沙南ちゃんの気持ちに応えたいと思う。それまで待っててくれないか?」
「コウハ様……」
「コウ君、それっていわゆるとりあえずキープってやつじゃないの?」
「う……。それはすまないと思ってる。でも俺の今、示せる最大限の誠意がこれなんだ」
「コウハ様……私嬉しいです。少しでも私のことを想ってくれるなら私何年でも待ちます」
「ありがとう、沙南ちゃん」
「なんでうちの彼氏はこんなに女たらしなのかな」
「……瑠夏、相談なんだけど詩音ちゃんと沙南ちゃんで模擬戦してくれないか?」
「ああ、模擬戦? 全然いいよ」
こうして詩音ちゃんと沙南ちゃんで模擬戦を開始した。
「ハァァァッー!!」
「タァァァッー!!」
幾度も剣戟が交わされる。実力はほぼ五分と五分、剣より槍の方がリーチが長いので詩音ちゃんが押してるくらいだった。
「沙南、二刀流スキル!!」
「了解、二刀流スキル!!」
沙南ちゃんが二刀流スキルを発動する。
「詩音ちゃん、機槍スキル!!」
「了解、機槍スキル!!」
俺たちはとっさに機槍スキルで応戦する。
だがあと一歩、あと一歩届かなかった。
沙南ちゃんの二刀流スキルの勢いに押し切られてしまう。
「キャァァァー!!」
二刀流スキルによって機槍が弾き飛ばされてしまった。
「お疲れ様、詩音ちゃん。タオルで汗拭く?」
「ありがとう、コウハ君。たはは、また負けちゃったよう」
詩音ちゃんは負けたが清々しい笑顔をしていた。
「一姫、インプレッション・シーカー使えるか?」
この模擬戦には一姫も見学していた。
「うん。私は問題ないよ」
「瑠夏と沙南ちゃんに見せたいものがある。一姫のユニークスキル、インプレッション・シーカーだ!!」
「あー、あのミノタウロスを倒したっていう?」
「実際に見ることができるんですか?」
「一姫、インプレッション・シーカー、二刀流スキル!!」
一姫は神聖七星位聖剣ブリュンヒルデと聖剣フレイシアを装備していた。
「了解。インプレッション・シーカー……二刀流スキル!!」
そして一姫は沙南ちゃんが発動した二刀流スキルをそっくりそのまま発動した。
「なん……だと?」
「そんな馬鹿な!?」
「このようにインプレッション・シーカーは対象のスキルを高速で検索、高速で学習し、スキル模倣するんだ!!」
「コウ君、俺TUEEEE系になったんだ!! すごいすごい!!」
その後、沙南ちゃんのウォーターブラストをインプレッション・シーカーで解析、模倣した。
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