第39話 1.4.2 二番目の幼なじみとの七夕デート
俺は新作、ラブコメ要素多めの異世界ファンタジーのPVを見ていた。
「3000PV……!?」
ついに新作が代表作のラブコメのPVに追いついたのである。
公開して3週間でこれなので新作が代表作を抜かすのも時間の問題であろう。
感慨深かった。
といっても星の数やいいねの数では抜かせてないのでまだ代表作は1つ目のラブコメであろう。
俺はそのままの勢いで執筆した。
キャッチコピーで幼なじみとイチャラブと言っておきながら本編ではあまり幼なじみとイチャラブしてなかったので幼なじみとのイチャイチャを糖度100%で書いた。
☆
今日は藍那とプラネタリウムに行く。
時期的に7月7日なので七夕デートだ。
駅前で待ち合わせだった。
隣に住んでるなら一緒に行けばいいのではと思うかもしれないがそれだとデートの雰囲気が出ないと藍那が言うので待ち合わせにした。
今、気づいたのだが瑠夏と藍那同じことを言ってるな。
二人は昔から俺を取り合ってケンカしていたが二人は実際仲良しなのだ。
ケンカするほど仲が良いという言葉がピッタリだろう。
10分前。俺は駅前で藍那を待っていた。
このデートがなぜ決行されたのかというと瑠夏の藍那に対するマウントだった。
瑠夏は俺との連日のデートでいつもニコニコしていた。
「瑠夏ちゃんどうしたの?そんなに嬉しそうに鼻歌まで歌って……?」
「えへへー、実は最近、コウ君とデートしたんだー。それも1回だけじゃないよ、4回だよ4回!!」
「なっ……!?」
「コウ君とのイチャイチャデート楽しかったなー。最後にはコウ君と……ね」
「最後に何をしたの!? 瑠夏ちゃん!?」
「えへへー、ヒミツ」
「そんな……瑠夏ちゃん私より先に大人になったの……?そんな嘘よ……」
「あー、あくまでキスだからエッチなことはしてないぞ」
ディープキスはしたけど(小声)。
「……決めた。私も光覇兄とデートする」
「ふっふっふ、私は別にいいよ。これが正妻としての余裕ってやつかな」
「私も光覇兄とイチャイチャデートする!! 瑠夏ちゃんには絶対負けないんだから」
こうして今日の七夕デートが決定されたのである。
☆
俺たちはプラネタリウムのある科学博物館までバスで向かった。
俺たちはさっそくプラネタリウムに入った。
今日は七夕ということで織り姫と彦星のことを話していた。
『天空で一番偉い神様、
満天な星空にナレーターの語り口がロマンチックだった。
『結婚してからというもの、二人は毎日遊んで暮らしていました。織り姫が機を織らなくなったので神様たちの着物はすりきれてぼろぼろになり、彦星が牛の世話をしなくなったので、牛はやせ細り、病気になってしまいました』
よく知ってる七夕伝説だな。
俺も瑠夏と藍那と可愛い彼女がいるから毎日イチャつきたいの分かるけど仕事放り出したらイカンよなあ。
『これに怒った天帝は、二人を天の川の両岸に引き離してしまいました。しかし、二人は悲しみのあまり毎日泣き暮らし、仕事になりません。かわいそうに思った天帝は、二人が毎日真面目に働くなら7月7日の夜に会わせてやると約束しました』
1年に1回しか会えないのか……。
俺だったら瑠夏と藍那に1年に1回しか会えないなんて我慢できないな。
『織り姫はこと座の一等星ベガで彦星はわし座の一等星アルタイルです。夜空の暗い場所では2つの星の間に天の川が横たわっている様子を観察することができます』
おー、はくちょう座のデネブも加えたら有名な夏の大三角になるのか。
『七夕によると年に1度、7月7日の夜に会うことができる織り姫と彦星ですが、星が実際に移動することはありません。2つの星の間は14.4光年ほど離れていて、これは光のスピードでも約14年半かかってしまう距離です。つまり、二人が光のスピードで移動したとしても1年に1回会うことはとても無理なのです』
七夕伝説の後は第2の地球を探せというテーマの映像だった。
天文マニアである俺としてはとても充実した時間だった。
「面白かったねー、プラネタリウム」
「でも俺が彦星だったら毎日天の川泳いで織り姫に会いにいくけどな。天帝に見つからないようにコッソリと」
「あはは、なにそれーウケる!!でも光覇兄っぽい。それだけ私たちのこと好きってことだよね」
「ああ、そうだな」
その後、俺たちは短冊に願い事を書いて笹に飾った。
「光覇兄はなんてお願いしたのー? 私は光覇兄とずっと一緒にいられますようにって書いたよ」
「みんな無病息災でいられますようにって書いた」
「へー、光覇兄、優しいね。……本当は私は1番目の彼女になりたいって書こうかなって思ったんだ。でもそれだとワガママすぎだよね。光覇兄には瑠夏ちゃんがいて二番目の彼女になれるだけでも喜ばなくちゃならないんだから」
そこで藍那は淋しそうな顔をする。
「だから最後の私のワガママなんだけど、光覇兄聞いてくれる?」
「ああ、なんだ?」
「私とキスしてくれないかな?」
「えっ……ああ……俺は全然いいけど」
そして目をつぶる藍那。
藍那の可愛らしい口に口付けを交わすのだった。
時間はほんの一瞬だったが永遠のように思えた。
藍那の唇はすごく柔らかった。
「えへへ……光覇兄との初めて……私たちのファーストキスだね」
そう言って微笑む藍那は少女ではなく女性の顔をしていた。
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